西暦2050年というと、ひと昔前はSF世界の話でしたが、今やすでに2021年。そう遠い先の話ではありません。
2050年を迎えた時、人類はどのような暮らしをしているのでしょうか。
その未来は覗けませんが、予想することはできます。
ソニーグループは、8月31日〜9月13日に開催された「ONE DAY, 2050 / Sci-Fi Prototyping」にて、“「2050年の東京」のものがたり”をテーマとした未来構想を発表しました。
この未来構想は、同社クリエイティブセンターのデザイナーと日本のSF作家が協力して、考察しています。
目次
- 2050年の人類の家は「海上ポッド」?
2050年の人類の家は「海上ポッド」?
チームが用いた「Sci-Fiプロトタイピング」は、SFの知識や想像力をもとに未来を構想し、それを起点に「今、これから何をすべきか」を考える手法です。
本プロジェクトには、藤井太洋 氏、小野美由紀 氏、麦原遼 氏、津久井五月 氏の4名のSF作家が参加しました。
まず、2050年の地球環境について、チームは、温暖化による海面上昇で、海の占める面積が広がっていると考えます。
氷河や氷床の氷が溶け、海水が熱膨張することで海面レベルが上昇し、人類の文明に甚大な被害が出ます。
小さな島の多くは水没し、海上での生活を余儀無くされる人々が続出するかもしれません。
実際、地球上の平均海面は、1880年から今日に至るまで、およそ21〜24センチも高くなっており、現在も凄まじい勢いで上昇を続けています。
そこでチームが考案したアイデアは「海を拠点とする遊牧民のコミュニティ」です。
地上のすみかを失った沿岸部の難民は、ポッド型の海上住居に移り住みます。
ポッドハウスは、外側にリンク状の減揺装置を備えた二重構造になっており、波や暴風雨による居住空間の揺れを抑えます。
内部は広々とした3つの階層に分かれており、各階は階段でつながっています。
コンセプトプロジェクトであるため、居住空間のアメニティについては示されていませんが、地上の家と変わらないインテリアが楽しめるでしょう。
海上での移動には、自動運転のウォータージェットを使用します。
ポッドの底部に設置されたバッテリーやエネルギータンクに加え、屋根には簡単に太陽光発電ができるパネルを取り付けて、ポッドや生活に必要な電力を得ます。
余ったエネルギーは、底部のエネルギータンクに蓄えておきます。
また、海上には自律型のエネルギータンクが太陽光発電をしながら回遊しており、電力の足りないポッドに接続して、電力を供給します。
「動くガソリンスタンド」のようなものですね。
さらに、ポッドにはポンプ式の多孔質フィルターが組み込まれており、水を浄化しながら海を漂います。
屋根を畳むことで海上の露出面を減らして重心を低くし、海が荒れた際の揺れを抑えます。
それから、海上で他のポッドと出会うと、ポッド同士で接続し、より大きな構造体を作れます。
蜂の巣のように複数のポッドが接続することで、より大きな「海上都市」を形成できるでしょう。
たとえば、非常に強い暴風雨の際は、複数のポッドが寄り集まることで、海面に触れる面積を大きくし、転覆を防ぐことができます。
また、ポッド同士が連結することで、エネルギータンクを介し、電力を効果的に共有できます。
「ちょっと、お隣さんに電気もらってくる」なんて会話もあるかもしれませんね。
なかなか快適そうですが、この未来の実現は、地上での生活が難しくなっていることを意味します。
休暇を取って、ポッドハウスで海上旅行をする程度ならいいですが、ずっとこの中で暮らすのはストレスかもしれません。
さて、2050年の未来、人類はどこでどんな暮らしをしているのでしょうか。
参考文献
Sony’s ‘Tokyo 2050’ Envisions Humans Living on Floating Pods in the Sea
https://interestingengineering.com/sonys-tokyo-2050-envisions-humans-living-on-floating-pods-in-the-sea?utm_source=rss&utm_medium=article&utm_content=19102021