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<体温の低下が質のよい眠りをもたらし、解放感やパートナーとの絆の深さも味わえる> 夏の夜に困るのが、暑さでうまく寝付けないことだ。その手っ取り早い解決法として、パジャマを脱いで裸で寝る人もいる。 睡眠について詳しい臨床心理士のカーラ・マンリーによれば、裸で寝ることがいい睡眠をもたらすかどうかは基本的には各人の好みの問題だ。一見些細なことであっても、自分にとっての快不快を無視するといい眠りを得られなくなる可能性があるという。 「暑さのあまり裸で寝るのを好む人もいれば、寝間着を着ることによる締め付け感がなくて気持ちいいという人もいる」とマンリーは言う。「一方で寝間着を着るのが好きな人が裸で寝ると、心もとない気がしてぐっすり眠れないかもしれない」 裸であれば体の熱を冷ますことができるという点も見過ごせないだろう。不眠に悩む人々へのセラピーを行っているソムヌス・セラピーの睡眠心理の専門家、キャサリン・ホールによれば、体温は睡眠において重要な役割を果たしている。 「睡眠は体の中心温度が下がったときに起きる」とホールは言う。「そして体温の低下は睡眠ホルモンのメラトニンの分泌に合わせ、眠りに就く2時間くらい前に始まる。体温が少し下がると、心拍や呼吸、消化のペースも落ちる。質の高い眠りへの完全なリズムへと体をいざなうのだ」 間違いなくよい睡眠の要因の1つ マンリーも言う。「体温の低下は『寝る時間が来たよ』という脳に対する合図だ。体温が下がることと睡眠の質が上がることの間に相関関係があるということは、裸で寝ることも(よい睡眠の)要因の1つに間違いなくなり得る」 睡眠の質が上がれば、心身共にいい影響が出るはずだ。「裸で寝ることが睡眠全般の改善につながるのだから、脳の健康を改善したり、心疾患や糖尿病や体重増の予防、集中力アップの効果も期待できる」とマンリーは言う。 「体を冷やすことで、よりしっかりとノンレム睡眠が取れるという研究もある」とホールも言う。「心身を回復させる効果の高い睡眠が取れるということだ」 また、パートナーと一緒のベッドに寝ている場合、肌を触れ合わせて眠ることで、絆を深めるホルモンの分泌につながるとマンリーは言う。「オキシトシンというホルモンは抱っこホルモンとも言われるが、その値が上昇し、幸福感をもたらしてくれることが多い。お互いに無防備な状態で、愛情に満ちた関係でつながっているという感覚も強まる」 ===== パジャマを着ようが着まいが、シーツは週に1度は取り換えたほうがいい。さらに裸で寝る場合には、死んだ皮膚細胞や皮脂、場合によっては排泄物といったものも落ちるとホールは言う。「寝る前にシャワーを浴びるか、シーツ交換を頻繁にしたほうがいい」とマンリーは言う。 また、涼しい季節になってきたら、裸で寝ることが逆効果になる可能性もあるから要注意だ。寒いくらいの室温になるとそもそも眠りに落ちるのが難しくなるし、嫌な夢を見やすくなるという。 「自分の体と心にとって一番いいことをやっていれば、寝付きはずっとよくなるはずだ」とマンリーは言う。今はともかく、肌寒さを感じるようになったらさっさとパジャマを着るほうが賢明だ。