<感染者の9割が子どもで、発症後「あっという間に死んでいく」という> インドで謎のウイルス性の熱病が流行している。地元紙タイムズ・オブ・インディアは、東部ウッタルプラデシュ州の6つの地区で、過去1週間で子ども40人超を含む少なくとも68人がこの熱病で死亡し、ほかにも数百人が入院していると報じた。 英インディペンデント紙によれば、同州のヨギ・アディティヤナート首相はこの事態を受けて、各病院に病床を増やすよう指示。またこの「謎の熱病」について詳しい調査を行うよう、同州の保健省に要請した。 BBCによれば、この熱病に感染したとみられる患者には、脱水症状や吐き気、関節痛や頭痛の症状がみられる。腕や足に発疹が出る者もいるということだ。 死亡した人のうち、新型コロナウイルスへの感染が確認された者はおらず、地元の医師たちはこの熱病について、デング熱の可能性があると示唆している。デング熱は蚊が媒介するウイルス性の感染症で、インドではよくみられる病気だ。 問題の熱病は、この1週間でアグラ、マトゥラ、マインプリ、エタ、カスガンジとフィロザバードの6つの地区で感染者が確認されている。地元の医師たちは感染者には血小板の減少が認められると報告しており、重症型のデング熱の症状である可能性もある。 州首相は専任チームによる調査を約束 フィロザバードのニータ・クルシュレシュタ医師はBBCに対して、「入院している患者、とりわけ子どもは発症後、あっという間に死亡する」と述べた。また地元の大学病院の院長であるサンギタ・アネジャ医師はヒンズー紙に対して、患者の中にはデング熱の検査で陽性となる者もいるが、全員ではないと語った。 「過去5日間で感染者が急増しており、そのうち90%は子どもだ」とアネジャは説明し、さらにこう述べた。「感染者の多くはデング熱の検査で陽性の結果が出ている。ただ血小板の減少はみられるものの、デング熱検査では陰性の患者もいる」 フィロザバード出身で与党・インド人民党(BJP)の議員であるマニシュ・アシジャは、同地区だけで40人の子どもが死亡したと述べ、「病気が広まった原因は、豪雨による浸水や公衆衛生の欠如だ」と主張した。 インディペンデント紙によれば、8月18日に最初の感染者が報告されたこの熱病について、不可解な部分が多いことから、アディティヤナートは専任チームによる調査を行うと表明した。 「地元レベルではよく分からないので、患者は私立の病院や診療所に入院させた」と彼は記者団に述べた。「この熱病の流行が分かって以降、政府と保健省は州レベルで状況の評価を行っており、各医科大学が十分な人手を確保できるよう指示している」