VR言語学習教育プラットフォームを提供するImmerse Inc.(米カリフォルニア州、代表取締役:クイン・テイバー、日本支社:株式会社イマース・ジャパン)と中央大学国際情報学部_iTL_の斎藤ゼミが共同で学生同士がバーチャル空間内で教え合う自走型英語学習の共同検証を実施したことを発表した。
英語が得意な斎藤ゼミの3年生4名にimmerseプラットフォームのライセンス提供を行い、バーチャル空間を使ったタスクベースのVRレッスンカリキュラムを自分たちで創造し、英語学習に興味のある同ゼミ2年生の学生8名にレッスンを提供する「学生自走型のVR学習」を行った。
今回のプロジェクトでは過去にVRレッスンをプロの講師から受けたことのある学生がレッスンカリキュラムを自分自身で考案・作成し、immerseプラットフォームの空間やオーサリング(レッスンプランの自由編集)機能を使いながら生徒自身がレッスンを考案・実施するというアプローチで検証を行った。
その結果、教える側も、教えられる側も両方でよりアクティブなラーニングとなり、今回生徒側として受講した8人の学生が、レッスンに対する平均満足度も4.6(5点満点中)と非常に高い結果になった。
今後もImmerse Inc.と中央大学国際情報学部_iTL_斎藤ゼミでは、引き続き斎藤裕紀恵准教授指揮のもと「VRがもたらす言語教育・国際交流における教育効果や海外留学の代替としてのVR留学の可能性等」において様々な角度から研究・発表を共同で継続し、「メタバースにおけるVR言語教育」の発展に寄与していくという。
「講師」としてレッスンを行なった学生のコメント
濱田将也さん
今回のVR英語授業設計において、Bloom’s TaxonomyとVRの特徴である「immersion」「presence」「interaction」の3つの柱を意識して、“VRだからこそ”実現できる授業を心掛けました。
例えば参加者同士の「interaction」や、他の参加者へのプレゼンの機会などを各授業で可能な限り多く取り入れるよう努めました。
このメリットは、去年自分たちが生徒としてVR英会話レッスンを体験した際に感じたことであり、実際に今回の参加者の方も感想で同じことを述べてくれていたので、目的が達成されてよかったと思います。
今回はプロジェクトリーダーという立場で携わらせていただきましたが、全体を通じて非常に有意義な時間でした。個人として、準備から授業実施までの5か月の間で一貫して意識していたことは「常に参加者の立場になって考えること」でした。
難しく大変なプロジェクトではありましたが、チームのメンバーと協調して、最終的にベストな授業設計を行うことができたので、達成感とやりがいを感じることができました。
渡辺竜世さん
学ぶ側から教える側になったことで、「相手の事を考えた英語」を求められるようになる事を実感しました。
学ぶ側からであれば、少し難しい表現を使えば、それを評価してもらうことができます。
一方で教える側はそうではなく、生徒のレベルや伝わりやすい表現を常に考える必要があり、それはより実生活で使われるコミュニケーションにつながるもののように感じます。
人に教える事で自分の知識も整理されるとよく言われますが、それは外国語学習においてもより伝わる表現を引き出すスピードの向上につながる点で共通しているように感じます。
教師役をやった私自身にも発見が得られる経験でした。
山下恵里さん
VR英会話レッスン後は毎回、英会話レッスンに対する感想について、生徒役の学生にアンケートの回答をしてもらいました。
「VR酔い」による長時間着用の困難さが指摘された一方で、授業自体の楽しさ・満足度に関しては全日を通して非常に高いという結果が出ました。
適切な装着時間を守りつつ、離れた環境下でも同じ空間を体験することができるVRを活かしていくことで、これまでになかった学習体験ができるようになります。
自分が教師役として英語で授業を進行するにあたって実践的な英語を発話する練習にもなりました。
また今回、自らが教師役となりVRを使った授業を行うことで、今後の英語教育の幅が広がる先駆けを体験することができ、貴重な経験になりました。
堀田添伊さん
私は生徒側がまるでその場にいるような実践的な授業を考えました。
例えばファーストフードショップでは、実際にお店にいるという気分を味わってもらうために、店員役とお客様役でシミュレーションゲームをしてもらいました。
次にディベートルームですが、こちらも同じように自分たちはディベートをしているんだという実感を持たせるため、実際に賛成派・反対派に分かれて座席に座ってもらい、発言・意見を言うときはボタンを押すなどの動作もしてもらいました。
ディベートで意見を言うときは、こういう表現がいいよといったインプットも加えています。
アウトプットとインプットのバランスがとても良い状態で英語学習ができるというのは、VRの良い所であり、これからも最大限活用できる所だと思います。
私は卒業論文のテーマにもVRを取り上げる予定です。
今後さらにVRの英語学習への応用の可能性について調査をして、様々なことを検証していきたいと思います。
今回の実験を陣頭指揮した中央大学斎藤裕紀恵准教授のコメント
中央大学斎藤裕紀恵准教授
斎藤ゼミでは第2言語習得論を学びながら、EdTechの英語教育への導入の可能性について研究を進めています。
昨年、一例として現3年生がImmerse社のVR英会話レッスンを体験しました。
今年は構成主義、社会構成主義のアプローチを採用して、学生自身が教師役となりVR英会話レッスンの提供を体験することによって、VRを活用した英語授業に関しての知識を増やして、可能性を探求することを1つの目的としていました。
またVR英会話レッスンの提供をプロジェクトとして立ち上げることによって、グループ内で学び、協力し合うことをもう一つの目的としてプロジェクトを進めました。
準備期間を含めて、5カ月のレッスンの設計と実施を通して、VRの英語教育への活用の可能性について深く考える機会になったと思います。
教師役としてVR空間で英会話レッスンを提供することが自身の英語力向上力に繋がったとのフィードバックもありました。
今後、教師役としてVR英会話レッスンを提供する学生の前後のスピーキング力の変化を見ることによって、教育実習へのVR体験導入の可能性の検証研究等に繋げていく予定です。
VR英語教育プラットフォーム「immerse」に関して
VR英語教育プラットフォーム「immerse」は、英会話スクールや高校・大学などの教育機関がバーチャルシーン上で英語学習カリキュラムの作成やアバターを使ったレッスンを行うことができるVR英語教育プラットフォーム。
講師はパソコンから、生徒はVRHMDやパソコンの両方から参加することができる。
また、バーチャル空間を用いたタスクベースの英語学習カリキュラムを難しいスキルなしで直感的に作成・保存をすることが可能。
主に日本、北米、ヨーロッパの「英会話スクール」「オンライン英会話事業会社」「高校・大学の教育機関」で導入が進んでおり、VRで作られた空港、カフェ、レストランなどのリアルなVRシーンや360度のパノラマ写真に、学校独自のオリジナルレッスンコンテンツをカスタマイズし、アバターを利用した没入感溢れるVR英会話レッスンを実施することが可能。
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