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テキサス州の州間高速道路45号線沿いに立つ、上部に「Aurora(オーロラ)」と白く巨大な文字で刻まれた広告看板は、謎めいたメッセージを投げかけている。「新しい運転方法の兆しが見えている」。

この道路を走る何千人ものドライバーの中でどれだけの人が、それが何を意味し、Auroraとは何かを知っているのかを見極めるのは難しい。自動運転車技術を手がける同社は(複数の競合企業と肩を並べ)AポイントからBポイントへの人や荷物の移動方法を恒久的に変えようとしているが、その知名度は低いといえよう。

しかし、ブランクチェックカンパニー(白紙小切手会社、SPAC)との合併により株式市場への参入を計画しているAuroraは、自社のプロダクトにスポットライトを当てた。報道陣、アナリスト、そしてPACCAR(パッカー)、Toyota(トヨタ自動車)、Volvo(ボルボ)などのパートナー企業に加え、既存投資家や潜在的な新規投資家を招き、自動運転トラックの乗車体験とともに同社の技術をより深く知る機会を提供した。同社はまた、テキサス州で新しいルートのマッピングとテストを開始することなど、同社のオペレーションに関する最新情報も共有している。

「Aurora Illuminated(オーロラ・イルミネイテッド)」と銘打ったこのイベントは、同社にとって幸先の良い時期に開催された。2017年にSterling Anderson(スターリング・アンダーソン)氏、Drew Bagnell(ドリュー・バグネル)氏、Chris Urmson(クリス・アームソン)氏の3人によって設立されたAuroraは、Uber(ウーバー)の自動運転部門を買収したことで規模が倍増し、1年足らずで1600人を超える従業員を抱えるまでに成長している。

同社は、特別買収目的会社(SPAC)であるReinvent Technology Partners Y(リインベント・テクノロジー・パートナーズY)との合併を通じて130億ドル(約1兆4470億円)の評価額を持つ株式公開企業になろうとしている。この買収は7月に発表され、TechCrunchがそれより前の報道で確認していたものだが、2021年中に株主投票が行われる見込みだ。承認され次第、AuroraはNASDAQに上場する。同社はいずれの日程も公表していない。

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Auroraが本格的に「成功した」というのは、推定的で時期尚早である。しかし同社は、相当の資金調達、主要パートナーシップの確保、テストの拡充など、商業化に向けた多くのハードルを乗り越えている。また、Waymo(ウェイモ)や上場企業のTuSimple(トゥーシンプル)、さらにはGatik(ガティック)やKodiak Robotics(コディアック・ロボティクス)といった小規模スタートアップのような、豊富な資金と提携を持つ他企業が競合する自動運転トラックの勢力図でも、大きな進歩を遂げている。

進捗レポート

Auroraがテキサス州に初上陸したのは1年前のことだ。現在同社は、テキサス州のダラス、パーマー、ヒューストンのターミナル間のルートで、スパイシーなポテトチップスやスナックを製造するBarcel(バルセル)の荷物を運ぶための自動運転トラック(常にセーフティドライバー2名が同乗)を運用している。また、今月初めに発表されたパイロットプログラムの一環として、テキサス州ダラスとヒューストンの間でFedEx(フェデックス)の貨物輸送を開始した。FedExによると、Auroraの技術を搭載したPaccarのトラックは週に数回使用され、州間高速道路45号線沿いの500マイル(約804km)近くのルートを走行するという。

計画ではエルパソとサンアントニオにターミナルを追加し、西はフェニックスとロサンゼルスまで、南はラレドまで、東はニューオーリンズまで拡張する予定である。Auroraが構想しているネットワークは西部と東部の沿岸地域を網羅しており、最終的には米国全土を視野に入れている。

Auroraはテキサス州外への進出がいつになるかは明らかにしていない。同社は先頃、エルパソとダラスを結ぶ全長630マイル(約1014km)のルートの貨物輸送を含まない試験運行を開始したところだ。

共同創業者で最高プロダクト責任者のスターリング・アンダーソン氏によると、商品を輸送するルートにおいて、同社は常に割り当てられたタイムフレーム内に配送してきたという。

「これはすばらしい、エキサイティングなオペレーショナル・エクセレンスの事例です」と共同創業者で最高経営責任者のクリス・アームソン氏はイベントのインタビューで語っている。「長期的な展望として、ドライバーを乗せずに車両を運転できるようになったときにサービス時間の制限はなくなるでしょう。それは飛躍的な前進の瞬間です」。

画像クレジット:Aurora

乗車

TechCrunchが2回試した乗車は、テキサス州パーマーにある、Aurora所有のSouth Dallas Terminal(サウス・ダラス・ターミナル)の駐車場から始まった。

トラックはPeterbilt(ピータービルト)579で、Auroraの自動運転システムと統合され、Paccarの協力を得てカスタマイズされている。同社が「Aurora Driver(オーロラ・ドライバー)」と呼ぶこのシステムには、カメラとレーダーの他、LiDAR(ライダー)と称される、長距離および中距離の検知と測距を行う光学式レーダーセンサーが組み込まれている。長距離LiDARは、Blackmore(ブラックモア)を買収後に自社開発された。Auroraは同社にとって2つ目のLiDAR企業となるOURS Technology(アワーズ・テクノロジー)を買収済みだ。中距離LiDARセンサーは、非公開のサプライヤーから提供されている。

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冷却装置を備えた巨大なコンピューターがキャビン後部に配備されている。他にも、走行中の車両、目的経路、道中の画像分類などを表示するディスプレイがキャビン内に設置されている。車内にはセーフティオペレーター2名が待機。いわゆる操縦士は商用トラックの運転免許、すなわちCDL(商用運転免許証)を保有しており、目的経路の確認や呼び出しを行う副操縦士は、他の車両、歩行者、道路上の物体を監視するスポッターのような役割も果たす。

画像クレジット:Kirsten Korosec

「私たちは彼らを単なるテスターとは見ていません。技術に関すること、そして彼らがどのように感じるかということだけでなく、道路のルールについても、非常に優れたガイダンスやアドバイスを数多く提供してくれます」と、Auroraのパートナーおよびプログラム担当VPであるLia Theodosiou-Pisanelli(リア・テオドシユー・ピサネリ)氏はトラック乗車前のセーフティブリーフィングで語っている。「例えば、トラックのドライバーであればしないようなこととして、あなたは大きくターンすることを選んでいる、これはあなたのやり方である、これはあなたのオペレーション方式である、これは他のドライバーが想定するようなことである、といった指摘です。また、顧客が期待することを本当によく理解しています」。

すべてのオペレーターはAuroraの従業員であり、契約社員ではない。彼らは数週間にわたって、車両制御、防衛運転、そしてクローズドトラックでのシナリオ実践の訓練を受ける。12名の「操縦士」が6週間から8週間の訓練を終え、現在トラックに同乗している。他にも準備中の操縦士たちが控えている。

2回の試乗のいずれにおいても、トラックは始めから自動運転でターミナル区画から側道まで走行し、続いて州間高速道路45号線へのオンランプを通過した。45号線を13マイル(約21km)ほど走ってから、左に曲がって高速道路の下に入った。一時停止の標識の後、トラックはもう一度左に曲がり、州間高速道路に再び入ってターミナルに戻った。往復で約28マイル(約45km)の行程だった。

画像クレジット:Kirsten Korosec

この種のデモでAV技術の完全な評価を提供するのは難しいことだが、同社は実際にシステムの寸評を提供し、さらに重要なことに、企業がどのような「ドライバー」を開発しようとしているのかを伝えている。

Auroraの場合、会社は慎重なアプローチをとっている。同社のトラックは、高速道路で掲示制限速度が時速75マイル(120km)であっても、時速65マイル(約105km)を超えることはない。合流車両のスペースを確保するか、低速車両を追い越すため以外は、一番右の車線に留まる。また州の法律に基づき、車両が路肩に停車している場合は、常に他の車線に移動する。

Auroraはさらにセーフティオペレーターに対して、テオドシユー・ピサネリ氏が説明するように、作業員がいる稼働中の建設現場や、緊急車両がライトを点滅させて近づいてきたとき、そしてあらゆる「クレイジーな動作主体」に対応する場合に、手動制御に切り替えることを意味する「解除」を行うよう指示している。

「解除するときは常に、その体験から学習します」と同氏はいう。「私たちはオペレーターに、積極的に解除するよう伝えています。そのことが、体験から学ぶ能力にインパクトを及ぼすことはありません。シミュレーターを通して、システムが何をするかを見ることができるからです」。

同社によると、すでに路上走行距離は450万マイル(約724万km)を超え、仮想テストスイートでは数十億マイルを走行しているという。

筆者が乗車中、側道沿いの区間をセーフティオペレーターが一旦制御した。車道に停車していたピックアップトラックが前方に進入し、セミトレーラーの前を曲がろうとしているように見えたためだ。2回の走行の残りの部分では、トラックは自律的かつスムーズに走行し、減速した車両が前方に来たときには、やや積極的にブレーキをかけることができた。

彼らが示したもの

Tesla(テスラ)の発表イベントを彷彿とさせる、洗練された照明、カーペット、座席、装飾を備えた仮設構造の中で、同社はその戦略を明らかにするとともに、LiDARやシミュレーションを含む同社技術を説明する試作品や教育的資料を披露した。その目的は、2023年末までに自動運転トラック事業を展開し、2024年末には配車サービスを開始する計画の背景を示すことだった。

同社は2種類の試作車を公開した。最終的には世界中で物や人を自律的に移動させる車両を提供すると同社は説明する。Volvo VNL(ボルボVNL)トラックは、Volvo初の自動運転トラックの設計試作品で、商用生産を想定している。VNLの路上テストは2022年に開始される。

Auroraは量産向けのAV対応試作車 Toyota Sienna(トヨタ・シエナ)も紹介した。Auroraは自社のAVシステムをこの車両に統合しており、ピッツバーグ、サンフランシスコのベイエリア、そしてテキサスで、約10台の車両をテストおよび検証用に配備する予定だという。

この先にある道筋

Auroraは将来のパートナーについて話す準備はできていなかった。しかし戦略的に言えば、市場は巨大であるとアンダーソン氏は指摘し、次のように語った。「多くのプレイヤーが存在しており、その多くと話をしています」。

2人はテレアシスタンス技術についても詳しく触れた。これは、人間がオフサイトのロケーションモニターを使って、必要に応じて自動運転車に経路計画の指示を送るというもので、これまで詳細には語られていなかった。

「当初から、技術の一環としてテレアシストを考えていました」とアームソン氏。

「端末の内部や周辺で起きていることを、極めて微細な粒度でモデル化しました」とアンダーソン氏はこれまでの進捗について語り、すべてのステップをチャート化したことに言及した。「私たちは、エンド・ツー・エンドのサポート要件が何であるかを十分に理解しています。トラックにドライバーが乗っていないときに、どのくらいの頻度でテレアシスタンスイベントやロードサイドアシスタンスが必要になるかについて、これから明らかになっていくでしょう」。

アームソン氏とアンダーソン氏は、同社がクローズドトラックや公道でテレアシスト技術をテストしており、商業運転に最適なアプローチを決定するためにパートナーと協働していくことを明言した。

画像クレジット:Kirsten Korosec

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(文:Kirsten Korosec、翻訳:Dragonfly)