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著者 UCLA医学部・公衆衛生大学院(医療政策管理学)准教授で医師の津川友介先生の『世界一シンプルで科学的に証明された究極の食事』から気になるポイントをライター朝岡真梨がピックアップ。今回は、「グルテンフリーの食事をすると健康になれる?」です。

【食事と健康のハナシ】その情報はホントに正しい?

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「○○を食べると健康にいい」という情報は、商品の売り上げに大きく貢献します。巷では、ありとあらゆる健康に関する話であふれていますが、けっこう間違っているものも少なくありません。

◆科学的根拠=エビデンスには強さのレベルがある

ひとりの医師が「コレはいいですよ~!」とおすすめしているエビデンスより、複数の研究結果をとりまとめた研究手法であるメタアナリシスから導き出されるエビデンスのほうが、科学的根拠が強いといえます。実はこのエビデンスのレベルってとても大事。

とはいえ、私たち一般の人が、元になっている研究の質やエビデンスの強さを見極めるのはなかなか難しいところ。そこで書籍『世界一シンプルで科学的に証明された究極の食事』に書かれている“科学的な根拠に基づく健康にいい食事”のなかから、特に健康意識が高い方にお届けしたいお役立ち情報をピックアップ。

グルテンフリーの食事をすると健康になれるの?

海外のアスリートたちが取り入れていることでも話題になっているグルテンフリー。日本でもよく耳にするようになってきましたが、果たしてグルテンフリーの食事をすることでどのくらいの健康効果が期待できるのでしょうか?

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◆セリアック病じゃないなら、グルテンフリーのメリットはない

グルテンフリーとは小麦や大豆に含まれるたんぱく質の一種であるグルテンを抜いた食事のこと。もともとはセリアック病というグルテンを摂取すると下痢を引き起こしてしまう病気の人でも食べられるように開発されたものなのですが、この病気、日本人の罹患率は0.05%とかなりめずらしい病気。

そして、セリアック病の人以外は、グルテンフリーで健康になれるというエビデンスはないのです。

◆グルテンフリーの食事でダイエット効果はあるの?

玄米などの健康に良いとされる茶色い炭水化物には、グルテンが含まれています。グルテンをさけようとすることで、自然に食物繊維豊富な茶色い炭水化物の量が減ってしまいます。結果、体に良くない白い炭水化物が増えてしまうとなると、セリアック病の人以外にとっては、かえってグルテンフリーはすすめられません。ダイエット効果の根拠も乏しいのが実情なのです。

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ちなみにネズミがグルテンを制限したことで糖尿病を予防できたという報告もあるのですが、人間がグルテンを含む食事をしたからって体に悪影響があるという科学的な根拠はないそう。

普通のものより、少し高価なグルテンフリーの食事。なんとなくイメージで「これを食べると体にいいのかな」と思いがちですよね。健康にかけるコストは効率よく使っていきたいところ。正しい情報を得て、自分の食べるものは自分で正しく選べるようになりたいですね。

『世界一シンプルで科学的に証明された究極の食事』発売中

書籍『世界一シンプルで科学的に証明された究極の食事』では、がんや心筋梗塞、糖尿病や動脈硬化、ADHDやアルツハイマーなど、気になることがあったときに、「主なリスク一覧」から内容を逆引きすることもできてとても読みやすく紹介されています。健康になれるだけでなく、気になるリスクと食品の関係について「根拠はあるのかな?」と思った時に、家に一冊あるとすぐに調べられます。

意外性や目新しさはないかもしれませんが、確実に健康に近づきたい人には、すごくおすすめできます。日々の生活に正しい食事をとり入れることが、人生の幸せに繋がるかもしれません。

『世界一シンプルで科学的に証明された究極の食事』(東洋経済新報社)

著/津川友介

本書では、最新の膨大な研究論文をもとに複数の質の高い研究で体に良いことが科学的に証明されている食事を紹介しています。自分の体が変わってきたことを実感できるようになるかも!

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