腰の負担を軽減する無動力外骨格について、装用者が考え事をしながら作業する場合には効果が得られない可能性を示す研究成果をオハイオ州立大学などの研究グループが発表している(Ohio State News の記事、 論文アブストラクト、 SlashGear の記事)。
研究で使用した外骨格は胸と脚に取り付け、持ち上げる作業における腰の負担を軽減して負傷の危険性を低下させるものだ。この外骨格を健康な被験者 12 名(成人男女各 6 名)が装着し、30 分間にわたってメディシンボールを繰り返し持ち上げて下ろす作業を 2 セッション実施した。ただし、一方のセッションではボールを持ち上げるたびに 500 ~ 1,000 のランダムな数と 13 の差を暗算するというタスクが追加されている。
各セッションで被験者の脳活動と腰にかかる力を赤外線センサーで測定した結果、単純な上げ下ろし作業では腰の負担がわずかに軽減されたものの、暗算しながらの作業で腰の負担は軽減されなかったという。このような結果は脳が外骨格と協調して体を動かそうとしつつ暗算を行うことでリソースの競合が発生するためとみられ、かえって腰の負担が増して負傷の危険性が高まる可能性もある。
暗算に限らず、心理的ストレスや作業に関する指示を受けることでも同様の結果になる可能性があり、企業が1台あたり数百ドル ~ 数千ドルかけて外骨格を導入しても期待した効果が得られない可能性が高いとのことだ。
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