先日、内閣官房参与に就任したばかりの石原伸晃元議員の選挙支部が、コロナの助成金を60万円受給していたことがわかりました。
【画像】コロナ助成金を受け取りながら実は年間収支は増えてる!
めざまし8は、法律的に問題はないのか?国民は納得できるのか?という視点で考えました。橋下徹弁護士、ジャーナリストの立岩陽一郎氏が解説しました。
石原伸晃事務所“コロナ助成金”受給 問題は?
これは、12月に内閣官房参与に任命された石原伸晃氏が代表を務める自民党・東京都第八選挙区支部の2020年の収支報告書。
1年間の収支について公開されていますが、「その他の収入」の項目を見ると「雇用安定助成金」の文字が3カ所に書かれています。その金額合わせて約60万円を受け取っていたのです。
雇用調整助成金とは、飲食業や観光業など新型コロナの影響を受けた企業が従業員の雇用を守るために作られた制度。事業主に対し、休業手当などの一部を助成するものです。
石原氏といえば、自民党幹事長や国土交通大臣などを歴任。自らの派閥「石原派」を率いていましたが、10月の衆院選で比例復活もならずに落選。
しかし、12月6日「内閣官房参与」に任命され、「疲弊している業界の皆さま方のために」働くと宣言。その直後に明らかになったのが、今回のコロナ助成金の受給でした。
今回の雇用調整助成金というのは、コロナ禍で雇用に苦しむ人たちを守るためのシステムです。
様々な条件があり、新型コロナの影響で事業が縮小している、最近1カ月間の売上高が前年同月比で5%以上減少していることや休業手当を支払っていることなどの条件が挙げられています
そもそも企業ではない政党支部がこれを受け取れるのか、法的な問題はないのか見ていくと…
厚労省によれば、営利・非営利にかかわらず、政治団体でも要件を満たせば、コロナ助成金の受給は可能ということで、受給資格はあるということになります。
実際に政党支部の収支報告書を見ていくと…
4月に23万681円と18万8739円と2回に分けて、5月に18万8739円が1回と計3回、トータル60万円が振り込まれていました。前の月に比べて5%減少したことになります。
どうして減少したのか、政治アナリストの大濱崎さんによると、毎年4月に行われていたパーティーをコロナの影響で行えなかったことが原因となり、4月、5月の収入が不足したと指摘します。しかし、12月に開催していたことが分かり、開催された政治資金パーティー(報告書には政経セミナーと記載)などの事業による収入は564万円。
そうすると、「時期をずらしただけで年間の収支は変わらないのでは?」という疑問点が出てきます。そこで実際、政党支部の年間収支を見ると…
2019年度の年間収入は3972万3592円。それに対し、2020年度の収入は2020年度は4304万4713円。収支自体はおよそ230万円増えているという結果に。そうなると、お金に困っているのか?という疑問を持つ人も出てきます。
違法ナシも不信感「政治資金規正法」改革の必要性に言及
今回の件について橋下徹弁護士、ジャーナリストの立岩陽一郎氏は…
橋下徹氏:
法的には問題ないです。ただ、間違えてはいけないのは、総額が増えたところを問題視するのは民間企業ではやってはいけないことですね。総額が増えたというのは、後から分かることであって、民間企業は日々、その時の売り上げで経費がでていきますから。そこで収入が減った時には、そこは支えてあげるってことが、必要だと思うんです。ただ、民間と政治団体の決定的な違いは、民間は総額が増えた場合、納税で返します。ですから、多くは持続化給付金などの助成金を受けても、トータルとして収入が増えれば税金として返すのですが、問題なのは、政治団体は納税しないんですよ…
橋下徹氏:
だから、増えた分をそのまま丸どりしてしまう。石原さんはそこを分かった上で助成しているのか、国会議員がこのルールを作る時に、総額が増えたときに納税しない政治家っていうのをどうするのか。これも最近話題になっている文書交通費もなんでもそうなんですけど、国会議員っていうのは、自分の懐を増やすことばかり考えて、納税のこと考えていないからこういうことになっちゃうんですよね
立岩陽一郎氏:
助成金としての法律の違反はないかもしれないけど、これは政治資金規正法っていうんですね。これではね、質的な規制をかけていて、例えば補助金を受けている企業から献金を受けちゃいけないんです。ということは、これは事実上補助金ですよね?補助金を受けていた企業から献金を受けちゃいけないのに、補助金を直接受けているってわけですから。これまで想定していない事態なので、違法じゃないだけであってこれは趣旨からいったらやはり問題なんですね
立岩陽一郎氏:
だから、その辺は政治資金規正法自体を見直ししなきゃいけないし、こうした新たな事態に対してこれ違法じゃないんだ!って言って、居直るっていうのは、国民感情から言ったらちょっと違うなっていう気はしますよね
橋下徹氏:
政治家が補助金を受けるは全部だめって言ってしまうと、セーフティーネットの部分まで全部だめなのかってなってしまうんですよ。今回は、従業員の立場を守るためなので、セーフティーネットであったら政治家でも税金で支えなければいけないと思いますよ。政治家も秘書を抱えているので…
橋下徹氏:
ただ、問題なのはあとで収入が増えたときですよ、増えたのなら民間は納税できちんと返金するわけですから、そこの部分がないっていうのが一番問題で。政治家が補助金をなんでもかんでも受けちゃいけないってなるのは、従業員からなにから救えなくなってしまうのでそこは違うと思いますね
(めざまし8 12月9日放送より)