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東京オリンピックも折り返し地点を迎えた。日本代表が史上最多の金メダルを獲得し、多くの名場面が生まれる中、各会場で取材をしているとボランティアの心遣いを随所に感じる場面が多い。

学生ボランティアが流暢な英語で海外メディアをおもてなし

東京アクアティックスセンターの競泳会場では大学4年生の学生に出会った。私たちクルーが取材申請のために会場の事務所に入ると「どうかされましたか?」と笑顔で声をかけてくれた。

就職活動が終わったのを機に、東京大会でのボランティアに参加することにしたのだという。当日のレース順や注目選手などもしっかりと把握していた彼は英語を流暢に使いこなし、私たちの案内が終わった後も会場内で迷っている海外メディアに自ら声をかけ、取材エリアまで案内にでていた。異国の地で土地勘も会場内の動線もわからない海外メディアにとってはとても頼りになる存在だろうと思った。

会場を消毒するボランティア(時事)

指摘すべきはしっかりと 安心安全な運営に一役

有明アリーナのバレーボール会場でも英語を使いこなす男子学生に出会った。積極的に案内を買って出てくれ、取材の申請事務についてもテキパキとこなしてくれた。

試合終了後の選手へのインタビューでは、感染対策のため選手とメディアは2mの距離を取った上でインタビューをすることとの決まりがあるのだが、海外メディアの中には選手と接近して取材をしている場面も多い。そんな中で彼は「Keep the distance please」と距離を保つようしっかりと声をかけていた。

こうしたボランティアたちの一声、一声が安心安全な大会の一助につながり、来日した選手やメディアの日本の好印象につながっていくのだろうと感じた。

各会場でスタッフが感染防止を呼びかけている(時事)

移動はホテルと会場の往復のみ「本当はSUSHIやRAMENを食べたいけれど・・・」

出会ったのは日本人ボランティアだけではない。潮風公園のビーチバレー会場ではブラジルから来日したという女性に出会った。

コロナにより海外在住の外国籍ボランティアの受け入れは原則見送ったが、競技や大会運営に関する専門知識などを持つ一部のボランティアについては必要性が高いとして政府が入国を認めている。

彼女は「冗談抜きでブラジルより暑いわよ!」と屋根のない潮風公園での活動の大変さを話してくれたが、大会に携われることが幸せだという。一方で東京をもっと楽しみたかったとの本音も聞いた。「本当はSUSHIやRAMENを食べたいけれど、ホテルから出られないし、入国後14日間の隔離期間が終わってもお店は20時までしかやってないしね」とホテルと会場の往復のみの毎日を送っているのだという。そんな彼女は「オリンピックが終わるまでは会場に毎日いるから何でも聞いてね!」と笑顔で気遣ってくれた。

ビーチバレー会場(東京・潮風公園)(AFP=時事)

コロナ禍での開催となった大会では窮屈な場面が多い。ましてや首都圏を中心とした感染者の増加を背景に、大会をこのまま継続すること対して疑問を持つ意見も聞かれる。

その中で、一度始まった大会を最後まで無事に成し遂げるため、各々の持ち場で役割に励むボランティアの姿はとても印象的だった。

(フジテレビ五輪取材班・亀岡晃伸)