目にも地球にも優しいメガネ
東京・杉並区のカフェで行われているポップアップイベント。
【画像】ブルーライトカット、サングラス、老眼鏡を展開 フレームは鯖江産
店頭に並べられているのは、使用済みのペットボトル約2本をリサイクルして作られた、地球にもやさしいメガネだ。
フレームに金属が使われていないので、とてもやわらかい。
フレームは、“めがねのまち”福井・鯖江市で製造されている。
家庭ごみから回収されたペットボトルは、選別、洗浄したあとに専用の機械へ。
そこでフレーク状に細かく粉砕され、粒状の原料へと形を変えたあと、溶かして液状にする。
原料を固めてフレーム型に成形したら、最後は手作業で組み立てられ、メガネへと生まれ変わる。
また、レンズにも「自然に返る素材」を使用。
ブルーライトカット、サングラス、老眼鏡を展開していて、世代を問わず楽しむことができる。
このメガネを考案したのは、スタートアップ企業「オウン合同会社」だ。
オウン・柾木要介さん:
ペットボトルという飲み終わったら一瞬でゴミ箱に行ってしまうものを、メガネという長く使えるものに変えていけることに意味がある。無理なく自然に『自分が使っているものって、実は環境にいいものだったんだ』と後から気づくようになっていけばいいかなと思う。
目にやさしいだけでなく、地球にも優しいメガネ。
今後については・・・。
柾木要介さん:
『サステイナブルな取り組みが大事ですよ』とか、『環境に優しい取り組みしましょう』といくら言っても、やはり続けていくのは難しい。なので、楽しさだったり、商品そのものの魅力というのをシンプルに伝えていけるようにこれからも続けていきたい。
リサイクルは「ロングサイクル」な商品へ
三田友梨佳キャスター:
コミュニティデザイナーでstudio-L代表の山崎亮さんに聞きます。
今回の試み、どうご覧になりますか?
studio-L代表・山崎亮さん:
「ペットボトルからメガネ」というのは、すごくいいなと思いました。
最近、「サーキュラーエコノミー=循環型経済」という言葉がよく使われるようになりましたが、サイクルの時間の問題も同時に考えておく必要があると思っています。
三田キャスター:
時間の問題とは、どういうことでしょうか。
山崎亮さん:
循環型だからといって早くぐるぐる回してしまう循環だと、結局そこに付随するエネルギーや資源を使ってしまうことになります。
例えば、ペットボトルだと成型するのは数分で、数秒で飲み物を入れて、それを数日で配送して数週間で販売する。買った人はそれを数分で飲んで、数秒で捨てる。
これを次の製品に作り変えるリサイクルを短い時間で繰り返すのは、これも一種の循環ではありますが、結果としてその間に水や電気を結構使ってしまう。
三田キャスター:
時間をかけてゆっくりとリサイクルの輪を回す循環型社会の扉を開く鍵は、ここにありそうですね。
山崎亮さん:
今回の試みであるペットボトルからメガネというのは、数週間のサイクルになりそうなペットボトルを数年、数十年間のサイクルで使用できるメガネに変換する。これはすごく大切なことだと思います。
逆に言うと、購入したメガネを長く愛着を持って使えるようなデザインにしていくことも大切ですし、修理できるものであるかどうかも問われます。
ショートサイクルの物品が社会に登場することは一定量は仕方ないと思いますが、ただ、それをリサイクルする場合は、なるべくロングサイクルなものへと定着させる叡智が、これからの社会には不可欠になるだろうと思います。
三田キャスター:
資源のサイクルを遅らせるためには私たちがモノを大切に使うことも重要だと思います。
ご紹介したメガネは、使い古した際には食器トレーやメガネケースなどに再びリサイクル可能だということです。
(「Live News α」9月21日放送分)