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先週3日の菅首相の総裁選不出馬表明を受けた小泉進次郎環境相の官邸での涙の会見。きょう午前の閣議後会見で小泉氏が涙に込められた想いを語った。

【画像】菅首相退陣で涙を見せた小泉環境相 今朝の表情は

「力不足で支えられず申し訳ない気持ち」

「私からすれば力不足でお支えしきれず申し訳ない気持ちと環境行政・気候変動対策、ここまで2年間でこれだけ政策実現につながったのは菅総理のぶれないリーダーシップとサポートがなければ無かったので、そういった想いがあふれました」

小泉氏は午前の閣議後会見で、記者から3日官邸での涙の会見での想いを問われこう答えた。

「やはり菅政権の最大の成果の一つは、日本のエネルギー政策を大転換させたことです。再生可能エネルギー最優先の原則という、いままでエネルギー基本計画に書かれたことがなかったことを様々な抵抗や声があったにもかかわらず、ずっと引っ張ってくれた。その方針が決してゆり戻されることが無いようにしなければならない。そういう想いです」

「環境政策が政権のど真ん中に位置付けられた」

コロナ対策で躓いた菅首相だったが、環境政策・気候変動対策においては突出したスピード感で政策を次々と実現していった。菅首相は昨年10月の所信表明演説で「2050年カーボンニュートラル、脱炭素社会の実現を目指す」と宣言し、さらに「温暖化への対応は経済成長の制約ではなく、産業構造や経済社会の変革をもたらし大きな成長につながる」と語った。これまでの国の環境政策の大転換に産業界は驚き、本気で環境対策に向かう流れが一気に生まれた。

また小泉氏、梶山経産相とタッグを組んで、2030年度までに温室効果ガス46%削減の目標をつくり、エネルギー基本計画では再エネ最優先の原則のもと再エネの比率を現行の22~24%から36~38%に引き上げた。さらに温対法(=地球温暖化対策推進法)改正では、「2050年カーボンニュートラル」を基本理念として明記した。先週の閣議後会見で小泉氏は、「環境省がやってきたことが政権のど真ん中に位置付けられた」と語っている。

「菅総理の果たされた役割は非常に大きい」

菅首相は通常国会での施政方針演説で、国内販売車の電動化について「2035年までに新車販売で電動車100%を実現する」と表明し、これまで「2030年代半ば」とされてきた達成時期をより明確にした。これについて問われると、小泉氏はこう語った。

「菅総理でなければ2035年と明言することはなかったですね。調整段階で当初出ていた文言は2030年代半ばとなっていたんです。2030年代半ばというのは国内の霞が関では通用する言い方かもしれないけど国際的に通用しない」

そしてあらためて菅首相についてこう強調した。

「最終的に2035年だと判断を下してくれたのも、菅総理のリーダーシップです。あらためてカーボンニュートラル、そして日本の新たな自動車産業をより次世代の方向に早く移行を促すためにも総理の果たされた役割は非常に大きいと思います」

「現時点で申し上げるタイミングではない」

菅首相の退陣で環境政策の舵取りも小泉氏から後任にバトンタッチされることになるだろう。小泉氏は環境政策の継続性についてこう語った。

「まず次の政権がどのような政権になっても、変わらないのはカーボンニュートラルの方向性です。これは法的根拠をもう作りましたから。あらためてあの時総理の宣言に留めずに温対法の中に『2050年カーボンニュートラル』と明記して本当によかったと思います。それは政策の継続性につながりますから。自分が代替しても政治の流動的な中でぶれることのないよう対応できるようにしておきたい」

そして総裁選の今後の自身の動向について問われると、小泉氏は「現時点で菅総理が正式な記者会見を開催していることはないので、その段階で申し上げるタイミングではないというふうに思います」と明言を避けた。

この環境政策を誰が次のリーダーとして受け継ぐと小泉氏は判断するのか、注目だ。

【執筆:フジテレビ 解説委員 鈴木款】