米食品医薬品局(FDA) が、米国内の軽~中程度の聴覚障害者が、医師の診断や業者によるフィッティング作業なしに手軽に補聴器を購入できるようにするOTC(over the counter)化の提案を出しています。
この提案は「OTCおよび従来の診断を必要とよる補聴器の安全性と有効性を確保しつつ市場における競争の促進を目的としている」とFDAは述べています。これによって補聴器の恩恵を受けられるにもかかわらず診断を受けることに抵抗を感じてそれを享受できない状況を改善し、手軽に補聴器を入手できるようになると考えられます。
米国政府は、2017年に人々がより安価に補聴器を入手できるようにするため「市販補聴器法(Over-the-Counter Hearing Aid Act)」を定めています。しかしこれまで、FDAによってClass I~IIの医療機器として分類される補聴器は、それを得るのに医師の診断を必要とするままでした。バイデン大統領は7月に大統領令に署名し、120日以内にOTC補聴器に関する新たな規則を発表するよう指示しました。
FDAの今回の提案は現在90日間のパブコメ募集期間となっています。最終的に採用となった場合は、連邦官報に掲載され、60日後に発効の運びとなります。
米国ではすでに複数の企業がOTC補聴器に参入の動きを見せており、Boseがそれに先駆けてFDA認定のSoundControlシリーズを発売、JabraもEnhance Plusと称するヒアリングエイド機能付きイヤホンを発表しています。日本ではシャープが完全ワイヤレスの軽度・中等度難聴者向け補聴器を発売。こちらも、音楽も聴ける便利な製品です。
またアップルは、先日AirPods Proのアップデートで周囲の騒音を低減して会話を聞き取りやすくする機能を搭載しており、将来的にAirPodsシリーズの守備範囲をヘルスケア用途に拡げることも検討中と言われています。
(Source:FDA。Engadget日本版より転載)