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<不機嫌な赤ちゃんの不幸な泣き声をそっくり真似する鳥の「身も凍る」声> オーストラリアのタロンガ動物園で撮影された動画が、ネット上で人気を呼んでいる。同動物園のコトドリが、「人間の赤ちゃんが泣く声」を衝撃的なほどそっくりに真似る姿をとらえた動画だ。ツイッターの視聴回数は72万1400回を超えた。 オーストラリア南東部に分布するコトドリは、物真似の能力で知られている。地上で営巣する鳥で、姿はニワトリに似ている。コトドリ(lyrebirds)という名前は、オスの大きな尾羽の形状が竪琴(たてごと)に似ていることにちなんで名づけられた、とブリタニカ百科事典にはある。オスのコトドリは、森のなかの開けた場所で羽を誇示し、複雑な歌を歌い、ほかの生きものの声を真似る。交尾の相手を引き寄せるための「ディスプレイ」行動だ。 コトドリは物真似が得意で、機械音でも完璧な正確さで真似できる。自然史学者のデイビッド・アッテンボローはかつてBBCで、カメラのシャッター音や車のサイレン、チェーンソーなどを真似するコトドリの能力を紹介したことがある。「世界でもっとも精緻で、もっとも複雑で、もっとも美しい歌が歌えるのは、どの鳥だろうか? 候補者はたくさんいると思うが、この鳥はその一員にちがいない」と、アッテンボローは語っている。 シドニーのタロンガ動物園が最近公開した動画では、エコーという名の7歳のコトドリが、本物の人間の赤ちゃんと区別がつかない鳴き声を披露している。しかも、表現が極めて多彩だ。 あまりに似すぎていて「ぞっとする」「身も凍る」とコメントするユーザーもいるところが、よくあるオウムの物真似とは違うところだ。そして大多数は、この声を「鳥が」出していることに衝撃を受ける。 電気ドリルと火災警報も タロンガ動物園の鳥類部門を監督するリアン・ゴレビオウスキがガーディアン紙に説明したところによれば、エコーがこれほど正確な赤ちゃんの泣き声をどうやって覚えたのかよくわからないという。現在の新型コロナウイルスの流行で、シドニーがロックダウンされている現状ではなおさらだ。 「来園者から覚えたとしか考えられない。そしてロックダウン中に技を磨いたのは明らかだ」とゴレビオウスキは言う。「とはいえ、これには心配な点もある。なにしろ、動物園は家族が幸せに過ごす場所だと思っていたからね!」 「エコーが真似る音は、ほかにふたつある」とゴレビオウスキは言う。「ひとつは電気ドリルの音で、おそろしいほど正確だ。もうひとつは火災警報だ。『すぐに避難してください』のアナウンスまで完璧にマスターしている」 ===== ガーディアンの報道によれば、ラ・トローブ大学のアレックス・メイジー博士は、コトドリが人間の声を真似るのは珍しいケースであり、エコーの鳴き声はやや変則的なものだと説明しているという。 コトドリは、こうした「歌」のレパートリーを、若い世代のコトドリに伝えていく。 オスのコトドリは、この非凡な才能をずる賢い目的で使うこともある。2021年に発表された研究によれば、オスのコトドリはしばしば、メスとの交尾中に、捕食者の群れがたてる音を真似るという。そうする正確な理由はまだわかっていないが、捕食者のたてる音を出すことで、危険が近くにあるとメスに思いこませ、その結果、メスがオスのそばにとどまる時間が長くなるのではないかと科学者らは推測している。 (翻訳:ガリレオ) ===== Bet you weren't expecting this wake-up call! You're not hearing things, our resident lyrebird Echo has the AMAZING ability to replicate a variety of calls – including a baby's cry! via keeper Sam #forthewild #tarongatv #animalantics pic.twitter.com/RyU4XpABos— Taronga Zoo (@tarongazoo) August 30, 2021 【動画】カメラのシャッターやチェーンソーの音を真似るコトドリ