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サンフランシスコを拠点とするスタートアップ企業のOrbit Fab(オービット・ファブ)は、軌道上における燃料補給サービスの第1人者になることを目指しており、その実現に向けて1000万ドル(約11億円)以上の資金を調達した。この資金は、早ければ2022年末に開始を予定している燃料補給実験に使われる。同社はこの実験で、2機の燃料補給シャトルを宇宙に送り、ドッキング、燃料の移送、ドッキング解除の3つのステップを繰り返し行う予定だ。

今回の投資ラウンドは、Asymmetry Ventures(アシンメトリー・ベンチャーズ)が主導し、既存投資家のSpaceFund(スペースファンド)と、新たな投資家として丸紅ベンチャーズおよびAudacious Venture Partners(オーデイシャス・ベンチャー・パートナーズ)が参加した。中でも注目すべきは、Northrop Grumman Corporation(ノースロップ・グラマン・コーポレーション)とLockheed Martin Ventures(ロッキード・マーチン・ベンチャーズ)の両社も出資に参加したことである。請負業者として競合する2社が一緒に投資を行うのは初めてのことだと、Orbit Fabの共同設立者であるJeremy Schiel(ジェレミー・シエル)氏はTechCrunchに語った。

「私たちはすべての船を引き上げる潮目のようなものです」と、シエル氏はいう。「どちらかの企業に競争力を与えるのではなく、宇宙における持続可能性のために、全体としてより良い選択肢を採ることができるのです」。

同氏のいう「2つの大手企業を仲良くさせること」は、宇宙空間での燃料補給という事業を有利に進めたい同社にとって、重要な鍵となる。2019年のTechCrunch Disrupt Battlefield(テッククランチ・ディスラプト・バトルフィールド)で最終選考に残ったOrbit Fabは、RAFTI(Rapid Attachable Fluid Transfer Interface、高速取付可能流体移送インターフェース)と呼ばれる給油バルブを開発しているが、この部品は宇宙機が地球を離れる前に設置する必要がある。つまり航空宇宙関連業者など大手顧客から、購買契約は衛星が軌道に乗る前に獲得しなけれはならないのだ。

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RAFTIを搭載した宇宙機は、地球低軌道や静止軌道、そして最終的にはシスルナ空間(地球と月の間)に配置されたOrbit Fabの燃料補給シャトルとドッキングできるようになる。2025年までには、すべての宇宙機にRAFTIが搭載されるようになることを期待していると、シエル氏は語っている。さらに長期的には、小惑星から採掘した材料を使って宇宙空間で燃料を製造するという、より大きな目標を同社は掲げている。

「私たちは宇宙のDow Chemical(ダウ・ケミカル)になりたいのです」と、シエル氏はいう。「月面採掘業者や小惑星採掘業者の最初の顧客となって、彼らが採掘した材料を買い取り、それを使って実用的な推進剤を軌道上で製造できるようにしたいと考えています」。

Orbit Fabによると、軌道上での燃料補給は急成長する新しい宇宙経済の基盤となるもので、物品や宇宙機をある軌道から別の軌道に移動させる必要が生じたり(これには非常に多くの燃料が必要だ)、資源を地球に戻すためのサプライチェーンを構築する際に不可欠となる。

「私たちは、宇宙で製造する推進剤のサプライチェーンになりたいのです」と、シエル氏は付け加えた。

画像クレジット:NicoElNino / Getty Images

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(文:Aria Alamalhodaei、翻訳:Hirokazu Kusakabe)