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「スタートレック」のカーク船長が、本物の宇宙旅行を実現した。

アメリカの人気SFドラマ「スタートレック」でカーク船長を演じた俳優のウィリアム・シャトナーさん(90)が13日、宇宙開発企業「ブルーオリジン」の民間宇宙船に乗り込み、地上からおよそ106kmの宇宙空間に到達したあと、無事帰還した。

帰還したシャトナーさん「下を見ると青い地球。見上げると黒い宇宙、その中に母なる地球があった」

飛行時間は10分余りで、90歳のシャトナーさんは、宇宙飛行した人の最高齢記録を塗り替えた。

このニュースについて、早稲田大学ビジネススクール教授の長内厚さんに伺う。

三田友梨佳キャスター「90歳での宇宙旅行が実現しましたね」

長内氏「いよいよ宇宙旅行時代の幕が上がったという感じです。ただ、90歳のカーク船長の宇宙旅行を実現させた宇宙船は、SFドラマの『エンタープライズ』のように自由に惑星間を行き来することはできません。衛星を打ち上げたり、宇宙ステーションに物資を運んだりすることもできません。VTRにあった有人宇宙船は、人が数分間宇宙を体験するためだけに打ち上げられたんです」

三田キャスター「こうした宇宙旅行を民間企業がビジネスとして展開する試みというのは少しずつ定着していますね?」

長内氏「はい。ビジネスとしての宇宙旅行。ここで使われている飛行の方法というのは、サブオービタル飛行といいまして、大砲の玉のように弾道飛行で飛ぶんです。飛行機の高度のおよそ10倍にあたる上空100km付近で数分間宇宙旅行をするというものなんです。こうしたサブオービタル飛行による宇宙船、ヴァージンやAmazonなど民間企業の経営者によって海外で行われているんです。日本でもサブオービタル飛行に関する官民協議会という組織が国土交通省事務局に発足していまして、実現に向けた検討が始まっています」

三田キャスター「日本も宇宙の旅を提供するビジネスに乗り出していくにはどんな課題があるのでしょうか?」

長内氏「まず日本が取り組まなければならないのは、技術や資金の問題もありますが、実は法律というのもあります。空の旅を提供する飛行機、航空機に関しては、航空法という法律が定められていますが、宇宙ロケットは航空法の適用ではありません。宇宙ロケットについては、宇宙活動法という法律があるんですが、ここで想定しているのは人工衛星などの人工物の運搬なので有人飛行は想定されていないんです。つまり、人を乗せたロケットが商業目的で継続的に宇宙に打ち上げていく、そのためにはきちんとした法整備が必要になります。これまで日本が想定していなかった宇宙時代がやってくることになるわけです。日本が宇宙のビジネスの分野で世界のさまざまな強豪と戦っていく先にいくためには、こうした法律も含めた環境整備が必要だと思います」

三田キャスター「そうした環境が整ったときに日本はどれだけ存在感を示すことができるのかという点においては、以前、宇宙飛行士の野口聡一さんにお話を伺ったときに、宇宙ビジネスにおいては民間のスピード感、イノベーション、そして活力が不可欠だと話していらっしゃったのが印象的でした。日本のモノづくりの技術が宇宙産業においても存在感を示して、これからの夢物語が現実になっていくことを期待したいと思います」