
空を飛ぶタクシー、2025年の実用化に向けてテイクオフ。
韓国・ソウル市にある空港に登場したのは、大型のドローン。
そのコンパクトな機体にパイロットが乗り込んだ。
そして、パイロットが操縦するドローンタクシーがゆっくりと飛び立ち、空港周辺をテスト飛行した。
これは、ドイツ製の2人乗りドローンタクシー。
18個のプロペラで上空30メートルまで上昇。
時速およそ50kmで飛行した。
11日は離れた場所で韓国製のドローンの実験も行われた。
将来は時速およそ200kmで飛行することを目指しており、実現すれば、車でおよそ50分かかる仁川空港と金浦空港の間が10分ほどで移動可能になるという。
国土交通省未来ドローン交通担当官 チャン・ヨンギさん「実用化が成功すれば、日常的な交通手段として利用されるだろう」
世界で激しさを増す空飛ぶタクシーの開発競争。
韓国では4年後の実用化を目指すとしている。
このニュースについて、早稲田大学ビジネススクール教授の長内厚氏に聞く。
三田友梨佳キャスター「ものづくりの視点からビジネスを研究されている長内さんの目には、空飛ぶタクシーはどのように映りましたか?」
長内厚氏「2040年には空飛ぶ車の関連市場は150兆円にもなると予想されています。実は日本でも2025年の大阪万博で、会場と関西空港を結ぶ空飛ぶタクシーの導入計画が進んでいて、11月から日本航空は実証実験などを進めています。ただ、これは技術だけの問題ではないです。例えば、渋滞中の車の中で空飛ぶ車があったらと思うのですが、空を飛ぶのもそんなに自由には飛べません。例えば今の航空法の適用を受けるか、あるいは、それに変わる安全の仕組みをつくる、こうしたルール上の課題というのをクリアすることが重要になります」
三田キャスター「利便性は大切ですが、やはり安全に利用できてからこそですからね」
長内氏「安全性を重視するのであれば、今のヘリコプターと同じように耐空証明を取る、あるいは航空管制の指示に従って、定められたところだけを飛ぶというような安全を担保しながら飛ばないといけない、でもこれをすると、タクシーが増えたら空も渋滞してしまうかもしれません。一方で、利便性だけを重視して自由に空を飛び回れるということになると、空を飛んでいるだけに、そのリスクは自動車事故以上に大きくなることも考えられます。つまり、利便性と安全性のバランスを考えた新たなルール作りというのが必要になってくるわけです」
三田キャスター「法整備に手間取ってしまうと海外との普及競争に出遅れてしまって、成長する市場を取り損ねてしまう懸念もありそうですがいかがでしょうか?」
長内氏「迅速にやらなければいけない、でも一気にに変えてしまうと何かリスクがあるかもしれない。こうしたときに、以前、私がAPECの会議で台湾のオードリー・タン大臣と議論したんですけど、規制緩和のサンドボックスという考え方があります。日本でも法整備が進んでいるんですが、地域とかタイミングを限定して部分的に規制緩和を行って、そこで実証実験をするというルールなんです。こういう新しい制度を柔軟に運用して、イノベーションの進展と安全性の確立を両立していくことが大切なんじゃないでしょうか」
三田キャスター「法律的な空の交通整備や安全性、さらには騒音を減らすための技術開発なども求められますから、クリアすべき課題はたくさんあると思いますが、官民が一体となって取り組むことで、こうしたイノベーションが進んでいくことを期待したいと思います」