中国政府「飯圏(ファン・グループ)」規制の真相

中国政府による「飯圏」規制を、日本では「思想統制」とか「文革への逆戻り」などと解説しているが、笑止千万。飯圏はアイドルへの狂信的な十代前半のファンの心を操り暴利をむさぼっている闇ビジネスの一つだ。 「飯圏(ファン・チュエン)」とは何か? 「飯圏」の「飯」は中国語では[fan](ファン)と発音し、日本語の「ファン」を音に置き換えたもので、「飯圏」とはアイドルを追いかけるファンたちのグループ」のことだ。 日本の動漫(動画や漫画)が80年代に中国を席巻したように(参照:拙著『中国動漫新人類 日本のアニメと…

なぜ中台の緊張はここまで強まったのか? 台湾情勢を歴史で読み解く

<米中対立の狭間で「最も危険な場所」とされる台湾。大国に翻弄され生き残った歴史は今の複雑な地域情勢につながっている> 「台湾史」はいつから始まったのか。この問題を語ろうとするだけで、台湾では猛烈な論争が起きる。 日本史の始まりは、天照大神(あまてらすおおみかみ)だろうが、邪馬台国だろうが、一本しかない歴史の起点がどこにあるか、という問題にすぎない。ところが台湾の場合、事情が違ってくる。台湾史をめぐり、時間軸も地理も全く異なる複数の歴史観が存在するからだ。 1つは、台湾が世界の舞台に登場した400年前…

6歳で殺された息子の死に「意義」を…社会と政治を動かした父親の闘い

<子供を失った悲しみと警察の不十分な対応が、犯罪捜査番組と多くの正義を生んだ> 1981年7月27日、私の家族は永遠に変わってしまった。その日、妻のルベは6歳の息子アダムと、フロリダ州ハリウッドのデパートで買い物をしていた。正午過ぎ、見本の家庭用ゲーム機で遊ぶ子供たちを見ているアダムを置いて、妻はその場を離れた。安全な場所のはずだった。 だが数分後に戻ってくると、アダムはいなくなっていた。 後に判明したことだが、子供たちがけんかになり、アルバイトの17歳の警備員がアダムもその群れの1人だと誤解したと…

「ナチュラルすぎる自撮り」で人気者のゴリラ、親友の腕の中で息を引き取る

<ソーシャルメディアを通じて世界中で愛されたマウンテンゴリラ「ンダカシ」と、支え続けた飼育員の友情> 飼育員の自撮りに直立状態で写り込み、ネット上を賑わせたメスのマウンテンゴリラ「ンダカシ」が、長期にわたる闘病の末、9月26日の夜に死亡した。 ヴィルンガ国立公園(コンゴ民主共和国)のプレスリリースによると、このゴリラは、世話人、そして友人でもあるアンドレ・バウマの腕の中で息を引き取ったという。 「このような愛すべき生き物を支え、世話することができて幸せだった。特にンダカシが幼い頃、どんなトラウマを受…

会社で評価される「数字に強い」という能力の、意外に低いハードル

<ビジネスの現場で求められる「数字に強い」という能力は、具体的にどういうもので、どうすれば身につけられるのか> ※この記事は、本の要約サービス「flier(フライヤー)」からの転載です。 数学的能力は一般的に、ビジネスパーソンに必須の能力とされています。実際、「どうも数字が苦手で」「数字を使って、きちんと報告してください」……こういった言葉を耳にする機会は多いのではないでしょうか。 そこで今回は、ビジネス数学教育家として活躍し、『そもそも「論理的に考える」ってどうすればできるの?』(三笠書房…

うつ病に治療のための、新たな脳深部刺激療法が開発される

<うつ病の症状に関連する脳部位に神経刺激装置を埋め込んで電気刺激を与えるという「治療抵抗性うつ病」の新たな治療法の原理証明に初めて成功した> 米カリフォルニア大学サンフランシスコ校の研究チームは、うつ病の症状に関連する脳部位に神経刺激装置を埋め込んで電気刺激を与えるという「治療抵抗性うつ病(TRD:抗うつ薬に反応しないうつ病)」の新たな治療法の原理証明(PoP)に初めて成功した。 その研究成果は2021年10月4日に生物医学ジャーナル誌「ネイチャーメディシン」で公開されている。 うつ病に関与する脳部…

危険な熱帯感染症で4歳の少女が脳にダメージ、感染経路は自宅の水槽か

<感染すると治療が困難で死亡率も高いことで知られる「類鼻疽」に感染し、脳にダメージを負ったテキサス州の少女> 米テキサス州に暮らす4歳の女の子が5月に感染した珍しい熱帯病について、米疾病予防管理センター(CDC)はこのほど、自宅で飼育する魚用の水槽が汚染されており、そこから感染した可能性があると報告した。4歳のライラ・ベイカーは類鼻疽(るいびそ)という珍しい細菌感染症と診断されているが、この病気はホイットモア病とも呼ばれ、類鼻疽菌という細菌によって引き起こされる。 CDCによれば、類鼻疽は熱帯気候で…

営農するアリ「ハキリアリ」、そのシャープな歯は金属製だった

<葉を噛み切って集め、巣に持ち帰ってキノコを栽培。商売道具の鋭い歯は、重金属の原子で覆われている> 人類の定住生活を可能にしたともいわれる農耕は、歴史上で大きな役割を果たしてきた。実はアリのなかにも、一種の栽培業を営む種類がある。中南米に分布するハキリアリだ。 ハキリアリは鋭い歯を使って木の葉を小さく切り取り、地下の巣に持ち帰って菌床をつくる。正確には、餌となるのは私たちが想像するようなキノコではなく、成長前の姿でカビのような見た目をした「菌糸体」だ。いわゆる傘と柄の形となる子実体に成長しないよう適…

イギリスがAUKUS結成を画策した理由──激変するインド太平洋情勢

<世界を驚かせた米英豪の同盟「AUKUS」創設のきっかけは、今年3月、ロンドンのオーストラリア高等弁務官事務所での出来事だった。なぜオーストラリアは原子力潜水艦を求めるのか。なぜジョンソン英首相は「渡りに船」と捉えたのか> 英国の空母「クイーン・エリザベス」の艦隊の日本訪問は文字通り、インド太平洋時代の幕開けを告げることになった。 「クイーン・エリザベス」が日本を離れてちょうど1週間後の9月15日、英国、米国、オーストラリア政府はインド太平洋に新たな安全保障同盟「AUKUS(オーカス)」を創設するこ…

北朝鮮がWHOからコロナ対策物資受け入れ──「感染者ゼロ」なのに

<ワクチンについてはいいまだ受け取りを拒否。接種状況の監視要員の受け入れに難色か。中国製シノバックは効き目が悪いと選り好みしたフシも> WHO(世界保健機関)が北朝鮮に、新型コロナウイルス対策の支援物資を送り始めたとAP通信が報じた。北朝鮮は、新型コロナ感染者は一人も発生していないと主張しているのだが。 WHO平壌事務所のエドウィン・サルバドール所長は、北朝鮮がWHOをはじめとする国連の各機関に対して、救急医療キットや薬などの医療物資の送付を許可したことを明らかにした。 サルバドールはAP通信に対し…