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 パキスタンで、野党連合などによる反政府デモが広がっている。同国は2019年から国際通貨基金(IMF)の財政支援を受けているが、国内ではインフレが進み、失業者が増えるなど改善の兆しが見えていない。10月24日付けの地元英字紙ドーンは、この問題を社説で採り上げた。

パキスタンで反政府デモ運動が激化している(カラチ、2021年10月22日撮影)(c) AP/アフロ

野党による全国抗議運動

 「カオスが政府に近づいている」。全国で一斉に実施された野党連合「パキスタン民主運動」などによる反政府デモについて、社説はこう書き出した。
 「主要野党は10月22日、政府の政策に反対するために国内各地でデモを実施した。パキスタン・ムスリム連盟ナワーズ・シャリーフ派などで構成されるパキスタン民主運動は、カラチやラホール、カイバル・パクトゥンワの一部で抗議行動をした。パキスタン人民党はカラチで、ジャマ―・イ・イスラミはディールやバタグラム、ムフマンドで、それぞれ抗議の声をあげた」
 社説によれば、これら野党勢力の抗議の背景には、インフレや高まる失業率など、国民生活への不安があるという。また、米国で行われていた財政支援を受けているIMFとの協議が順調に進まず、財政再建の見通しが立たないことも挙げられるという。

最大の脅威は

 この「カオス」の中で、「政府にとって最も脅威」だと社説が指摘したのは、パキスタン・ラバイク運動(TLP)による抗議活動だ。社説によれば、政府のTLPへの対応は、常に懸念材料になっている。パキスタン政府は、TLPの指導者であるサード・リズヴィ氏を、治安を乱したという容疑で4月に逮捕。3カ月にわたって拘束し、その後、7月には反テロ法違反の疑いで、再度、拘束した。社説は、「政府は明らかに彼に対する判断を先延ばしにしており、拘束にも一貫した理由がない。彼の訴追が正当なものであるのなら、法にのっとった手続きがなされるべきだし、テロ行為の訴追であるなら、政府はそのことを法廷に示さなければならない。このケースを放置すればするほど、TLPの人気を高めることになる」と指摘し、次のように述べる。
 「TLPがいくら抗議活動を繰り返し、それが破壊的でダメージを与えるものだったり、明らかに極端なイデオロギーを掲げていたりしても、彼らはパキスタン・タリバン運動のようなテロ組織とは認定されていない。TLPが今なお選挙委員会に政党として登録されていることから見ても、その活動を禁じることは正当化できない。人々に迷惑をかけたという理由で政党の活動を禁止すれば、それが前例となって、将来にわたり、同様の理由で政治活動の禁止命令が出されることになるだろう。政府には、政党が抗議する権利を尊重しつつ、社会の秩序を維持するという戦略が求められる」
 パキスタンの政治的、経済的な揺らぎは、パキスタン国民のみならず、タリバンが実権を握った隣国アフガニスタンの情勢にも大いにかかわってくる問題だ。社説が指摘するように、まずはパキスタン政府が筋の通った対応をすることによって、失墜した信頼を取り戻すことから始めなくてはならないようだ。

 

(原文https://www.dawn.com/news/1653644/anti-government-rallies)

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