自民党の総裁選挙への立候補を表明した岸田文雄前政調会長は9月5日、フジテレビ系『日曜報道 THE PRIME』に出演し、自身が掲げる政策について説明した。
岸田氏は、アフガニスタンにある日本大使館のアフガニスタン人職員ら関係者を自衛隊機で救出できなかったことについて、「反省しなければいけない」と述べた。
現地の安全を確認できなければ、自衛隊を派遣できない自衛隊法について、岸田氏は「国民の感覚からしてどうなのか。ぜひ法改正について考えてみたい」と述べ、自身が総裁選に勝利し、首相に就任すれば、自衛隊法の改正を検討する考えを示した。
以下、番組での主なやりとり。
松山俊行(フジテレビ政治部長・解説委員・キャスター):
岸田氏は第2次安倍内閣で約5年間、外務大臣を務めた。外交安全保障問題では、タリバンがアフガニスタンを制圧し、日本大使館で働くアフガニスタン人職員や関係者約500人が取り残された事案があった。「失態」との批判もあるが、岸田氏が仮に総理大臣だったらどのようなオペレーションができたか。
岸田文雄(自民党前政調会長):
今回の事態については様々な見方がある。爆発事件をはじめ、様々な事情があったと思うが、結果として500人近い大使館関係者を出国させることができなかった。その批判をしっかり受け取受け止めなければいけない。反省しなければいけない。
ただ、これで終わりではない。日本大使館の現地職員、関係者をしっかり守れるかどうか、日本の信頼に関わる話だ。タリバン政権との交渉を含め、引き続き努力を続けることが大事だ。
今回、自衛隊機を派遣するにあたり、現行法上では現地の安全を確認しなければならない。相手政府の同意を取らなければいけない。法律はこうなっている。危険な状況にある日本人や関係者を救いに行くのに、現地の安全が確認できなければならない。国民の感覚として、これはどうなのか。
私は平和安全法制を議論した時、外相だった。(現行法制は)様々な議論の結果だが、日本の危機管理という点について一度考えてみる必要がある。
松山キャスター:
自衛隊法の改正も含めてということか。
橋下徹(元大阪市長、弁護士):
自衛隊法に問題がある。「初動が遅かった」と社説などで主張している新聞社があるが、そのメディア自身が今まで憲法九条を盾に「自衛隊を(国の)外に出すな」と言ってきた。
危険な場所だからこそ、自衛隊が行かなければならないのに、安全が確認されていないと自衛隊を派遣できない。自衛隊法はそのような法律になっている。これは、最終的には国会議員の責任だ。コロナ対応でもそうだが、内閣法制局の解釈に縛られて、あのような法律を作り、最終的に政治家がそれを承認した。情けない国だと思う。
内閣法制局は法律のプロだが、専門家の意見を聞いた上で、最後は政治が決断する。コロナ対応も専門家の意見を聞いて、最後は政治が決断する。日本人を救うために、自衛隊が危険なところに行かなくてはならないことを、誰もが皆が思っている。内閣法制局の意見を聞いたうえでも、ぜひ自衛隊法の改正をやっていただけないか。
岸田氏:
ご指摘の点は、私もどうなのか、と思う。ただ、平和安全法制全体の法体系の中で、それぞれの位置づけがあり、調整した上で、(2015年に)二百数十時間議論して、全体をまとめあげた。問題点を頭に入れ、全体の整合性も考えながら、危機管理の観点から、法律の改正について議論しなければならない。このような問題意識を強く持っている。
橋下氏:
議論だけではなく、法改正まで踏み込んでほしい。
岸田氏:
わかった。全体の整合性を考えながら、ぜひ法改正について考えてみたい。