もっと詳しく

<感染すると治療が困難で死亡率も高いことで知られる「類鼻疽」に感染し、脳にダメージを負ったテキサス州の少女> 米テキサス州に暮らす4歳の女の子が5月に感染した珍しい熱帯病について、米疾病予防管理センター(CDC)はこのほど、自宅で飼育する魚用の水槽が汚染されており、そこから感染した可能性があると報告した。4歳のライラ・ベイカーは類鼻疽(るいびそ)という珍しい細菌感染症と診断されているが、この病気はホイットモア病とも呼ばれ、類鼻疽菌という細菌によって引き起こされる。 CDCによれば、類鼻疽は熱帯気候でよく見られる病気であり、オーストラリア北部や東南アジアに広がっているという。類鼻疽菌は通常、汚染された水や土壌に存在し、直接接触によって人や動物に感染する。通常、熱帯と亜熱帯の環境のみで自然発生するため、最近になって国外旅行をしていない人の感染が続いたことに、医師たちは困惑している。 2021年だけで、CDCはテキサス州、カンザス州、ミネソタ州の3症例について調査している。3人の患者はいずれも米国外に渡航しておらず、どのように類鼻疽菌と直接接触したかは不明だった。CDCは8月、そのうち2人が死亡したと報告した。 しかし、CDCと数州の保健当局が共同で発表した報告書では、2019年にメリーランド州で発生した症例が、患者女性の自宅にあった淡水水槽と関連づけられた。 類鼻疽に感染したこの女性は国外渡航歴がなかったが、自宅から採取したサンプルを検査したところ、3つのサンプルが陽性となり、いずれも輸入熱帯魚が入った淡水水槽から採取されたものだった。報告書によれば、これらのサンプルは「患者の臨床分離株と遺伝的に一致した」という。 魚は2月に死んでしまっていたが 保健当局は、すでにメリーランド州の女性が輸入魚を購入したペットショップの調査を開始。「これらの業者は、全米のペットショップに淡水動物や水生植物を卸している可能性があるため、サプライチェーンに入った類鼻疽菌の出どころを特定することは、公衆衛生にとって不可欠だ」と報告書には記されている。 なお、ベイカーのおばはUSAトゥデイに対し、ベイカーが飼っていた魚は2月に死んでしまったが、調査担当者は水槽の中身を調べることに関心を示したと語っている。報告書は医療関係者に対し、ベイカーとよく似た症状が見られる患者が、ベイカーと同様に水槽に触れたことがある場合は、類鼻疽の可能性を考慮するよう呼び掛けている。 ===== また報告書は、「類鼻疽と診断された患者のうち、類鼻疽の流行地域に行ったことがない、あるいは分離株のゲノムの地理的プロフィールと一致しない場所にしか行ったことがない患者については、公衆衛生調査員は、ペットの淡水魚との接触について質問することを検討すべきだ」とも記している。 問題は潜伏期間が数週間~数カ月と、幅があることだ。症状も、感染の種類によって異なる。CDCによれば、大まかな症状は発熱、失見当識(時間や方向感覚などの認識が失われること)、胃痛、胸痛などで、糖尿病や肝臓病を発症することもある。 専門家は、感染のリスクを減らす方法として、水槽内の何かに触れた後は、せっけんと水でしっかり手洗いするよう呼び掛けている。 また、報告書には推奨事項として、こう記されている。「手の傷があるときに魚や水槽を扱う際には、手袋をはめて傷を覆うか、傷が完治してからにすること。免疫不全の患者は、水槽を洗わないこと。免疫不全の患者がいる可能性がある場所でも作業しないこと。5歳未満の子供に水槽の掃除をさせないこと」 (翻訳:ガリレオ)