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 ブラジルのゲーム開発スタジオMassive Work Studioが手掛けるアクションRPG「Dolmen」を一言で表現すると「激ムズSF死にゲーアクションRPG」だ。2022年内発売予定で、価格は未定。対応プラットフォームはプレイステーション 5/4/Xbox Series X|S/Xbox One/PC。

 本作は、いわゆる“ソウルライク”ゲームである。つまり何度もプレイして、何度も死んで敵の配置や攻撃パターンなどを覚えて少しずつ進んでいくゲームだ。

【Dolmen – ゲームプレイトレーラー】

 この道にはこの場所で敵が降ってくる、この辺りにいると遠くから敵の飛び道具が飛んでくる、曲がり角すぐに敵が待ち構えている……。筆者もプレイしながら数多の死を乗り越え、危険なポイントを覚えながらゲームを進めてきた。

 本作の難易度は高い。それは開発元の意図通りでもある。だがその難易度の高さゆえにアドレナリンは全開で、自分の神経が研ぎ澄まされていくのを感じる。そうして死地を乗り越えていく快感、それこそがソウルライクの魅力である。だが本作はソウルライクを愛しつつ、独自のシステムを盛り込んだ作品だと感じた。今回は本作の序盤を収めたプレビュー版に触れることができたので、そのプレイレポートをお送りしたい。

シビア、だが骨太な手触りが注目のアクションRPGだ

シビアなリソース管理が重要になるハードコアアクションRPG

 まずは世界観について簡単に紹介する。人類が複数の惑星を植民地化し、民間企業が軍事的・技術的な優位性を求めて争っている宇宙。「ゾアン社」は遺伝子が組み替えられた人間「ドリラー」を「惑星レヴィオン・プライム」送り込み、研究を進めていた。

 しかしレヴィオン・プライムの採掘現場で、異次元に繋がる裂け目が出現してしまう。裂け目は脅威となり、プレーヤーはこれを止めるために敵対生物との戦いに身を投じていく。そのためには、惑星と謎のクリスタル「ドルメン」の秘密を明らかにしなくてはならない……。

 アクションRPGとなる本作は、ゲームシステム自体はややこしくなく、すんなりと遊び始めることができる。両手に持った武器を使い分けながらステージの奥を目指して敵を倒しながら進んでいく。最奥部にはボスが待ち受けており、そのボスを倒すと1ステージがクリアできるという具合だ。

 武器はキャラクターメイク時にいくつかのプリセットから選択できる。剣と盾を両手に構え、防御と攻撃を堅実に重ねていくスタイルがあれば、大きな剣を両手に持ち、大振りだがダメージ重視でプレイすることもできる。持っている武器によって戦い方が異なるので、自分のプレイスタイルにあわせたセレクトをしたい。筆者はオーソドックスな戦い方で進めたかったので、標準の片手斧とハンドガンを使うスタイルを選択した。

何タイプか武器の異なるキャラクターが用意されているので、それらから選んでゲームを始める

 このスタイルが非常に良いのは遠距離、近距離の両方の戦い方に対応していることだ。近くの敵は片手斧で処理していき、遠くに見える敵はハンドガンで撃ってチクチクと体力を削ることができるといった具合だ。ハンドガンはそれだけでなく遠方で待ち受けている敵をおびき寄せるのに使うこともできる万能武器なのだ。

 本作には体力のほかにスタミナとエネルギーという概念がある。走ったり攻撃をするにはスタミナを使い、銃や体力の回復のためにはエネルギーを使う。銃で消費した分は徐々に回復していくが、体力の回復に使用した分はアイテムを使わないと戻らない。アイテムも持てる数が限られているので、シビアなリソース管理が大切なゲームだ。

 またユニークなのがエネルギーを消費して武器に特殊な属性をまとわせることができることだ。敵モンスターには弱点属性という概念があり、弱点属性の攻撃を当てるとダメージを多く与えることができるのだ。特にプレイできたステージの雑魚敵は氷が弱点の敵が多く、筆者が選択したキャラクターは氷のオーラを纏うことができるので非常に相性が良かった。だが今後ステージが進んでいくと別の属性が弱点の敵モンスターなども出現するだろうし、属性の使い分けなども重要になっていくのかもしれない。

 そしてステージ上にはいくつか「ビーコン」と呼ばれるセーブポイントのようなものがあり、途中で死んだりするとそこから再復活してステージを再開できる。またビーコンからは拠点になる宇宙船にテレポートすることができ、宇宙船では経験値を消費してレベルを上げたり、素材を使って装備のクラフトなどができる。

これがビーコンだ。中間セーブ地点のようなもので、死んだときはここから復活できるし、拠点になる宇宙船にワープできるポイントでもある

経験値やクラフト素材が溜まっていれば宇宙船でキャラクターをアップグレードできる

 シビアなのが死んでしまった時だ。ステージ上で死ぬとそこまでで獲得した経験値やクラフト素材などをすべてその場に落としてしまう。復活してそのポイントまで行くと回収できるのだが、回収する前に再度死んでしまうと最初に入手したものはすべてロストしてしまう。

死ぬとその場に経験値やクラフト素材などすべてを落としてしまう。なんとか回収できればよいのだが、回収前にもう一度死んでしまうと完全にロストしてしまう

一見理不尽、だが突破口が見えるとそれが逆に快感に

 ゲーム最序盤、チュートリアルが丁寧なので立ち上がりはスムーズに行けると思う。だが、プレーヤーに親切なのはほぼそこまでだ。通路をまっすぐ進んだら隠れていた敵が突然現われる、ただの飾りかと思っていた卵が孵化して敵がでてくる、遠くの方から敵が遠距離攻撃をしてくるなど、いきなり理不尽さが襲ってきて戸惑ってしまう。だがそれでこそ、改めてゲーマーとしてのプライドが刺激されるというものだ。

 奮い立ってみたものの、先行するのは難解さだ。場所やボスによっては「絶対クリアできないんじゃないか?」などと思わせる場所すらもあった。正直心が折れそうになったのも一度や二度ではない。だが繰り返しプレイしていると、なんとなく攻略方法が見えてきたりする絶妙なバランスになっている。それは銃を使い敵をおびき寄せて戦うこともあれば、無視したほうが良い脇道だったりする。

 筆者は狭い通路で、どうしても倒せないほど体力の多い敵に苦戦していた。だがある瞬間、「そもそも戦わなくて良いのでは?」とひらめいた。実際に勇気を出して駆け抜けてみると、意外と突破できてしまった。それまで目の前に現れたすべての敵を倒してきたので、「あ、これでよかったのか」と思ったし、辛かった思いが一気にスッキリしたとも言える瞬間だった。

狭い足場で戦わざるを得なかったり、超強力な雑魚モンスターが道を塞いでいたりする。どう突破するか、そもそも通らないほうが正解なのか。そういったことを考えながら進んでいく

 そして最後に待ち受けるのがボスだ、こいつがまた厄介なのだ。ビジュアルはそれまでに出現した蜘蛛型モンスターの巨大版になっている。氷属性の弱点も共通しているが、攻撃パターンの幅は大きく増えている。何度も何度も繰り返してたどり着いた最奥のボス。戦いはまさにクライマックス、という感じがしてゾクゾクする。

 このボスは、遠距離から酸のような弾を飛ばしてくる攻撃をしてくる。距離をとって左右に動いていれば良いので避けるのは簡単だが、ジャンプで一気に距離を詰めてくることもある。攻撃をしっかり見極めて避ければ、攻撃のチャンスだ。片手斧なら大体2回くらい攻撃を叩き込める。

 ボスの近接攻撃は数パターンに分かれるが、正面に対する攻撃、左右も含めた広範囲な攻撃に大きく分かれる。正面に対する攻撃は左右に、広範囲な攻撃はボスから距離をとれば回避できるのだが、とっさのこの判断が難しい。読み違えるともちろん攻撃を食らってしまう。回復アイテムの少なさから少しのプレイングミスで一気に死に近づく。油断は一瞬もできない。

 またパターンにハマったかと思っていると、敵のHPが減ると同時に新しい攻撃パターンもでてくる。これにいきなり対応するのは厳しいし、さらには雑魚敵をも召喚してくる。さすがボス、すんなりと勝たせてはくれず、なかなかに歯ごたえがあるのだ。

 雑魚も単体ならなんてことはないのだが、複数体集まると集中攻撃で一気に体力を奪われゲームオーバー一直線なんてこともある。ボスの攻撃を避けながら着実に処理していく必要があるのだが、プレイには正確さと集中力が求められる。

 通しでプレイして感じたのは、シビアなリソース管理、歯ごたえのあるダンジョン、凶悪なまでに強いボス……これらの要素があわさりあった超ハードコアなアクションRPGであるということだ。だが決して理不尽すぎる難しさではなく、何度もプレイしてルートを覚えたり、自分自身のスキルが身につくことで突破できるくらいのラインを突いている。そうして、自分の成長を感じられるのが何よりも楽しく快感な部分である。

とにかく手強いのがボスだ。ボスの攻撃を避けながら、こちらの攻撃を叩き込んでいく。回復するリソースが限られているので、攻撃を受けることはできるだけ避けたい

 今回プレイできたのは序盤の1ステージのみだったが、それでもプレーヤーが求める骨太なアクションは十二分に体験できた。今後は別の弱点属性の敵なども出てくるだろうし、そうなると属性の切り替えや装備のクラフトなども大きく生きてくるだろう。

 またロケーションについても幅が広がるだろうし、異なるボスも登場してくるだろう。まだまだ広がりを感じさせるゲームだと感じた。

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