『環球時報』が掲載していた「日媒:许多中国人开始诚恳接受“现在的日本”」という記事がいろいろ興味深かったので、これについて少し。
1 記事の紹介
これはもともと『週刊ダイヤモンド』に掲載された「『日本は理想郷』ネオ親日派は中国を変えるか」という記事を翻訳して紹介しているものです。
話の内容としては、上海ではもともといわゆる「日本ファン」は少なくなかったが、それを口にするのは憚られる雰囲気があった。
ところが、最近は世代交代の影響もあり、だいぶ自由になってきたというものです。結果、「日本が好き」「日本はいい」と、公共の場で話すこともできるようになってきたというものです。
もともと中国には「小日本」といった蔑称が存在するが、訪日客の増加や世代交代などの影響で、多くの人が真摯に「現在の日本」を受け入れ、日本の「良いところ」を避けないようになった。
これは、中国民衆の一大変化だと言っても良いとしています。
2 翻訳
これまで何度か取り上げてきておりますが(園田政務官のパフォーマンスについての海外報道、中国人に対する、日本人の好感度が下がった原因等)、中国マスコミの翻訳記事は中国に都合の悪いところは平気で省略されます。
これは今回の「翻訳」記事でも例外ではありません。この記事を見ると単に中国人が世代交代したから日本を褒めているという話ですが、筆者である姫田小夏氏が述べている理由について全く触れておりません。
彼女の見解によれば、日本の場合公務員が親切で、「日本は国民を大事にする国だと」という印象を持つようになります。
結果、行政サービスの重要性に気付くわけですが、「表立って政府を批判できないのが中国である。そこで日本を徹底的に褒めちぎろうというわけだ。中国政府に向け皮肉たっぷりの民意を伝える」という抵抗から日本を褒めるとしております。
3 日本礼賛
更に彼女は「もちろん、日本も一皮めくれば矛盾だらけで課題山積みではある」と単なる日本礼賛記事を書いたわけではありません。
しかし、当然中国では、こうした政府批判を記事にできるわけもないので、ある意味彼女が最も主張したかった中国政府に対する中国民衆の不満という箇所が削除されてしまっています。
結果、単なる日本礼賛記事になってしまっているわけで、これを読んだ中国人がどのような感想を抱くかはいうまでもありません。
実際最初の記事についているコメントを見ても、あまり好意的なものはなく、「自己愛が強い」「面の皮が厚い」といった書き込みが見られることとなります。
4 最後に
私も正直、単なる日本礼賛記事はあまり好きではなく、日本に来て日本の良さを書き込み中国人といった日本語記事などはかなり飽き飽きしております。
今回、『人民日報』傘下の『環球時報』が何故このような記事を配信したのは不明です。ただ、元記事も日付まで記載されており、かなり検索しやすい状態になっていました。
結果として、日本語のわかる方であれば、いくらでも元記事にあたることができるようになっています。
そのため、この記事を書いた記者の意図は不明ですが、かなりいろいろ考えると面白いことになるかと思ったが故の今日のエントリーでした。