私が困っているのは、テーブルの上のその黒い魔法の箱がときどき私の手を見失うことだ。
しかし、うちの三歳児はまったく平気だ。彼は、300km先にいる祖母がテーブルに置いた恐竜を何度も掃除機で吸い上げながら、息ができなくなるほど激しく笑い転げている。
とい何のことだかわからないだろうから、初めからお話しよう。
私たちは今、Amazon Glowで遊んでいる。新しいやつだ。わずか2年前にAmazon(アマゾン)が「Glow」と名づけたあれではない。
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タッチスクリーンが自立し、それにプロジェクターをくっつけた。それが乗るテーブルに、画像が投射される。カメラは2つ搭載され、1つは目の前にいる人を写し、もう1つはテーブルにあるその人の手の位置を追う。これにより、テーブルに投射される画像がタッチスクリーンになる。これがGlowだ。
Glowは子どもたちを遊ばせ、絵本を読ませ、遠くの家族や友だちなど限られた人たちとビデオチャットをさせるものだ。その際、スクリーンにはチャット相手が映っている。祖母などは、テーブル上の画像を自分のタブレットでそれを見る。祖母が彼女の本のページをめくると、子どもの本のページもめくられる。一方が何かを描くと、相手もそれが見られる。なお、Amazonは推奨年齢を「3歳以上」としているが、今の状態であれば、私なら「3歳から8歳まで」というだろう。
すべてが、Amazon Kids+を軸に構成されている。それはプライムとは別の有料サブスクリプションで、子どもの本やゲーム、映画、テレビ番組などを収集している。ただしGlowで観られる / 遊べるのは本と一部のゲームだけだ。それは正解だろう。動画を観ることができたら、うちの子は1日中BlippiのYouTubeを観ているだろう。Glowを買うと1年間Kids+が無料になる。その後はプライム会員なら月額3ドル(約340円)もしくは5ドル(約570円)となる。
本のチョイスはいい感じで、特に幼児向けが充実している。ゲームは神経衰弱やチェス、卓球ゲームのポンといったアーケードゲームなど、いずれも簡単な複数プレイができるものだ、お絵描きアプリは、自分が父のコンピューターの前に長時間座ってKid Pixで絵を描いていた頃のことを、強烈に思い出させる。今回それはディスプレイではなくテーブル上だが、我が子は遠く離れた州にいる祖母と一緒に絵を描いている。祖母が恐竜のステッカーをスクリーンに置くと、子どもは掃除機ツール(消しゴム)でそれを飲み込む。そして2人が笑う。そうやってスクリーンの掃除を100万回繰り返す。
子どもが話せる相手は、完全に親が決める。親もAmazonのアカウントが必要だ。そのセットアップには、相手によっては時間がかかるかもしれない。しかし、一度行えば二度やる必要はない。このような、ホワイトリスト方式は良いものだ。子どもが偶然、知らない人と話をすることがない。
確かにGlowは、パンデミックの申し子のようなデバイスだ。家族と直接会えないことが購入動機になるだろう。特に高齢者にとっては、人とリアルに会うことが今や自分の生死に関わることもある。
「でも、おばあちゃんとリモートで話したいだけなら読書アプリとFaceTimeで十分では?」と、思うかもしれない。
もちろん、そうだけど、しかしそれでも……。
Glowには、少々異なるとことがある。うちの子にとってそれは、FaceTimeやZoomなどとはまったく違うものだった。私も、そう感じる。
その違いが、会話している相手の存在感を生み出しているのだろうか。Glowは通話中に、デバイス本体をあちこち動かさないためバッテリーがなく、壁からプラグを抜けば電源はオフになる。同じテーブルに座ってる誰かと話をしていて、ふと顔を上げると目の前にその人がスクリーンに映っている。お互いに相手の目と目、顔と顔を合わせているような感覚がある。コンピューターのディスプレイを見つめている感覚ではなく、むしろテーブルに座って一緒にボードゲームをしているような感じだ。
いずれにせよ、不思議なほど効果的だ。うちの子は通常、FaceTimeを使って5分ほど祖母と過ごす。自分のおもちゃを披露したりするが、急に違うことを始めたりする。今では、祖母と話したいかいと尋ねると彼は明確に「Glowしたい」という。「glow」を動詞として使う。彼は自ら喜んでGlowの前に座り、たっぷり1時間祖母と遊んだり本を読んだりする。バグなんか、気にしない。
そう。問題はバグだ。
Glowは、発売されたような、されてないような、ちょっと不思議な製品だ。Glowは、Amazonの「Day 1 Editions」プログラムの一部で、「まだベータ版のときに買うプロダクト」という意味の、より市場性の高い言い回しになっている。「invite(招待)」を申し込むと、Amazonはそれを購入する人を選び、選ばれた人は、Amazonが調整している間、少し早く使うことができる。Day 1プログラムの一環として購入する場合は250ドル(約2万8600円)で、それ以降は299ドル(約3万4200円)だ。
このような事業では、バグも主役だ。そして2021年末現在のGlowにも、バグはある。タッチが検出されないいことが頻繁にある。子どもが長袖を着ていると、余計ひどいようだ。混乱すると「KLONK」という音がしてエラーを吐く。誰に対しても! 本やゲームはロードできないことがときどきある。ランダムにリセットが起きる。
このようなプログラムでは、バグはつきものだ。2021年末に発売される「Glow」にも、そのようなバグがある。タッチの検出に失敗することがやや多く(子供が長袖を着ているときは特に)、混乱すると「KLONK」という音を出してエラーになる(どちらのユーザーも!)。本やゲームの読み込みに失敗することもある。そしてときどきランダムにリセットされる。
また、バグというよりもただ粗削りな部分もある。例えば、こんな感じだ。
- Glowのスクリーンに映る通話相手は、なぜか上の写真のように顔半分が切れてしまうことが多い。これは、グローの画面がポートレート(縦長)モードであるのに対し、通話相手は一般的にランドスケープ(横長)モードであるためと思われる。一方、通話をしてきた人は、自分の顔はほとんど見えず、子供の顔と、子供が見ているものが映し出されるだけなので、それが起きていることに気づかない。最初は、その人がタブレットの置き方を知らないだけだと思っていた。その後、別の人でも同じことが起こった。別の部屋から子供をGlowで呼び出したら、3分くらいで顔が切れてしまって、妻に笑われてしまった。Amazonは、このような事態を想定して、「センターフレーム」のような顔追従機能を組み込むべきだろう。
- Amazon Kid’sのライブラリーには、文字が小さすぎて読みにくい本がたくさんある。Bubble(バブル)モードというのがあり、これは自動的に文字を拡大して読みやすくしようとするが、邪魔になることも多い。また、このモードが勝手に切り替わることもあり、初めて目にしたユーザーはとまどってしまうだろう。
- UIは全体的に遅かったり、フォーマットがおかしい。。
いずれも簡単に修正できそうなものなので、Amazonには期待したい。もっとブラッシュアップして、今後コンテンツが増えれば、Glowは本当にすてきでかわいいデバイスだ。しかし現状では、どれだけ愛されるだろうか。我が家で数週間使ってみたが、その間にパッチはあったのだろうか。よくわからない。
しかしそれでも、愛すべき点は多い。プロジェクターでテーブルに映し出されるスクリーンは明るくてきれいだ。白いマットが巻かれた状態で同梱されており、それを使うと明るさと手触りがさらに良くなる。これを使うために部屋の灯りを調節したことはない。セットアップはとても早くすぐに使えるし、手早くしまえる。箱は、良くできた耐久性の高いケースにもなる。Amazonはこういったポイントもしっかり考えたのだろう。未使用時のための、プライバシー保護用の物理的なカメラカバーもある。壊れたときの修理は最初の2年間無料だ。子どもはモノを壊す動物だから、このポリシーもいい。
しかし、これらはどれも子どもには関係ないことだ。彼らは掃除機でもっとたくさんの恐竜を吸い込みたいだけだ。
私のこのレビューを、簡単な問いで終えよう。このレビュー機をAmazonに返却後、果たして私はGlowを買うだろうか?今回の場合、すでに買ってしまった(詳しくいうと、購入の招待状をリクエストした)。「おばあちゃんとglowできなくなる」と子どもはすごく落ち込むだろう。そして、彼が祖父母と話をしているときの、Glow独特の話し相手の「存在感」が気に入った。
あなたはどうだろう?あなたの子どもがすでに祖父母とのFaceTimeで満足しているなら、買わなくてもよいかもしれない。本やお絵描きや簡単なゲームに関心を示さないなら、やはりいらないだろう。この製品の、そしてAmazonの製品開発努力を手伝い、いくつかのバグを我慢する気がないのであればやはり難しいだろう。しかしAmazon Glowは、おもしろそう、良さそうと感じた人にとっては、とても楽しい製品だ。
画像クレジット:Amazon
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(文:Greg Kumparak、翻訳:Hiroshi Iwatani)