一般社団法人日本音楽著作権協会(JASRAC)は12月17日、フィンガープリント技術を用いて利用楽曲を自動的に特定するデバイス「Audoo Audio Meter」を店舗などに設置し、楽曲を特定する精度の検証、および運用面の課題などを把握するためのトライアルを実施すると発表した。同協会が演奏権分野において、フィンガープリントで利用曲目の収集を行うのは今回が初となる。
フィンガープリントとは、人間の指紋(finger print)に由来し、人物やデバイスを特定するためのデータまたは技術のことを指して、さまざまな分野で使われる。音楽においては、楽曲ごとの特徴点を抽出してデータ化したものを指し、流れている楽曲のフィンガープリントを抽出してデータベース中のものと照合することで、楽曲を特定できるようになる。
Audoo Audio Meterは、イギリスのスタートアップ企業Audoo Limitedが開発したもの。店舗などで流れる楽曲のフィンガープリントを取得し、データベースとの照合によって特定できた楽曲のタイトルを自動的にリスト化する。
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トライアルでは、一般社団法人JDDA(Japan Dance Music&DJ Association)の協力のもと、東京都渋谷区のDJバー「Shibuya CLUB BALL」と「THE ROOM」の2店舗にAudoo Audio Meterを設置する。JDDAが毎週金・土曜日に実施するDJプレイ配信「Japan DJ.net-ONLINE-」の収録会場でも検証を行う予定だという。
今回トライアルを行う技術により、現在は各店舗が手動で行っているJASRACへの利用曲目の報告が自動化できると同時に、より正確に利用曲目の情報を収集できる可能性がある。同協会は、音楽利用者が支払う著作物使用料を、より正確に、より低コストで著作者に分配する取り組みを推進していくとしている。