働く人に役立つプラスαな考え方に注目する「αism」。
命の源である水、その水を育むのは森。
では森は、どうやって守ればいいのだろうか。
山の中を流れる、豊かで透き通った天然の湧き水。
途切れることなく流れる、この水を育む森。
木々にくくりつけられていたのは、センサー付きのカメラ。
さらに、空からはドローンがわずかな異変も見逃さない。
大自然を守り、安心安全な水を育む、最先端のテクノロジー。
そこから見えた“未来の命”のための取り組みとは…。
兵庫・西脇市の山あいの地域。
ここに、飲料メーカー大手のサントリーが管理・整備する「天然水の森」がある。
その広さ、東京ドームおよそ220個分。
こうしたサントリーが管理する森は、全国に21カ所あり、工場でくみ上げる2倍以上の地下水を育む取り組みをしている。
「サントリーという会社は、実はものすごく地下水・天然水に頼っている会社で、その生命線である水はどこからきているのかというと、実はこの森だったりするんですね」と話すのは、天然水の森プロジェクトの発起人でもある“水の番人”山田さん。
およそ20年前から始めた、水を育む森づくり。
そこには、人の手だけではない、さまざまな最先端の技術が使われている。
ドローンを使った、上空からの森林調査。
ドローンには、高性能のカメラが搭載されていて、人がなかなか踏み入ることができない、山深い場所の状態も見ることができる。
台風で多くの樹木が倒れ、山肌がむき出しになった場所も、植栽などの整備をすることで、3年後には少しずつ緑が戻り始めていた。
そして、最新のコンピューター技術を使った、地下水の流れのシミュレーション。
青く示された河川の周囲に広がる赤い部分が、地下水。
航空機によるレーザー測量や、現地調査で得られた膨大なデータをもとに、見えない地下水を“見える化”している。
さらに…。
見つけたのは、鹿の足跡。
このあたりでは、野生動物による草木の食害が深刻だったが、保護する地区にフェンスを建てたほか、24時間、森の様子を監視できるセンサーカメラを設置。
こうすることで、山深い森に入らなくても動物の動きを監視でき、異変があれば、すぐに現場に行くことができる。
地道な努力と最先端のテクノロジーで生まれ変わった、天然水の森。
サントリーホールディングス・山田健チーフスペシャリスト「地下水のための森と生物多様性が豊かな森は、ほぼイコールだということがわかってきた。水のためのあるいは“未来の命”のための森づくりをしている実感がますます深くなって、そういう生き物たちが幸せに暮らせるような、そんな森づくりをしていきたい」