アフガニスタンでタリバンが首都カブールを制圧して2カ月半が経つ。国内は今も混乱が続き、人々の暮らしが危機に直面していると報じられている。10月25日付のインドの英字メディアタイムズ・オブ・インディアは社説でこの問題を採り上げた。
直面する危機
アフガニスタンで8月15日、タリバンが首都を制圧し、実権を握った。その後、駐留米軍が撤退したが、タリバン政権の国際的な承認はまだ進んでいない。また、女性の就労を認めないなど、国際社会が懸念していた事態が引き起こされている。10月初めには、タリバンと対立する「イスラム国(IS)」系の「IS-K」が、金曜日のモスクを自爆攻撃する事件も起きた。
そんな中で、アフガニスタンの国民へ手を差し伸べようという動きがあるという。
「先日、タリバンとインド政府との協議が開かれた。タリバンが実権を握ってから2回目で、タリバン側はインドが人道支援の提供を約束したと主張している。インド側はこれをまだ認めていないが、アフガニスタン国民への人道支援は、悪いアイデアではない。現地の状況は今も悲惨で、必要な物資が足りていない状況だという。米国のドル送金停止や国際通貨基金(IMF)による支払い停止を受けて、アフガニスタン経済は外貨不足に陥っている」
国内で物資が不足しているうえに、多くを海外からの援助に頼ってきた財政も、その供給を限定された状態だ。社説は、アフガニスタンの公務員や医療関係者が何カ月にもわたって給料を支払われておらず、世界保健機関(WHO)によれば、国内2300カ所のクリニックのうち90%が閉鎖の危機に直面していると指摘する。
カシミールという火薬庫
こうした状況を踏まえ、社説は同国への人道支援が必要だと主張する。
「タリバンがいまだ国際的に認知されていないことや、テロリストとして認定された人々が含まれていることを考えると、今、アフガニスタンに援助をすること複雑な問題をはらんでいる。しかし、だからといって、アフガニスタンの国民が苦しんでいいという理由にはならない。彼らが以前選んだ政府は、逃げてしまったのだ。さらに、もしも人道的な状況が悪化すれば、その火の粉は近隣諸国にふりかかってくる。多くの難民の流出だけでなく、治安状況が悪化するからだ」
さらに社説は、「インドは、カシミール問題という火薬庫を抱えている」と、指摘する。カシミールには、アフガニスタンからイスラム過激派が流入しているという情報があるが、アフガニスタン情勢が改善すれば、カシミールへの影響も鈍化するだろう、というのが社説の主張だ。
「したがって、アフガニスタンの国民が援助で救われると同時に、タリバンが改革と人権尊重へと向かうように仕向けるという2トラックでのアプローチが最善の方法だ。この視点に立てば、インドはアフガニスタン人に対して医療支援を提供し、学生ビザの発給を再開すべきだ」
世界がこれからタリバンをどのように認めるのか、認めないのか。いずれにしても米軍が撤退した後、残された人々を「見捨てる」ような政策が許されてはならない。
(原文https://timesofindia.indiatimes.com/blogs/toi-editorials/aiding-afghanistan-on-both-humanitarian-and-strategic-grounds-india-must-provide-succour-to-ordinary-afghans/)
The post インドの社説がアフガンへの人道援助を訴え first appeared on dotworld|ドットワールド|現地から見た「世界の姿」を知るニュースサイト.