この本ほど最初の期待と読後感が異なる本も珍しい。
著者とは、ありがたいことに何度か面識もあり、その著作も何冊か読ませてもらっている。
その前提でこのタイトルの本。
完全に自己啓発系、ノウハウ本という思い込みから始まる読書だった。
そしてそれは次々と裏切られる。
裏切られるたびに色んな所に赤線が引かれ、書き込みが増える。
結果たどり着いたのは、この本は思想書だということだ。
何度も読み返すに足る思想の書だ。
本も作者のノートだと捉えるなら、著者はまさにこの本から始まったと言えるかもしれない。
そしてそれは今までのすべてのノートがあったからで、ある種今の時点の集大成なのかもしれない。
集大成にして始まりの本。
それがこの本の正体なんじゃないか。
だから最後の一節が余計に染みるし、なんならそれってタイトル裏に献辞でしょと思ったりもする。
この本で好きなのは「はじめに」と第1章だ。
特に「はじめに」なんて、読み終わったら、ドラゴンクエストのオープニングテーマが頭の中を流れた。
渾身のつかみだと思った。
そして思想性が1番溢れてるのが第1章だ。
「はじめに」の起を受けての承だ。
とはいえ、役に立つノウハウの方も満載で、そこは期待は裏切らない。
越えてくる。
だって役に立つ範囲がノートを越えて、生き方だったり、考え方だったりするのだ。
第2章から第7章までに渡って、様々なノートにまつわるノウハウが「転」として展開していく。
まさに人生へと展開していく様子が書かれている。
そして「結」である補章と「おわりに」。
一貫して平易で穏やかな言葉で綴られた熱い思いがそこにはあった。
ノートを手に冒険に出ようと誘い、最後に叛逆を唆す。
いつからだってどこからだってはじめられる。
それがノートのいいところ。
もうね、超ざっくりいうと、人なんてずぼらで嘘つきで物覚え悪くてすぐへこたれるホントどうしようもない生き物なんだけど、その外にノートという外部脳を持つことで、変われる。
ってことが繰り返し繰り返し書かれてると僕は思っていて、だからそのたびに、勇気をもらえる。
著者は関西のお人なんで多分「かまへんかまへん、なんか書いとき、読んどき」というつぶやきが聞こえる気がして。
最後に。
ノートってほんまいろんなメタファーだなと。
ある意味発見。
ほら始まった。