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<「カチカチに凍った」女性が奇跡的に一命を取り留め、多くの人々を驚かせた。彼女に身体に何が起きていたのか……> およそ40年前の冬の夜、米国で「カチカチに凍った」女性が奇跡的に一命を取り留め、多くの人々を驚かせた。 当時19歳だったジーン・ヒリアードさんは、1980年12月20日の夜、ミネソタ州レンビーにある実家へ向かっていたが、運転中の自動車が道路から滑り落ち、氷点下22度という極寒の天候下で立ち往生した。 彼女はコートと手袋、ウェスタンブーツで身を包んで、2マイル(約3.2キロ)離れた友人のウォーリー・ネルソンさんの自宅まで徒歩で移動し、助けを乞おうとしたが、玄関から15フィート(約4.5メートル)のところで倒れ、そのまま意識を失った。 彼女は文字通りカチカチに凍っていた 6時間後の翌朝7時、ネルソンさんはヒリアードさんを発見した。当時の様子について「彼女は死んでいると思った。彼女は板よりも硬く凍っていたが、鼻からいくつか泡が出ているのが見えた」と回顧している。ネルソンさんはすぐにヒリアードさんをミネソタ州フォストン市の病院に連れていった。 病院に運び込まれたとき、ヒリアードさんの体温はわずか27度で、顔は青白く、目は光に反応せず、皮膚は皮下注射針を刺せないほど硬くなっていた。温湿布で2〜3時間、温める処置をしたところ反応を取り戻し、正午までには話せるまでに回復してすぐに退院した。病院でヒリアードさんの救命に当たったジョージ・サザー医師は、当時、米紙ニューヨーク・タイムズの取材に対して「彼女がなぜ生きているのか説明できない。彼女は文字通りカチカチに凍っていた。奇跡だ」とコメントしている。 それでも “生き返った” 理由は…… 極めて稀ではあるものの、ヒリアードさんのように重度の低体温症から回復した症例はいくつかある。1985年から2013年までに北ノルウェー大学病院で治療を受けた低体温心停止患者34名を対象とする研究結果によると、1999年以前に生存者はいないが、1999年以降の患者24名のうち9名が生存した。 生存者のうち最も低い深部体温は13.7度で、心拍が再開するまでの最長時間は6時間52分であった。生存者は非生存者と比べて血液中のカリウム濃度が低かったという。 水は液体から凝固すると体積が増える性質を持つ。体内組織が冷やされると、体液の体積が膨張して組織を破壊するおそれがある。小さな氷の結晶ですら、細胞膜を破壊したり、傷つけて、いわゆる「凍傷」を引き起こすおそれがある。 ヒリアードさんの身体が “カチカチに固かった” のは、重度の低体温症により、筋肉の硬直が起き、死後硬直に似た状態となった可能性がある。 適応進化によって、こうした低温のリスクから身を守る生物もいる。韓国極地研究所が2019年2月に発表した研究結果によると、深海魚の一種「スイショウウオ」は、不凍液として糖タンパク質を産生し、南極の極限環境に適応している。