オーストラリアに生息するカモの一種、ニオイガモ (Biziura lobata) が声真似をするという研究成果が発表された (ライデン大学のニュース記事、 論文、 Ars Technica の記事、 The Guardian の記事)。
鳥類には声真似をする種も多いが、これまで知られていたのはスズメ目・オウム目・アマツバメ目に限られており、カモ目の鳥による声真似が確認されたのは初めてだといいう。今回分析されたのは 1987 年と 2000 年にオーストラリア・キャンベラのティドビンビラ自然保護区で録音されたもので、オランダ・ライデン大学の研究者が既に研究活動から引退していた録音者を共著者として論文を発表した。
自然保護区の記録は 2003 年の山火事で失われており、詳細は不明だが、1987 年に録音されたのは保護区で飼育員に育てられた Ripper という名のオス (当時 4 歳) だという。録音時に Ripper はニオイガモのディスプレイ行動の姿勢をとっていたが、特徴的な笛のような声と水を蹴る動作(動画)の代わりに声真似が聞かれたそうだ。録音されている声は (i) ドアをバタンと閉める音 (ii) ドアをバタンと閉める音に続いて人がぶつぶつ言うような声 (iii) 「you bloody foo(l|d)」と聞こえる声の 3 種類。飼育員の出入りする音や話し声を真似ていたと考えられ、声はディスプレイ行動と同様に繰り返されている。
2000 年に録音されたのは保護区で飼育されるメスに育てられたオス (当時 2 ~ 3 歳) で、こちらは通常のディスプレイ行動で聞かれる笛のような声にマミジロカルガモ (Anas superciliosa) の「クワック」という声真似が続く。同じ池で飼われていたマミジロカルガモの声を真似たと考えられる。また、録音はされていないが、英国の 2 か所で飼育されているニオイガモがポニーの鼻息や飼育員の咳、ドアのきしむ音などを真似することも判明したとのこと。
ニオイガモがさまざまな音を学習して真似るメカニズムの解明にはさらなる研究が必要となるが、カモ目の他の種ではみられない声真似をする理由として、研究者は子育て期間が長いことが影響している可能性を指摘している。
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