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 『環球時報』が掲載していた社説「日本外相访华,摆样子还是真修好」がいろいろ興味深かったので、これについて少し。

1 記事の紹介

 岸田外相の訪中を受けて書かれた社説で、内容を簡単に翻訳して紹介すると以下の通りです。

 前回の日本の外相の訪中は2011年で、その後、2012年に日本が中日の釣魚島を「購入」して以来、両国の関係は厳しい。

 彼は訪中前に、中国に対して言うべきことは言うと述べていたが、対日外交が中国にとって最もとらえにくい。

 中米関係は非常に複雑で、緊張しているが、論理は比較的はっきりしていて、予測しやすい。フィリピン、ベトナムは中国は領土紛争があるが、対立点や利害関係は理解できる。

 インドとも大きな領土問題があるが、共に大国で、中国とインドの関係は安定しており、予想可能性が高い。これらと比較して、日本は特別だ。

 中日関係が低調な理由は、日本のアメリカへの傾斜で、東アジアで中国を牽制し、時には中国と公然と敵対することも厭わない。これは地縁政治の原則に反しており、自分の独立性をなくしているが、その目指すところは何か。

 日本の高官は中国との友好関係の発展について述べるが、絶えず中国をあげつらうだけでなく、彼らの行動と口で言っていることはよく矛盾している。まさに裏表のある日本である。

 これについては、中国の飛躍に直面し、日本が心理バランスを失っているという説明がよく聞かれる。より大きな原因は、今でも日本がアメリカに「軍事占領」されていることにある。

 経済大国でありながら、主権の一部が欠けている。そのため、こうした危機感やコンプレックスなどから混乱しているのではないか。

2 外交

 本当はもう少し続くのですが、私的にはここまでで十分「へー、そう考えるんだ」という感じだったので、ここまでにしておきます。

 先に述べておきますが、『環球時報』は共産党機関紙『人民日報』の傘下にあるもので、中国の愛国主義者御用達の新聞で、かなり独自の論理展開をしております(中国紙『環球時報』は日本に対して批判的か?)。

 今回の話にしても、もし中国がアメリカの外交を予測できるのなら、その「配下である」日本の予測をすることも極めて簡単な話のはずです。

 それに何も中国との友好関係を強調しておきながら、態度が異なるのは日本だけではありません。どこの区の首脳も中国を訪問した際には当然「友好」を強調するわけで、総論賛成・各論反対という極めて当たり前の話にしかすぎません。

3 友好

 トランプ候補のような例外もおりますが(トランプ候補の人柄と政策)、一般に政治家が外交をする際には、口では甘い言葉を述べつつも実際は裏でいろいろ画策しているもので、裏表がない外交が存在するはずもありません。

 実際、中国の方が「友好」という言葉を多用しつつ、日本の一部の方々を篭絡してきたわけですが、それこそ、私的には裏・表の最たるもののような気がしてなりません。

 念のため補足しておきますと、私は「友好」が悪いと言っているわけではありません。あまりに(一方的に)相手を信用しすぎるのはおかしいと言っているだけです。

 外交の目的は何かというと、いうまでもなく、相手に気に入られることではなく、自国の利益になることを目指すのが目的で、そのためには駆け引きも必要です(習近平訪韓の意義を強調する中国と、韓国の対応

 結果として、時には「友好」を論ずるのも必要ですし、相手の敵と手を組むことも必要です。実際ロシアなどは表面上は中国と仲が良いわけですが、実際は自国のことしか考えていないことは明確です(ロシアの経済危機と中国)

4 最後に

 確かにこうしたことがわかっていると予測が立てやすいというのは確かかと思います。そういう意味でロシアにしてもアメリカにしても最後は自国のことしか考えていないので、そこから推測すると何を考えているかわかるという面はあります。

 その点日本はこれが徹底していないので、時には本気で中国のことを気にしているのではないかということを平気ですることがあります。

 そうなると中国としては、喜ぶわけですが、直ぐに揺り返しが来て、中国にとって良くない方向に舵がぶれるというパターンが良くあります。

 結果、確かに中国にしてみればよくわからないということはあるのでしょう。ただこれは、思うに日本がお人よしで、自国の利益より、中国との関係性を重視するというわけのわからないことをしでかしてしまうためかと思います。

 つまりその時が単に譲歩しすぎただけで、それを中国が過度に期待しすぎると裏切られたという思いになるという話かと思います。