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10人に1人がその特性を持ち、“見えない障害”とされる、発達障害。

東京オリンピック・パラリンピック大会を契機に、共生社会の実現に向けた動きが広がる中、周囲との協調が難しい子どもたちに、スポーツの楽しさを知ってもらおうと、サッカー教室が開かれた。

サッカーJ1・川崎フロンターレの本拠地、等々力陸上競技場で開かれたサッカー教室。

お父さんの影響でサッカーが大好きな、小学1年生の陽仁くん。

集団で行動することが苦手で、好きなサッカーは、お父さんと2人で楽しむばかりで、サッカー教室などに、あまり参加できずにいた。

陽仁くんの母親「いつも週末、お父さんと公園でサッカーしているくらいだったので、こういう機会があれば、きっと本人もモチベーションが上がるなと」

成長期の子どもたちに運動をさせたい。

親たちの思いはあるものの、自閉スペクトラム症、学習障害、注意欠如・多動症などの発達障害への社会の理解が進んでいないこともあり、子どもたちにスポーツをさせる環境が、十分に整っていないのが現状。

そんな子どもたちに、サッカーを通してスポーツの楽しさを感じてもらおうと、民間企業と川崎市、川崎フロンターレが協力して、定期的にサッカー教室を開催している。

富士通 企業スポーツ推進室・田中雄輝さん「特に発達障害は、見た目にわかりにくい障害なので、みんなが理解をして配慮していく社会になったらいいなと」

教室への参加を前に、コーチや運営スタッフは、発達障害の症状や接し方を学んだ。

時折戸惑い、感情を乱す子どもたちに優しく言葉をかけ、疲れた様子を見せれば、休憩を取らせる。

ほめる、そして“前向きになれる言葉”に応えるように、子どもたちは、思い通りにシュートを決められなくても、再びゴールを目指す。

笑顔でやりきった様子の陽仁くん。

「また次回も参加したい」。

大きな1歩だった。

陽仁くんの母親「まず子ども自身が『これダメだよ』って言われずにできる環境が、普段の学校生活でもなかなかない。全部を認めてもらいながら、好きなサッカーができる環境。そういう理解があるだけでもありがたい」