東京農工大学は12月3日、日本ガスコムの植物工場を使ったブルーベリーの通年生産システムで、これまで不可能とされていた冬季生産のブルーベリー果実の出荷を成功させた。2021年12月から伊勢丹新宿店で発売される。
ブルーベリーは春夏秋冬を通して開花、結実、休眠を繰り返す。そのため日本では、ブルーベリーが出荷できるのは夏の4カ月ほどの間に限られ、後の季節は輸入に頼らざるをえない。そこで東京農工大学の荻原勲名誉教授らによる研究グループは、2011年に農工大キャンパス内に建設した「先進植物工場研究施設」において、春夏秋冬それぞれの環境を再現した部屋を作り、ブルーベリーのライフサイクルを短縮化させ、連続開花結実の研究を行った。それにより、通年での果実の収穫が可能になり、収穫量も4〜5倍に増えた。また、1本の木で花・未熟果・成熟果が混在する「四季なり」の様相も見せ、長期にわたる出荷も可能となった。この「連続開花結実法」は、2021年に特許を取得している。
研究グループは、この技術を社会実装するために、日本ガスコムが2021年6月に設立した6000m2の植物工場での実験を行ったところ、9月に開花が認められ、11月には果実が成熟した。品種によって大きさや糖度は異なるものの、大粒で高糖度の果実が収穫できたので、伊勢丹新宿店で販売されることとなった。ただし、初年度は出荷量に制限があるため、店頭に並ばないこともあるとのことだ。