NASA 長官のビル・ネルソン氏が有人月着陸システム (HLS) の契約先選定について、Blue Origin には NASA を訴える権利があるとの考えを示したそうだ (Ars Technica の記事)。
NASA は HLS の開発で 2 者と契約する意思を示していたが、今年度予算が要求額の 4 分の 1 しか認められず、4 月に SpaceX のみを選定した。そのため、契約に名乗りを上げていた Dynetics と Blue Origin は選定過程に問題があったとして米会計検査院 (GAO) に抗議した。GAO は契約を適切と判断したが、Blue Origin は連邦請求裁判所に米政府を提訴している。
これにより HLS 契約は停止しており、Blue Origin への支持は少ない。しかし、この件に関する Ars Technica の質問に対し、ネルソン氏は (少なくとも表向きは) Blue Origin を批判することはなく、我々は法治国家であり、法律を遵守したいと述べたという。彼ら (Blue Origin) には訴える権利があり、彼らがその権利を行使すると決めた以上、判決が出てから次に進むとのこと。
その一方でネルソン氏は HLS 契約で 1 者しか選定できなかったのは予算の都合で仕方なかったとの考えを示しつつ、NASA の民間宇宙開発計画に競争が重要との姿勢を崩さなかったという。ただし、HLS の追加予算確保は難航しており、2022 年度予算にも第 2 のHLS 契約は含まれていない。ネルソン氏は 4 兆 5 千億ドルをインフラ整備に投資するバイデン政権の計画に第 2 の HLS 契約のための 100 億ドルが含まれることを示唆したが、現在の草案に HLS の追加予算は含まれていないとのことだ。
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