「指の長さ」は、驚くほど多くのことを知らせてくれます。
たとえば、今年2月に発表されたノルウェーの研究では、人差し指が長いと女性的な食事を、薬指が長いと男性的な食事を好むことが示されました。
そして今回、オーストリア・ウィーン大学(University of Vienna)の研究により、また新たな事実が判明しています。
2D:4D比(後述します)および筋力を調べた結果、人差し指より薬指の方が長い女性は、そうでない女性に比べ、握力が強いことが分かりました。
これは、出生前に母親の胎内で、テストステロンへの曝露率が高かったことが一因と考えられています。
研究は、12月8日付けで学術誌『Proceedings of the Royal Society B』に掲載されました。
目次
- 薬指が長い女性は「力が強い」
薬指が長い女性は「力が強い」
2D:4D比とは、人差し指と薬指の長さの比率を示すもので、DはDigit(指)を、2Dは親指側から数えて2番目の指、つまり人差し指を、4Dは同じように数えて薬指を指します。
「2D:4D比が高い」というと、人差し指の方が長いことを示し、「2D:4D比が低い」というと、薬指の方が長いことを示します。
研究主任のカトリン・シェーファー(Katrin Schäfer)氏いわく、2D:4D比が低い(薬指の方が長い)と、出生前のテストステロン(男性ホルモン)への曝露が高いことを示し、成人してからの握力が高いことと強く関連しています。
これはかなり以前から男性について確立されている事実でしたが、女性ではまだ調査されていませんでした。
そこで研究チームは、オーストリア在住の健康な女性125名(19歳〜31歳)を対象に、2D:4D比と握力を測定しました。
2D:4D比の測定には、モバイルA4スキャナー(CanoScan LiDE 200)を、握力の測定には、ダイナモメータと呼ばれるハンドル付きの装置を使用しました。
握力は、医療現場でも患者を対象によく測定されており、握力の低下は、心血管疾患や慢性閉塞性肺疾患など、さまざまな慢性疾患の重症度の上昇リスクと関連します。
2つのデータを比較分析した結果、女性の2D:4D比と握力の間には、「明確な関連性」があることが分かりました。
薬指の方が長い女性は、人差し指の方が長い女性に比べて、握力の平均値が高かったのです。
これは、双方の関連性に影響を与える可能性のある、年齢・身長・生活環境・民族・肥満度・週あたりの運動時間などの潜在的な交絡因子をコントロールしても変わらなかったという。
このことから、2D:4D比は、男性だけでなく女性においても、出生前のテストステロン暴露のバイオマーカーとして支持されると結論できます。
同チームのソーニャ・ヴィンドヘイガー(Sonja Windhager)氏は「私たちは、2D:4D比が信頼できるバイオマーカーであり、人体の研究において、有効に利用できる最高の非侵襲的バイオマーカーであると考えている」と話します。
機会があればパートナーや友人の女性の指をそっと調べてみてください。
もし人差し指より薬指の方が長ければ、あまり怒らせないほうが良さそうです。
参考文献
Women with an index finger shorter than their ring finger may be STRONGER, study claims
https://www.dailymail.co.uk/sciencetech/article-10284421/Women-index-finger-shorter-ring-finger-STRONGER-study-claims.html
元論文
Handgrip strength and 2D : 4D in women: homogeneous samples challenge the (apparent) gender paradox
https://royalsocietypublishing.org/doi/10.1098/rspb.2021.2328