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「ヒゲが濃いほど男らしい」は科学的に正しいのか?
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豊かなヒゲをたくわえた男性というのは、世界的に見て、「精神的に男らしく、身体的に魅力的」と考えられがち。

しかし、この命題は科学的にも真なのでしょうか。

もしそうなら、ヒゲが薄い日本人男性はモテないと、白旗を揚げるしかありません。

ところが朗報です。

ヴロツワフ大学(University of Wrocław・ポーランド)の最新研究により、ヒゲの濃さは、男性の心的な優位性や支配性、テストステロン(男性ホルモン)のレベルとは相関しないことが判明したのです。

以下で詳しく見ていきましょう。

研究は、10月21日付けで学術誌『Archives of Sexual Behavior』に掲載されています。

目次

  • ヒゲは男性のステータスとなるか?

ヒゲは男性のステータスとなるか?

たくましいヒゲは、男性の最も目立つ特徴であり、男女の区別を視覚的に容易にします。

ヒゲが生える主要因は、男性ホルモンの一種である「テストステロン」です。

テストステロンは、筋肉や骨量の増加、体毛の成長に関わっており、分泌量が減ると、虚弱体質や骨粗しょう症の原因となります。

そのためか、ヒゲの存在は、男らしさ、心的な支配性・優位性、力強さのシンボルと捉えられています。

また、ヒゲは自己認識にも影響を与えており、ヒゲを生やしている男性は、そうでない男性に比べて、自己肯定感が強いと言われています。

一方で、これは見た目の印象や自己報告など、主観的なレベルでの話。

ヒゲが薄い日本人男性に同じことが当てはまるとは考えられません。

(特に、日本ではヒゲを剃ることが身だしなみの美徳とされるので、むしろヒゲがない方が自己肯定感が高まる可能性もある)

そこで、ヴロツワフ大の心理学研究チームは、科学的数値とアンケートを元にした調査を行いました。

「ヒゲ」と「男らしさ」は関係しなかった

ヒゲと男らしさは科学的に見ると無関係?
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本研究では、健康状態の良好な19〜25歳の男性97名を対象としました。

被験者には、ホルモン剤を服用しておらず、実験前の24時間以内に喫煙や飲酒をしていない男性を選んでいます。

また、男性のテストステロンは1日かけて徐々に減少するため、実験は午前7時から11時の間に実施しました。

チームはまず、被験者の年齢、身長、体重、ヒゲの濃さ・長さのデータを収集。

ヒゲの濃さについては、本人の自己申告および、デジタルキャリパー(電子輪尺)を用いた計測を行なっています。

次に、テストステロンを分泌させるため、エアロバイクを使ってスプリント運動をさせ、唾液を採取して、テストステロンを測定しました。

被験者には、12分間の休憩後、精神的な支配性や優位性を評価するアンケートに答えてもらっています。

質問には、「私は通常、自分のためにも他人のためにも意思決定を行う」「他人に影響を与えるのは常に自分であり、その逆はない」などの内容が含まれています。

すべてのデータを総合した結果、ヒゲの濃さ、テストステロンの分泌レベル、精神的な支配性・優位性との間には、有意な相関関係が存在しないことが判明したのです。

これまでの研究では、テストステロンの分泌レベルが高いほど、ヒゲの成長速度や密度が高く、そして、ヒゲが濃いほど、自己肯定感も強いとされていました。

しかし、今回の実験では、ヒゲが濃くても自己肯定感は低く、ヒゲはなくても自己肯定感が高い被験者が散見されたとのことです。

また、テストステロンの分泌量が多くても、精神的な優位性につながることはありませんでした。

一方で、研究主任のマルタ・コワル(Marta Kowal)氏は、本研究の限界点についても指摘します。

「ホルモンに関する研究は実施が難しいため、確かな結論を出すには、被験者の数が理想的ではありませんでした。

さらに、今回のサンプルは、年齢が19歳から25歳までのかなり若い男性で構成されています。

今後の研究では、中年や高齢男性も含めて、被験者数を増やさなければなりません」

体毛の濃い西洋人と単純比較はできませんが、とりあえず日本人男性にとっては、ひと安心の結果ではないでしょうか。

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参考文献

New study finds no relationship between beard length and dominance or testosterone levels

New study finds no relationship between beard length and dominance or testosterone levels

元論文

Are Beards Honest Signals of Male Dominance and Testosterone?
https://link.springer.com/article/10.1007%2Fs10508-021-02012-w