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  1. NASAが火星の岩石サンプル採取に成功、初回の失敗ふまえPerseveranceローバーのカメラで慎重に確認

    NASA/JPL-Caltech

先月、火星で初の回収用土壌サンプルの採取に失敗してしまった探査ローバーのPerseveranceですが、先週トライした2回目の採取にはどうやら成功した模様です。NASAによれば、サンプルチューブの中には岩石からくりぬいた、さびた鉄のような色のサンプルが入っており、正常に処理して地球に回収する準備ができていることが確認できたとのこと。

NASAは最初のサンプル採取の際、処理上は完全に成功したと考えられたもののサンプル管の中には何も入っていませんでした。このことについて、科学者らはサンプルが砂状に砕けてしまったせいでサンプルとして採取するのに失敗したと述べていました。

今回NASAがサンプル管の中に明らかに何か入っているにもかかわらず、すぐに成功したと言わなかったのは、この前回の失敗を踏まえて確認作業をより確実にしたかった意図があると考えられます。採取作業のあと最初に撮影した画像の中には岩石らしきものが映っているのが見えましたが、日光の角度の関係で明確に成功というのは難しかったかもしれません。しかしその後、土曜日に撮影された新たな写真では、はっきりとサンプルが入っているのが確認できました。

アリゾナ州立大学のSteven Ruff氏は、自身のYouTubeチャンネルでそのサンプルがカンラン岩と水分が反応してできた鉄を含む物質である可能性が高いとを述べています。

Perseveranceはこのサンプルを密閉して、その場もしくは定めた場所に置いて次のサンプル採種に向かいます。地表におかれたサンプルは、あとから火星にやって来る予定の回収用ローバーがジェゼロ・クレーター近くの1か所に集め、最終的に地球に帰還するロケットに積み込まれる計画です。

ただし、ESAが準備する予定の回収用ローバーと回収ロケットはまだ設計段階で、影も形もありません。現在のスケジュールでは、この回収ミッションは2026年までに火星に向けて出発し、2028年に到着、地球への帰還は2031年と予定されています。

近年の地球外からのサンプルリターンといえば、これまでにJAXAがはやぶさ / はやぶさ2で小惑星からのリターンに成功しているほか、中国が2020年12月に嫦娥5号で月の土壌を持ち帰ることに成功しています。一方NASAは、探査機OSIRIS-RExが小惑星ベンヌからサンプルを持ち帰っている最中であり、これは2023年に戻ってくる予定です。

火星からのサンプルリターンはNASAと欧州宇宙機関(ESA)の共同ミッションで、Perseveranceが荷造りしたサンプルはESAのSample Fetch Roverが集めて火星軌道上に打ち上げます。そしてそのサンプルを収めたコンテナはやはりESAのEarth Return Orbiterがキャッチして、地球に戻ることを計画しています。これらESAの機器は昨年10月に仏Airbusが開発契約を獲得しました。

画像クレジット:NASA/JPL-Caltech

(Source:NASAEngadget日本版より転載)