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<脅威が増す変異株への賢い対処法を考える。11の素朴な疑問に答えます(後編)> ※本誌8月24日号「日本人が知らない 変異株の正体」特集より ワクチンはウイルスから身を守るのに有効ではある。しかし感染が急激に拡大すれば、ワクチンを接種していようといまいと、全ての人の感染リスクが高まる。 従来株よりもはるかに感染力が強いデルタ株の流行によって、そのリスクはさらに高まっている。 脅威が増すばかりのデルタ株に関することを中心に、よくある疑問を11点に絞って、現時点での答えを紹介する。 ※前編:デルタ株は症状が違う? ワクチンの効果はいつから弱る?〈変異株とワクチンQ&A〉より続く。 ◇ ◇ ◇ 【7】3回目のいわゆる「ブースター接種」は全ての人が受けるべき? 現時点で専門家は、基礎疾患がなくワクチン接種を済ませた多くの人については、ブースター接種が必要とは考えていない。 公衆衛生の当局者の間には、免疫系が弱くなっている人々については、今度の冬にブースター接種が必要かもしれないという見方もある(CDCは、免疫が低下している人に対するブースター接種を8月12日に承認した)。 【8】オフィスでの仕事を再開するのは安全? 何が安全かは人によって異なる。個人の健康状態や置かれた状況、リスク耐性によって違ってくる。 感染が抑制されている地域のオフィスで、スタッフがみんなワクチンを接種していればリスクは小さい。 逆に感染流行地域にあるオフィスで、職員の多くがワクチン未接種なら、リスクは何倍にも高まりかねない。 ワクチンを接種していない人のリスクは、接種した人より確実に高い。 また免疫障害がある人や、自宅で重症化リスクの高い人を介護している人は、ウイルスに接する機会を可能な限り減らしたほうがいい。 「密」の状況や換気の悪い部屋を避け、屋内ではマスクを着用すべきだ。 デルタ株は感染力が極めて高いので、感染が拡大している地域では屋内で常にマスクを着用することを、CDCは推奨している。 【9】デルタ株が流行していることを考えると、レストランで外食したり、スポーツ観戦やコンサートに出掛けたり、飛行機に乗るといった活動の再開は考え直すべき? 大半のワクチンは優れた保護効果を保っている。 しかしウイルスにさらされる機会が増えれば、当然ながらリスクも増える。そして感染力が強いデルタ株は、あらゆる活動についてリスクを引き上げている。 リスク耐性は人によって異なるが、一般に大量のウイルスに触れる可能性が高い状況には気を付けたほうがいい。 混雑したバーは、スペースをゆったり使った換気のいいレストランに比べてリスクが高い。 飛行機は換気が優れているが、隣の席の人がマスクを着用していなかったり、ワクチン接種を受けていなかったりする可能性は想定すべきだ。心配ならマスクを着用しよう。 ===== 【10】感染歴はあるが軽症だった人がワクチンを接種するメリットは? ワクチン接種の大きなメリットの1つは、ある集団内のウイルス総量を減らして、全ての人をより安全にすることだ。 研究報告のなかには、ワクチン接種が自然感染よりも長期にわたる保護効果をもたらすと示しているものがある。 中国で行われた調査で感染歴のある人を調べたところ、数カ月後にも抗体を保有していた人は全体のわずか40%だった。 【11】感染歴があってワクチンを接種する場合も、2回の接種が必要? そのとおり。イギリスで最近行われた研究では、ファイザー製ワクチンを2回接種した場合のデルタ株への有効率は88%だったが、1回のみの接種では33%しかなかった。