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コロナで高まる持ち帰り需要

回転寿司大手のスシローが、新しい業態の店舗をオープンした。

東京駅に直結する八重洲地下街に、29日にオープンしたスシロー。
この店の特徴は、通常のイートイン店舗の脇に、テイクアウトの専門店「スシローToGo」を併設するハイブリッド店舗となっている。

持ち帰り用のさまざまな詰め合わせが並び、選んで買うことができる。

さらに、好きな商品を予約し、非接触で受け取れる「自動土産ロッカー」も設置。
コロナで高まる持ち帰り需要に応える狙いだ。

30代の客:
休み時間が限られているので、買えるのはとてもありがたい。

あきんどスシロー 新店推進部・富山宗明課長:
サラリーマン層からファミリー層など、いろんな層が(八重洲)地下街には来るので、そのお客さまのいろんなニーズを併設店舗で試せるいい機会かなと。

イートインでは、入り口と出口を完全に分けることで、密を防ぎ、かつスムーズな動線を確保する工夫も。

働く人や家族連れ、旅行者など、さまざまな人が行き交う東京駅で、スシローは都心戦略を進める。

テイクアウトで寿司に伸びしろ

三田友梨佳キャスター:
マーケティングや消費者行動などを研究している、一橋大学ビジネススクール准教授の鈴木智子さんに聞きます。

イートインとテイクアウトのハイブリッドについて、どうご覧になりますか?

一橋大学ビジネススクール准教授・鈴木智子さん:
まずテイクアウトや宅配需要が盛り上がる中、ファーストフードや牛丼、カレーは定番ですが、持ち帰りの寿司を選ぶ消費者はまだそう多くないと見受けられます。

ここに伸びしろがあるとスシローはみているのではないでしょうか。

このテイクアウト市場でスシローが勝つことができれば、スシロー=回転寿司のお店といったこれまでの消費者のイメージが変わって、いつでもどこでも手軽に美味しいお寿司が食べられるといった、より強力なブランドに変えられると考えられます。

これをマーケティングではサブカテゴリーのフレーミングと呼びます。

三田キャスター:
サブカテゴリーのフレーミングとは具体的にどういったことですか?

鈴木智子さん:
例えばビールの例で考えてみると、かつてビールと言えばずっしりと重みのある味、こういったものが主流でしたが、そこにアサヒがスーパードライを発売して、「コクがあるのにキレがある、のどごし爽やかなドライビール」といった新しいカテゴリーを提示しました。

このドライビールという新しいカテゴリーは消費者に大変支持されて、その市場で一人勝ちしたスーパードライはビール業界のシェアを変えるほどの大ヒット商品となりました。

三田キャスター:
スシローにおいて、サブカテゴリーのフレーミングを成功させるためにはどういったことが大切になりますか?

鈴木智子さん:
スシローがテイクアウト市場に勝つためには、まず、テイクアウトするならお寿司もいいよね、と消費者に思ってもらうことが大切です。
スシローがお持ち帰りの寿司を推進することで、そうしたイメージを促進することができます。

スシローは持ち帰り寿司の「京樽」とのダブルブランド店舗も展開していますから、テイクアウト市場でお寿司が勝利すれば、スシローの一人勝ちになる可能性もあると考えられます。

三田キャスター:
攻め続けるスシローはテイクアウト市場において新たな価値を生み出すことができるのか、ここに成長のカギがあるのかもしれません。

(「Live News α」7月29日放送分)