ちょっとした切り傷などをしたときに、傷口に貼るばんそうこう。しかし、指などに貼った場合はすぐに剥がれてしまうこともある。
どうやったら剥がれず、キレイに貼ることができるのか…そんな悩みに湘南鎌倉総合病院の救命救急センターが、Instagramでコツを教えている。
「『手指のキズに絆創膏を貼るときのコツ』手指の絆創膏って貼りにくいし 剥がれやすいし ちょいムズですよねっ!」などというコメントともに投稿した動画には、「1分で伝えるER 絆創膏」とのタイトルで始まる、実際にスタッフが指の傷に合わせて3種類(先端/関節/腹)の貼り方を紹介している。
どの貼り方も難しい作業はなく、切れ込みを入れるだけでキレイに貼ることができている。例えば「指の関節」では、関節が曲がる箇所を避けて貼ることで、確かにいつも通りに関節を曲げることができているようだ。
投稿したのは、湘南鎌倉総合病院の救命救急センター公式Instagram・湘南ER(@shonan_er)。
この投稿に、「参考になりました」「凄い勉強になりました」「真似してみます」などのコメントに加えて「ありがとうございます」と感謝するコメントが多く集まっており、動画は117万7000回再生されている。(8月3日時点)
とても参考になる投稿で、たしかに指を怪我した時に、すぐに試してみたくなる内容だ。今回は3種類を紹介しているが、他にもあるのだろうか?
湘南鎌倉総合病院・救命救急センターの医師に話を聞いた。
切れ込みでズレや剥がれにくくなる
ーー投稿したきっかけを教えて
もともと、“地域教育”として、医療知識を一般市民にわかりやすく伝えることを目的とする医療講演を行っていました。
講演対象は、学校教員・中高生・幼いお子さんをもつ親・企業などさまざまであり、講演内容も依頼に応じてなんでも柔軟に対応しています。
しかし、コロナ禍で講演活動の依頼が減ったため、医療講演で地域教育を行うことの代替手段として、SNSを利用したメッセージ発信を行うこととしました。「1分で伝えるER」は2021年4月23日以降、週1回(毎週水曜日)配信中。今後も継続予定です。
ーー投稿にある切り方と貼り方を、改めて教えて
絆創膏の脇を切って、胴の部分を少し細くする。先端を越えるように貼る。
切れ込みを入れて、二股に分かれた部分を関節の曲がるところを避けて貼る。
切れ込みを入れて、二股に分かれた部分を背側で重ねるように貼る。
ーー切れ込みを入れるのは、なぜ?
手指は関節がたくさんあり、よく動かす部位なので、絆創膏が剥がれやすいです。物をつかんだり、手指衛生のために手洗いや消毒をすることでも、絆創膏がずれやすくなります。切り込みを入れることで、手指のかたちや関節の動きの影響を受けにくくなり、ずれたりはがれたりしにくくなります。
ーー紹介した3種類に共通するポイントは?
細くて小さな手の指の形にフィットさせることと、関節の動きを制限しない(関節の動きに干渉しない)ようにすることです。
1日1~2回は剥がして傷口の確認を
ーー他の部位にも切り方や貼り方はある?
・指の先端をスライサーや包丁で削ぎ落とすように切ってしまった傷は出血が続きやすいので、強く圧迫できるような特殊な形に切って貼ります。
象の顔のようなカタチに切り、鼻の部分で指先を圧迫し、それを耳の部分で挟み込むように貼ります。
・靴擦れしやすいアキレス腱に貼るときは、上下左右に切り込みを入れて貼ると、足首が動いてもズレにくくなります。
ーーばんそうこうを貼る時に行うと良いことはある?
・絆創膏を貼る前に、傷を水道水でよく洗う。
・擦り傷は軟膏(ワセリンなど)を塗って、絆創膏のガーゼ部分にくっついてしまわないようにしてから、貼る。
・切り傷は、傷口が開かないように、できれば傷口が閉じる向きにテンションをかける(皮膚を軽く引っ張る)ように貼ることです。
ーー反対にやってはいけないことは?
数日間、貼りっぱなし。傷は感染が大敵。汚れたり汗をかいたときはこまめに貼り替える。汚れなくても、最低1日1~2回は絆創膏を剥がして、傷を水道水でよく洗い、感染兆候(発赤・腫脹・排膿など)がないかを確認することが大切です。
ーー投稿が話題になったけど、どう思う?
ネットやSNSでは、さまざまな情報が溢れています。デメリットとしては、情報の信憑性の確認が難しいことが考えられます。現役救急医が発信していること、実際に救急医療の現場で生み出された知識であることなどが、情報の信憑性を増して、話題になったのかと思います。
ーー「1分で伝えるER」の投稿で大切にしていることは?
一般市民が理解しにくい医療用語を用いず、簡単な表現を使うこと。
必ず1分以内に伝え終わる。(良い情報でも長いと伝える方も観る方も大変。)
明るく元気に話す(一般的に医療関連ニュースはネガティブなものが多いので、ポジティブな雰囲気で伝える)ことです。
普段の生活の中で、指は怪我をしやすい箇所だろう。今回教わった方法で、ばんそうこうを貼る時に起こるズレや剥がれやすいという問題を是非とも解消してほしい。
なお「1分で伝えるER」は、今後も週1回のペースで配信するとのことなので、今後どのような情報が投稿されるのか楽しみだ。