地元北海道の木材をふんだんに
環境にも配慮した国内初の高層ホテルが誕生した。
札幌大通公園脇で木の質感が目を引くホテル。三菱地所が10月1日オープンした国内初の高層ハイブリッド木造ホテル「ザ ロイヤルパーク キャンバス 札幌大通公園」。
外観だけでなく、構造部分や天井壁にもふんだんに木材が使われているのが特徴。特に高層階の客室は純木造。山のコテージのような木のぬくもりあふれる空間が広がる。
建物の構造材に使用した木材の量は国内最大規模。その大半は地元北海道産の材料を使用した。
さらに、提供する食事は道産タマネギや松前漬けなど、北海道食材の地産地消にこだわり、道内の農園から取り寄せた野菜を使ったお寿司など、ビーガン向けのメニューも取り揃えている。
三菱地所 吉田淳一社長:
サステイナブルな街づくりとか施設運営というのを心がけてまいりたいという中で、やはり地産地消というのが地球環境に優しくやっていくという中では大切なことですし、我々はさらに地球を思う力というものも加えていくようにしていきたいというふうに思ってます。
国産の木材需要が広がる効果とは…
内田嶺衣奈キャスター:
デロイトトーマツグループの松江英夫さんにお話を伺います。木材を活用したこうした取り組みですがどうご覧になっていますか?
デロイト トーマツ グループCSO松江英夫氏:
こういった木材の建物が増えていくことは、使い手である需要家を起点にしながら、「使用の削減の循環を作る」ことにつながると私は見ているんです。
実際、木造化によって木材の需要が広がっていくと、植林をはじめとして森林の安定供給につながりますから、CO2を吸収する力が強くなる、これがまず大きいと思うんですね。
さらに、こういった木造の建築においては、実際製造工程において、鉄筋の場合に比べて、木造の方がCO2の排出量かなり抑えることができるというデータもあるんです。
こういった建物は一度作ると長期に渡って利用しますから、その間のCO2の排出を抑える、貯蔵することができる効果も踏まえて考えると、供給と製造と利用、この長い周期の中でCO2をコントロールできる好循環を作っていくことに期待できるのではないかと思うんですね。
内田嶺衣奈キャスター:
環境への意識というのが高まる中で、改めて木材、特に国産の木材が今注目されているんですね。
デロイト トーマツ グループCSO松江英夫氏:
特に国産の木材需要が広がっていくと、今、国内の林業で高齢化や人手不足に悩まされている産業自体の活性化にもつながりますし、森林が保全されることによって災害の抑止にもつながっていく。いわば地球の環境を守るだけではなくて、災害から人の命を守ることにもつなげるこんな効果にも期待できると思うんです。
まさに国内の木材需要をきっかけにしながら、CO2の削減と林業の復活とそして災害の抑止、この三位一体で進めていく、こんな視線がますます重要になると思います。
内田嶺衣奈キャスター:
環境に優しいだけではなく木のぬくもりを感じられるというのも個人的にはいいなと思いました。ホテルに限らずこうしたハイブリッドの建物が今後増えていくかもしれません。
(「Live News α」10月1日放送分)