もっと詳しく

キイロショウジョウバエを 1 匹だけ隔離すると食べる量が大幅に増加するとの研究成果をロックフェラー大学などの研究グループが発表している(Nature の記事ロックフェラー大学のニュース記事SlashGear の記事論文アブストラクト)。

キイロショウジョウバエはおよそ 1 週間の隔離で行動に変化が見られたという。隔離 1 日目は睡眠時間が長くなり、餌を食べる量はわずかに増加しただけだったが、7 日後には睡眠時間が短くなり、およそ 2 倍の餌を食べるようになる。隔離の影響を受けるのは 1 匹で隔離した場合のみで、2 匹で隔離しても通常と変わりなかったとのこと。

研究者は飢餓に対応してキイロショウジョウバエの脳内で増加するホルモン「リモスタチン」と、減少するペプチド「ドロスルファキニン」をコード化する遺伝子に注目。隔離時には餌が十分あるにもかかわらず、これらの遺伝子は飢餓時のように発現していたそうだ。

さらに研究者はリモスタチンを発現する P2 ニューロンのクラスターを特定し、P2 ニューロンを非活性化すると 1 週間隔離したキイロショウジョウバエの行動が元に戻り、逆に活性化すると 1 日の隔離で 1 週間の隔離と同様の行動になることが確認された。ただし、P2 ニューロンを活性化しても隔離しなければ不眠と過食はみられなかったという。

研究者は隔離と不眠・過食の関係について、隔離が将来の不確実性を示し、より厳しい状況に備えて周囲を警戒し、手に入るだけ食料を食べるという説を可能性の一つに挙げている。ヒトを含む多くの社会的動物でみられる隔離時の不眠と過食がすべて同じ仕組みとは限らないが、将来的には他の動物でも長期隔離に対応する仕組みの確認が期待されるとのことだ。

すべて読む

| idleセクション

| サイエンス

| idle
|
この記事をTwitterでつぶやく
この記事をFacebookで共有
この記事をGoogle Plusで共有
このエントリーをはてなブックマークに追加

関連ストーリー:

米 CDC、COVID-19 ワクチン完全接種済みの人にもデルタ変異株対策としてマスク着用を再び推奨
2021年07月31日

トノサマバッタを大群化させる誘引物質が特定される
2020年08月15日

超音波を脳の特定領域に照射することで、意思決定を偏らせることに成功したとの報告
2020年06月09日

ハエの脳神経回路の3Dマップ化に成功。脳が行動を制御する仕組みの理解に期待
2020年01月28日

2017年のノーベル生理学・医学賞は体内時計の分子メカニズムを発見した米国の3氏が受賞
2017年10月03日

可視領域の青色光に殺虫効果
2014年12月11日

マイクロソフトリサーチ、ストレスによる過食を防いでくれるスマートブラジャを開発
2013年12月10日

暗室で57年飼育したショウジョウバエ、遺伝子が変異
2012年03月25日

青い光を果物の匂いのように感じるショウジョウバエ、遺伝子操作で生み出される
2010年06月04日

暗室で 50 年・1400 世代交代したハエ、「進化」した ?
2009年12月09日

ショウジョウバエで新しい体内時計遺伝子を発見
2007年06月20日

ハエにも自発的意思有り
2007年05月18日