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先の衆議院議員選挙で躍進した日本維新の会の吉村洋文副代表(大阪府知事)と、同じく議席を伸ばした国民民主党の玉木雄一郎代表が、7日、フジテレビ系『日曜報道 THE PRIME』(日曜午前7時30分から午前8時55分)に出演した。両氏は憲法審査会などで憲法改正論議の促進を目指す考えで一致した。また、コロナ禍を受けた給付金の支給について、マイナンバーと金融機関の口座をひも付けている人に限り給付する案に、両氏は賛同する考えを示した。

憲法改正論議をめぐり、吉村氏は「維新の会は改憲勢力だ。自民党は憲法改正を党是といいながら、実は一部の保守層のガス抜きのためにやっているようなもの。本気で憲法改正をやろうと思っていない。自民党のやるやる詐欺に付き合うつもりはない」と述べ、憲法改正論議を進めない自民党の姿勢を批判した。

玉木氏も「自民党は本当にやる気があるのかと思うことが多々ある」と同調した。そして「憲法審査会は毎週開いたらいい。われわれは議論するために歳費をいただいている。(審査会を)開くことがすごいみたいになっていること自体、その文化を変えていかなければいけない」と強調した。

一方、コロナ禍を受けて、公明党が政府に申し入れる予定の「18歳以下一律10万円給付」案をめぐり、玉木氏は「子育て世代の支援であれば、ワンショットではなく恒久的にやるべきだ。困窮世帯支援であれば、子どものいない困窮世帯や独身者は救われない」と述べ、政策目的が曖昧だと指摘した。

吉村氏は「所得制限はつけるべきだ。(公明党案だと)僕は(収入が減っていないにも関わらず)30万円、橋下徹さんは40万円もらえる。これが本当にコロナ禍の政策として正しいのか」と疑問を呈した。

レギュラーコメンテーターの橋下徹氏(元大阪市長・元大阪府知事・弁護士)が、マイナンバーと金融機関の口座をひも付けた人に限り、10万円を給付する案を提起。吉村、玉木両氏に対し、国民からの批判覚悟で実現に取り組んでほしいと求めた。

これに対し、吉村氏は「ひとつの方法だ」と応じ、玉木氏は「賛成だ。世帯単位でしか配れないと、DV(ドメスティック・バイオレンス)の被害を受け、別居している人を助けられない」と述べた。

玉木氏は、維新と国会対応や政策での協力拡大を協議するため、特別国会召集前日の9日にも両党の幹事長・国対委員長会談を開催すると明らかにした。

立憲民主、共産両党との国会運営上での協力関係を白紙に戻した玉木氏は、維新との協力関係に期待を示し、「改革中道で自民党に対抗できるまともな野党勢力を作りたい」と表明した。

以下、番組での主なやりとり。

松山俊行キャスター(フジテレビ政治部長・解説委員):
今回の選挙の結果、国民民主党も議席を伸ばした。それを受けて玉木代表はこれまでの野党国対の枠組みから外れることを表明した。維新と国民民主で、保守中道的な別の野党のかたまりをつくって自民党と対峙するという考えはあるのか。

国民民主党・玉木雄一郎代表:
はい。今回の選挙で、私が全国回って主に訴えたのは2つ。やはり改革中道のポジションが大事だと。日本の政治にとり、改革中道、右に左に偏らないで改革を進めていく、この立ち位置が重要だということ。それと「対決よりも解決」ということを訴えた。コロナの中でこれからどうしていくのかと国民は示してもらいたい、求めているということに正面から経済政策を中心に訴えた。国民に約束した公約の実現のためにはあらゆる勢力と協力していきたい。改革を進めていくというところは維新に賛同するところも多い。さまざまな形で国会でコミュニケーションをとり、一緒に進めるところは進めていきたい。

松山キャスター:
一緒に進めるという意味では、例えば、国民民主と維新との間で、いま自公両党がやっているような幹事長・国対委員長らを合わせた「二幹二国」という会合をやっているが、そういった定期協議の場を設けて、連携を深めていくということになるのか。

玉木氏:
週明け特別国会が開く前、火曜日(9日)にも両党の幹事長・国対委員長でどうしていくか、顔合わせ、話し合いをスタートすると聞いている。どういうところで一緒に協力して前に進めることができるのか、という話をスタートさせたいと思っている。

松山キャスター:
吉村さんに聞く。憲法改正など一緒にやれる分野があると思うが、憲法改正に向けた憲法審査会を維新と国民民主で共に働きかけていく、連携していくということもありえるか。

日本維新の会・吉村洋文副代表(大阪府知事):
はい。国民民主の皆さんと連携できるところは連携していきたい。個々の政策、法案などで国民民主の皆さんと非常に価値観近いところもあるので、実現するために協力していくことが非常に重要だ。

松山キャスター:
憲法審査会を開くということでも立場を一にして、自民党への働きかけをしていくのか。

吉村氏:
はい。われわれ、維新の会は改憲勢力、改憲について賛成の立場だ。ただ、憲法改正は自民党が本気にならないと憲法改正の国民投票までは絶対にたどりつかない。自民党は憲法改正を党是と言いながら、実は、単に一部の保守層のガス抜きのためにやっているようなもの。実際本気で憲法改正をやろうと思ってないというのが僕の考え、見立てだ。本気で自民党が憲法改正をするというのであれば、われわれも本気で付き合うが、単に自民党のやるやる詐欺に付き合うつもりはない。スケジュールを決めることをしっかりやらないと成り立たない。井戸端会議になる。これまでずっと議論してきたわけで、自民党も維新の会もそれぞれ憲法改正の項目は出している。例えば、来年の参議院選挙に国民投票をやるというスケジュールを決めて、その先でもいいが、スケジュールをきちんと決めて、そこから逆算してやっていこうということを自民党はやらない。結局、全員の合意がない限り進めるのはやめましょうというのが基本的に自民党の姿勢。憲法改正について国民はまだ一度も国民投票をしたことはない。大阪では大阪府と大阪市を1つに合体させて東京のような都政を敷くという大阪都構想を実現させるために住民投票を2回やった。われわれは死ぬ気で、必要だと思ってやってきた。この死ぬ気でもやる覚悟が自民党の憲法改正にはない。(改憲論議を)後押しできたらいいと思うが、ただこれは本当に自民党の本気度、そこをぜひ知りたい。

松山キャスター:
吉村さんは、自民党改憲がやるやる詐欺で、もっとケツたたけみたいな話されているが、玉木さんはそれに同調して一緒にやろうという考えはあるか。

玉木氏:
そもそも憲法審査会を開くか開かないか、開いたらいいんだ、毎週。議論するのが国会で、そのためにわれわれは歳費をもらっているので、そもそも(議論)しないという選択肢はないと思う。各党各会派さまざまな考え方があり、賛成反対も改憲項目も違う。議論を否定する国会が当たり前だと、それ(審査会)を開くことがなにかすごいみたいになっていること自体、その文化を変えていかなければいけない。吉村知事が言ったことと同じで、自民党は本当にやる気あるのかなと思うことも多々ある。例えば、憲法53条、これ4分の1衆議院・参議院の議員の要求があれば、臨時国会開かなきゃいけないと、野党はこれを要求する。でも、(与党は)開かない。なぜかというと、期限を定めていないから。2012年の自民党の憲法改正草案は「20日以内」と書いてあるのであれば、これ、野党も反対する人いないと思う。そういうところからまずやってみるとかね。自民党も4項目を決めていて大切かもしれないが、立法府と行政の関係を正していくとか、こういうことで合意できるところからやるっていうのであれば、そういうところからまず始めるとか。いずれにしても議論をきちんととやることは極めて重要だ。

梅津弥英子キャスター(フジテレビアナウンサー):
公明党が8日、政府に対して申し入れる予定の新型コロナの支援策。18歳以下の子どもに一律で現金10万円を給付。所得制限は設けないとしている。さらにマイナンバーカードを保有する全国民を対象に3万円相当のポイントを付与。今週から政府与党内で本格的に協議される見通し。

松山キャスター:
公明党案では所得制限なしということだ。玉木代表は困窮世帯全体が救われるわけではないと批判している。この案についてどこがどう問題だと考えているのか。

玉木氏:
まず政策目的をきちんと整理した方がいいと思う。子育て支援であれば、所得制限は設けないほうがいいと思うが、コロナで今非常にまだ苦しい人がいて、困窮世帯をどう支援するのか、ということが今重要だ。その意味ではちょっと中途半端だ。子育て世代の支援なら、ワンショットではなくて恒久的にやるべきだ。困窮世帯支援であれば、子供のいない困窮世帯や独身者は救われない。別途、そのためには別の制度をつくる、早くて給付は来年の春の桜の花の咲く頃という、とても年末越せないわけだ。だからもう少しこれ考えた方がいい。私はマイナンバー制度が全銀行口座にひもづいて、イギリスのように1カ月単位で国がある程度所得の変化を把握できるようになっていれば、困窮世帯にさっと配ればいい。だが、日本の場合ずっと一年間も前から問題なのは、だれが困っているかわからないこと。であれば、いったん配ったのちに課税時に所得の減っていない人、あるいは高所得者からは逆還付という形で戻してもらうということしかないのかなと思っている。

松山キャスター:
所得制限をかけるべきかどうかということについて、先ほど視聴者投票の結果が出た。

梅津キャスター:
5万4,000を超える人に投票いただいた。「所得制限はあったほうがいい」という人41%、「所得制限ないほうがいい」が21%、「給付は不要」という人は38%いる。

橋下徹氏(元大阪市長、弁護士、番組レギュラーコメンテーター):
国民は賢明だ。永田町の感覚と国民の感覚はやはりこういうところでずれている。永田町ではとにかく現金を配ればいいと思っているのかわからないが、やはり国民はこうなんだ。玉木さんともさまざま議論あったが、やはり高所得者にはそんな給付をする必要はない。ただ、一斉に配るのであれば、まずは配って玉木さんが言うように、後から課税というのが筋だが、(公明党案の)政策目的がとにかくわからない。維新と国民民主は改革政党なのであれば、政府が言えないことを言ってもらいたい。マイナンバーに口座を届け出た人に現金を配るぐらいのことをやる。これは批判が出る。プライバシーの問題でやりたくない、口座を届け出なければ10万円もらえないのか、と言って批判はくる。けれども、その批判を受けたうえで将来の日本のシステムのことを考えたら、口座とひもづけた人だけ10万円給付とやれば、これは別の意味でデジタル社会への第1歩ということで目的達成できる。これぐらいのことを、維新と国民民主とで批判覚悟で言ってもらいたい。

吉村氏:
所得制限はつけるべきだ。これだけ莫大な財源を使うのに政策の信念がない。要は何のためにこれやるのかというのがよくわからない。コロナ禍で経済的に厳しい状況の人がいるので、そういう人たちに支給をするのは大賛成で、これはやるべきだ。でも、この制度はそうなってない。何のためにこれをやるのかというのが非常に不明確。マイナンバーで本来は所得を把握できるようにしておいた方がいい。これをやろうとすると、「いや、個人のプライバシーだ」とか、よく反対する側の人たちがいるが、反対する側の人たちはよく「弱者救済だ」というが、本当の意味で経済的に厳しいと、国が支援していくためには所得を把握できるような仕組みを作った方がこういう時に迅速に対応できる。だから、これは本来やるべきだと思っている。ただ、今その制度がない中でどうするべきかと考えた時、一律にこの18歳以下全員に配るよりは、例えば、一人親家庭は非常に厳しい家庭が多い。あるいは住民税非課税世帯はわかっているので、そこに配る。この政策目的は、収入が非常に厳しくなった人のためにやるだというのを明確にする。基本的には何でこれをするのかというのを国民にきちんと説明するということが決定的に不足していると思う。

橋下氏:
吉村さん、口座を登録した人だけに10万円給付するような大胆な提案はできないか。

吉村氏:
そういったことをやるのもひとつの方法だ。

橋下氏:
玉木さんはどうか。登録した人だけ10万円給付と、これ批判出ると思うが。

玉木氏:
賛成だ。今、吉村さんが言った通り、いわゆるリベラルの人にも私ずっと言っているが、例えば、去年も世帯単位でしか配れないと。つまり世帯主が申請権者であり、受給権者だ。そうすると、DV被害を受けて別居している人は助けられない。だから、個人で管理するマイナンバーをもっと活用しないと。その困っている人、弱い人を助けようと言っている人が実は、それを助ける制度を妨げているところがある。維新の皆さんと協力して進めていかないと。政策インフラは10年間何も進んでいない。その都度、こういうことの議論を繰り返しているの。日本はもうこんなことやっていたらだめだ、本当に。だからそこを改革したい。

吉村氏:
橋下さんが言うように、マイナンバーをひもづけたところに支給をするというのも当然の方法として僕はやるべきだと思う。今、本当に(経済的に)厳しい家庭が多い。特に1人親家庭は厳しいところが非常に多い。所得関係なしに18歳以下全員に配るのは、何を目的としているのかわからない。たとえば、ぼくも30万円もらえる。コロナだからといって収入は減っていない。大阪府・市の職員4万人いるが、収入は1人も減っていない。でも、子どもがいれば全員10万円もらえると。橋下さんだって収入は減ってないと思うが、(もらえるのは)40万か50万か。

橋下氏:
40万。

吉村氏:
橋下さんが40万円で、僕が30万円もらえる制度とは、これが本当にコロナ禍の政策として正しいのか。ここに国民は疑問を感じていると思う。