30日、投資銀行(IB)業界によると、ネットマーブルは、アイタムゲームズの経営権買収のため、最終的な契約条件を交渉している。投資規模は約150億ウォン(約14億円)だ。交渉は、早ければ来年1月に終了する見通しだ。IB業界関係者は「アイタムを買収すればネットマーブルは、準備中のP2Eゲーム生態系造成が急ピッチで進められる」とし「ブロックチェーン関連業者を広く探しており、追加買収も行われそうだ」と述べた。
ネットマーブルは、アイタムゲームズが構築したフラットフォームを基盤に、ネットマーブル「P2E」生態系を作る計画だ。アイタムゲームズのブロックチェーンプラットフォームを基盤にゲームを開発すれば、アイタムゲームズが運営する代替不可能トークン(NFT)取引所、ゲーム開発者精算システムなどP2Eゲームシステムをすべて活用できる。アイタムゲームズのP2Eゲームの生態系は、仮想通貨アイタム(ITAM)を基軸通貨として運営される。P2Eとは、ゲームユーザーらが獲得したアイテムやNFTなどを、暗号通貨で現金化できるゲームを指す。
ゲーム業界は、ウィメイド、カムトゥースホールディングスを中心に、P2E生態系の確保競争を繰り広げている。ウィメイド社とコムトゥスホルディングスは、それぞれ自社ブロックチェーンプラットフォームウィミックスとハイブにより多くのゲームを誘致するため業務協約(MOU)を拡大するほか、投資·買収も推進している。
パン·ジュンヒョク・ネットマーブル議長(写真)は、2010年代初頭、赤字に苦しんでいた会社に「一大革新」をもたらした。モバイルゲームに「オールイン」するというのが当時の決断だった。モバイル事業部を新たに立ち上げるなど、体質改善に乗り出した。その結果、ネットマーブルは黒字転換に成功し、国内3大ゲーム会社(ネットマーブル、ネクソン、NCソフト)に成長した。パン議長が、ゲーム業界で「勝負師」と呼ばれるゆえんだ。
パン議長は、新しい挑戦に乗り出した。10年ぶりに手に入れた新しい「乾坤一擲」カードは、ブロックチェーンゲームの生態系確保だ。アイタムゲームズの買収推進は、その道を進む最初の足がかりとなる。これに先立ち、パン議長は7-9月期のカンファレンスコールで、「ブロックチェーンとNFT(代替不可能トークン)をゲームにつなげる」と発表した。今回の買収は、ネットマーブルが新しい「勢力図」の流れを覆す分岐点になると評価されている。
○ネットマーブルのP2Eゲーム「おおぞら」
ゲーム業界は、NFTゲームが未来の「食べ物」として浮上し、大手ゲーム会社を中心に、P2E(PlaytoEarn)ゲームの生態系拡張のための熾烈な争いが繰り広げられている。一種の「同盟確保」競争といえる。
一つのゲームが、ブロックチェーンのゲームプラットフォームに合流すると、ゲームのユーザーは、ゲームから得たNFTアイテムをプラットフォーム内のNFT取引所でプラットフォームの基軸通貨で取引できる。ブロックチェーンのゲームプラットフォーム会社は、より多くのゲームをプラットフォームに誘致するほど基軸通貨の価値が上がるのはもちろん、取引手数料を受け取るなど大きな収益を得ることができる。ネットマーブルが、独自のP2E生態系を構築しようとする理由だ。すでに形成されたP2E生態系に組み込まれるより、自社ブランドを利用してさらに大きな利益を取るという計画だ。ゲーム業界関係者は「ネットマーブルは過去のPCゲーム時代からモバイルゲーム時代に転換した時、新しい環境によく適応して強者になった」とし「今もP2Eゲームという新しい話題が投げかけられ、今後10年を見据えて積極的に投資するものと見られる」と述べた。
アイタム·ゲームズのプラットフォームを選択したのは、世界のユーザーを呼び込むのに有利だという判断からだ。アイタムゲームズの基軸通貨アイタムは、世界時価総額3位の「バイナンスコイン」と交換できるため、世界ユーザーのアクセスが容易だ。
○「ゲームチェンジャー」市場を先取り
ネットマーブルが、独自のブロックチェーンゲームフラットフォームを作るより、買収を選択したのは、P2E生態系の拡張競争が急ピッチで進んでいるからだ。現在、生態系を最も早く拡張しているところは「ウィメイド」だ。ウィメイド社は、ブロックチェーンプラットフォーム「ウィミックス」に来年末まで100件のゲームをサービスすることを目標に、攻撃的な業務協約(MOU)を進めている。コムトゥスホルディングスは、テラフォームスと技術提携し、ブロックチェーンゲームプラットフォーム「ハイブ」を開発した。NCソフトは、まだ具体的な計画を出していないが、仮想通貨の発行を検討し、来年NFTゲームの発売を予告するなど、独自のP2E生態系を構築するものとみられる。
ゲーム業界の関係者は「新しいパラダイムが始まる初期段階」とし「クラフトなどまだP2Eゲームに対する計画を発表していないゲーム会社も近いうちに参加すると見られる」と述べた。ネットマーブルは「現在、買収は確定していない」とし「開発子会社でブロックチェーンとNFTなど関連シナジー効果を出せる多様な企業を検討している」と述べた。
記者 ク·ミンギ kook@hankyung.com
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