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住民が勝手に線路を渡る正式ではない踏切、いわゆる“勝手踏切”が問題になっている。

取材すると、住民の複雑な思いが見えてきた。

次々と線路の上を人が通る、踏切が設置されていない場所。

正規の踏切ではない、いわゆる「勝手踏切」。

ある国会議員が書類送検されたことを受け、この勝手踏切が注目されている。

“撮り鉄”を自称する、共産党の山添拓参院議員。

2020年11月、埼玉・長瀞町で線路に無断で立ち入った疑いで、9月16日に書類送検された。

山添議員はツイッターで、反省の弁を述べつつも、「地域住民によって道がつけられ、水路に渡し板がかけられていた箇所を、約1秒程度で渡りました」と釈明した。

現場は、勝手踏切だったと認識していたという。

取材班は、長瀞町を訪れた。

踏切がない場所を渡る、高齢の女性と遭遇。

近隣住民「(安全確保すれば渡っていい?)あっちまでずっと行くんじゃ、本当に年寄りだから大変ですよ」

付近にある踏切の間隔は、200メートルから300メートルほど。

そして、その踏切の間には、線路を渡ることができる場所が、いくつも見つかった。

付近の住民の一部には、こうした勝手踏切を通っている人も多いという。

近隣住民「(渡ることはある?)耕運機とかを移動するときに、使うときありますよね」

本来は違法だが、黙認されているケースも多いとみられる勝手踏切。

国土交通省によると、全国で1万7,000カ所にものぼるという。

こうした中、勝手踏切で事故が起きてしまったのが、江ノ島電鉄。

2021年4月に、小学3年生の女の子が、勝手踏切で電車にはねられ、一時重体となった。

しかし、取材班が訪れると、今も多くの住民たちや配達員などが、勝手踏切を通っていた。

利便性を重視する住民の一方で、危険性を強く訴える人もいる。

住民「(ここに住んでいる?)そうです」、「(やってきましたね電車が)ねっ? この状態です。子どもの友達なんか、はねられて、この溝に落っこちたりね。 (江ノ電が)このへん、全部買い取って安全な道路を築いて、その余った部分をまた分譲するなり、なんなりすればいい」

江ノ島電鉄は、番組の取材に対し、勝手踏切は、あくまでも非公式な横断箇所なので、警報ではなく、注意喚起看板の設置等で対処し、住民とは、勝手踏切の閉鎖に向けた協議を進めていくとしている。