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以前このブログでアタッチメントペアレンティングについて書いた時、
http://blog.livedoor.jp/akikoasakura/archives/51691730.html

「(アタッチメント・ペアレンティング)
をしていて一番いいのは、
無駄なバトルにエネルギーを費やすことがないので、
その分、そのエネルギーを、
子どもとの絆を深めることに使え、
子育てが、どんどん楽しくなっていくことです。」
と書きました。

これは私がそう感じたということだったんですが、
じゃあ提唱者自身のシアーズさんがどういうことを言っているかというと、

「子どもの心に寄り添う育児をしていて一番いいことは、
子どもの心を読み取る能力がつくこと」

と言ってるんです。

ラジオの周波数をあわせるように、
子どもの心の周波数に自分の心をあわせる。

つまり直感力ですね。
この能力が育つというのが、
アタッチメント・ペアレンティングの肝だと。

アタッチメント・ペアレンティングは、

「赤ちゃんが泣いたり、子どもがぐずったりするのは、
私たちに何らかのメッセージを送ってるんだ」

と考えるところから始まります。

赤ちゃんが泣いたら、
きっと何か伝えようとしてるんだろうと思って、
なんとかそれに答えてあげようとする。

子どもがぐずって言う事を聞かない時は、
きっと何か原因があるに違いないと思って、
なんとかそれを理解しようとする。

最初はわからないながらも、
そんなふうに心も体も子どもに寄り添って、
なんとかそのメッセージを受け取ろうとがんばってるうちに、
ぴーんと、あの研ぎすます感じを体得する。

すると子どもの心がわかるようになるのです。
もちろんそれは簡単なことではないけれど。

でもこれはとても大切なことなんですね。
なぜなら、生まれてくる子どもたちは、
みんなひとりひとり、全然違う。だから、
「その子ども」をどうやって育てたらいいか、
なんて、生まれるまでは誰にも分からない。

誰にも分からない、人類初の謎。
その答えを持ってるのは、
目の前にいる子どもだけなのです。

しかも相手は言葉を話さない。
話すようになったって、
言ってる事と、心の中の思いは全然違ってたりする。
だから直感力がなかったら、
結構大変です。

特に相手がかなり手強い場合。

でも一度その「子どもの心を読み取るチューナー」を手に入れたら、
子育てをしている間、ほぼ毎日直面する困った事態に、
どう対処したらいいのか、
迷うことなく判断できるようになる。
だから、子育ては、楽になるし、
子どもといる事が楽しくなるし、
子どもも幸せ。

これがアタッチメント・ペアレンティングのもたらす恩恵だと、
シアーズさんは言っています。

それとは反対に、
赤ちゃんや子どもを「いい子」に矯正していくやり方は、
むしろ私たちに、子どもの心に「鈍感」であることを要求するとシアーズさんは言っています。

「心を鬼にして」
という言葉がありますよね。
相手の心の痛みを感じて同情してしまわないように、
鬼のように、何も感じない心で向き合う、
そういうやり方です。

「そのような方法をとっていると、
親は、自分の直感を信用できなくなってしまうし、
子どもは、自分の出すメッセージは受け取ってもらえると信じる事ができなくなってしまうので、
親子の間に溝を作ってしまう」と、
シアーズさんは書いています。

アタッチメント・ペアレンティングが「直感」の育児なら、
しつけ主義は「鈍感」の育児なのです。

でも、もちろん、鈍感さの生み出す安定性は、
あなどるべきではないし、
ある程度の枠組みがあった方が、
子どもは安心するというのも本当だと思います。

アタッチメント・ペアレンティングを実践するお母さんたちは、
子どもの気持ちに繊細であるあまりに、
自分自身も、傷つきやすくなっていることがよくあるのです。

この間、私がベビーシッターをしている赤ちゃん(めちゃくちゃかわいい)のうちに行った時、
その子が私とお母さんが見ている前で、
おすわりの姿勢から前につんのめって、
頭を床に打ち付けてしまったんですね。

もちろん赤ちゃんは即座に泣き始めました。

それほどたいした衝撃には見えなかったし、
打ったところもとくに腫れ上がってきてもいなかったので、
私は、あははと笑って、
「痛かったね。アーニカ塗っておこうね。」
(アーニカ;打ち身や筋肉痛などに絶大な効果を発揮する魔法のハーブ。オルタナティブ家庭・学校の常備薬)
と言ったら、

そのお母さん、すごくショックをうけた様子で、
「(赤ちゃんに)ごめんなさい、こんな痛い思いさせちゃって」
と言って抱き上げて、
自分も今にも泣きそうな顔で、
おっぱいをあげはじめたんです。

「あ、しまった」と思いましたよ。
このお母さんはこんなにも繊細に、
子どもの痛みを自分の痛みのように感じているのに、
私が笑ったりなんかしたから、
このお母さんはすっかり傷ついてしまったんだって。

お母さんは、泣き止まない赤ちゃんに、
なんだか殻に閉じこもってしまった感じでおっぱいをあげてるので、私も反省して、

「ミアちゃん(仮名)は幸せだね。
こんなにミアちゃん思いのお母さんがいるんだもの。」

と、なるべくお母さんの気持ちに添うような言葉を言ってみたら、
そのお母さんも少し落ち着いて、

「あ、本当よね。アーニカが必要よね。」
と言って、私を見てくれたのでした。

話が長くなってしまいましたが、こんなふうに
赤ちゃんの気持ちに繊細なお母さんは、
自分自身も繊細で傷つきやすかったりすることがよくあるのです。

その傷が、突然、抑えがたい怒りや、
何もかも投げ出したくなる衝動を、
生んでしまうこともあります。

だから、小さい子どもや赤ちゃんのいるお母さんは、
どうか決して、一人で抱え込まないでください。

子どもは、私たちみんなの宝なのだから、
みんなで育てていくのが一番いいと私は思っています。

アタッチメント・ペアレンティングはすばらしい方法だけど、
「子どもの心を読み取る能力」が身に付くまでの間は、
かなり大変。
赤ちゃんにふりまわされて、自分はぼろぼろ、
そんなふうにもなりがちなのです。

だから「自分はそのチューナー装備してる気がするわ」
という自負のある経験豊かなお母さん方が、
まだ新米で不安でいっぱいの、
(昔の私みたいな)お母さんたちに、
気軽にヘルプをあげられる、
そんなイルカのようなコミュニティーが、
アタッチメント・ペアレンティングには必須です。

シドニーには
「シドニー・アタッチメント・ペアレンティング」
(略してSAP)
という、メーリングリストのグループがあって、
このSAPの恩恵を受けたお母さんたちの数は数えきれない程。

日本だと、自然育児友の会がありますね。
私がこの会のことを知った時は、
あかねはすでに4歳で、
「ああ、もっと前に知っていたかった!」
と嘆いたものでした。
でもそれでも入会して、
マクロビ合宿とか行ったりしたなあ。
それでブルーマウンテンに行く事になるのだけれど。

長くなりすぎるので、さすがにここらへんで。