アフガニスタンでは、反政府武装勢力「タリバン」が首都の隣の州にまで迫り、情勢は一段と緊迫している。
笑顔で喜びを表しながら歩いているのは、13日夕方、タリバンが、東部ロガール州の刑務所から解放したとする囚人たち。
ロガール州は首都・カブールに隣接し、州都とカブールは直線距離でおよそ50kmほどに位置していて、首都への侵攻が現実味を増している。
タリバンは、13日の1日だけでロガール州やアフガニスタン第2の都市・カンダハルなどあわせて6つの州都の制圧を宣言するなど猛攻を見せ、国内34の州都のうち、これまでに18の州都を制圧した。
カブールには、ほかの地域から逃れてきた多くの人々が殺到していて、治安も急速に悪化している。
このニュースについて、フジテレビ・風間晋解説委員に聞いた。
内田嶺衣奈キャスター「攻勢を強めるタリバンですが風間さんはどう見ますか?」
風間解説委員「タリバンが圧倒的なスピードで重要都市を制圧できる理由は、政府軍がまともに戦っていないからでしょう。アフガニスタンは基本的に部族社会であり、有力な豪族が割拠する国家構造です。アメリカ軍が強い間はアメリカ軍が後ろ盾の政府軍とうまく折り合い、一族や部族の勢力伸長、そして生き残りを図ります。アメリカ軍が撤退し、それにかわるのがタリバンであるのならそっちに乗り換える。徹底抗戦するのは一部の勢力に限られます。タリバンはスピード重視で首都カブールの陥落を目指すでしょうが、そのときが近づくにつれ、1975年のサイゴン陥落と重ね合わせる見方が増えてきそうです。ベトナム戦争では和平合意とか名誉ある撤退と言いながら大混乱の首都脱出劇はアメリカの敗北を強く印象づけました。アメリカ軍にとって史上最長の戦争となったアフガン戦争も、20年をかけた敗北として記憶されることになりそうです」
内田キャスター「今後もアフガニスタンの動きを注視していく必要がありそうです」