英高等法院は 10 日、米政府が要求するジュリアン・アサンジ氏の身柄引渡が不可能ではないとの判断を示した (裁判所文書、 The Register の記事、 Ars Technica の記事、 The Verge の記事)。
米政府は WikiLeaks で数多くの機密文書を公開したアサンジ氏をスパイ活動法違反などで起訴しており、英国で逮捕されたアサンジ氏の身柄引渡を要求している。アサンジ氏側は米国で公正な裁判を受けられない可能性や、過酷な環境に拘置される可能性を主張して身柄引渡に反対しており、1月に英中央刑事裁判所のバネッサ・バライツァー判事が後者の理由を認めて身柄引渡要求を却下したため、米政府が控訴していた。
米政府は控訴の根拠として
- 対象者の肉体的・精神的状態によって身柄引渡を免除する身柄引渡法 91 条を判事が誤って適用した
- 91 条の要件を満たすと判断するなら、米国側に判事の懸念解消を保証する提案の機会を与えるべきだった
- アサンジ氏の精神科医が判事をミスリードして 91 条の要件を満たすと判断させた
- 判事がアサンジ氏の自殺リスクに関する証拠を誤って評価した
- 米国はアサンジ氏を非常に制約された独房監禁状態にしないことや ADX フローレンス刑務所に送らないこと、オーストラリアでの実刑を可能にすることなど、判事の懸念を解消する保証パッケージを提案している
という 5 つを挙げている。高等法院では根拠 1 ・ 3 ・ 4 を却下してバライツァー判事の判断を支持する一方で根拠 2 と 5 を認め、これを踏まえて身柄引渡の是非を判断するよう中央刑事裁判所へ差し戻した。
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