NASAがクマムシを「光速の30%」まで加速させる宇宙飛行計画を発表

クマムシを「光速の30%」まで加速するNASAの恒星間航行計画が発表(減速装置は未搭載)
Credit:Canva

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恒星間航行をはじめて行う生物はクマムシになりそうです。

NASAが資金提供するカリフォルニア大学の宇宙計画「スターライトプロジェクト」によれば、手のひらサイズの薄い帆を持つ宇宙船を「光速の30%」まで加速させ、恒星間航行を行う計画があるとのこと。

また、宇宙船の搭乗員かつ被検体には、過酷な環境に耐えるクマムシが有力候補として挙がっているようです。

もし計画が実現すれば、恒星間航行(片道切符)を最初に行った生物としてクマムシが歴史に刻まれるでしょう。

研究の詳細は、今年1月付で科学雑誌『Acta Astronautica』にて公開されています。

目次 クマムシを「光速の30%」まで加速する計画 クマムシを「光速の30%」まで加速する計画 クマムシは絶対零度から水の沸点を超える温度に耐え、水や…

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参考文献

Can we – should we – send life to the nearest star?
https://earthsky.org/space/send-life-to-the-nearest-star-tardigrade-wafercraft/

元論文

Interstellar space biology via Project Starlight
https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0094576521005518#!

キツネの視覚には「ターゲットハッド」が存在する可能性

キツネの視覚には「ターゲットハッド」が存在する可能性がある
Credit:Canva . ナゾロジー編集部

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キツネの視覚には”ターゲットハッド”がついているかもしれません。

チェコ生命科学大学の先行研究によれば、雪原などで行われるキツネのジャンプ狩りを分析した結果、ジャンプの方向が北に偏っていることが発見されています。

またジャンプ狩りの成功率を調べたところ、北(正確には北北東)へ向けたジャンプ狩りの成功率が74%なのに対して、それ以外の方向へジャンプした場合の成功率が18%未満と判明。

どうやらキツネのジャンプ狩りの精度は北向きに行うと上がるようです。

研究チームは、キツネの目は「北方向の斜め下側」にターゲットハッドが出現するようになっており、聴覚と組み合わせることで、北方向へ向けたジャンプ狩りの成功率を上げている可能性があると結論しています。

視界内のターゲットハッドといえば、SFに登場する戦闘ロボの索敵シーンなどで描かれてきましたが、どうやら現実世界のキツネも(北限定で)持っているようです。

しかし、いったいどうやってキツネは北方向を感知しているのでしょうか?

本研究の詳細は、2011年3月2日付で科学雑誌『Biology Letters』に掲載されたものです。

 

目次 キツネのジャンプ狩りは「北向き」が多いキツネの視覚には北方向限定で「ターゲットハッド」が存在する網膜に追加情報を表示する基礎技術になる キツネ…

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参考文献

Predation by foxes aided by Earth’s magnetic field
https://phys.org/news/2011-01-predation-foxes-aided-earth-magnetic.html

元論文

Directional preference may enhance hunting accuracy in foraging foxes
https://royalsocietypublishing.org/doi/10.1098/rsbl.2010.1145

太陽と月の重力が動植物の行動に影響を与えていると判明

月と太陽の重力は地球の動植物の行動に影響していた
Credit:depositphotos

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地球の生物はすべて、太陽・月による重力変動を受けながら進化してきました。

これは生物の活動リズムと関係する可能性があるということは、以前から指摘されていましたが、それはとても小さな力であるため科学的には軽視されがちでした。

今回、ブラジルのカンピーナス大学(UNICAMP)とイギリスのブリストル大学( University of Bristol)の二人の研究者は、重力潮汐力が生物の活動リズムを常に形成してきた知覚可能な力であることを、新たな研究から示しました。

この研究では、広範な文献のメタ分析を通じて、サンゴの繁殖力や、ひまわりの苗の成長、等脚類の遊泳パターンが太陽・月の重力と関連することを明らかにしています。

研究の詳細は、科学雑誌Journal of Experimental Botany』に11月2日付で掲載されています。

目次 月と太陽が地球に与える影響生命が示すリズム 月と太陽が地球に与える影響 今回の研究の話題に入る前に、まず太陽と月が地球に与えている重力の影響に…

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参考文献

Gravitational action of sun and moon influences behavior of animals and plants, study shows
https://phys.org/news/2022-01-gravitational-action-sun-moon-behavior.html

元論文

Are cyclic plant and animal behaviours driven by gravimetric mechanical forces?
https://academic.oup.com/jxb/advance-article/doi/10.1093/jxb/erab462/6417250

2021年に話題となった「壮大な宇宙ニュース」ランキング

地球から約3100万光年離れた場所にある渦巻銀河「NGC3627」
Credit:ESO/PHANGS

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2021年もまもなく終わりを迎えようとしています。

地上は新型コロナウイルスでさんざんでしたが、ひとたび地球を離れ宇宙へ目を向けると、そこにはさまざまな新しい発見がありました。

火星探査機パーサヴィアランスが火星に降下し、月面の探査機が謎の物質を見たと報告したり、民間人が宇宙へ行ったり…。

その中で今年世間を騒がせた興味深い宇宙関連の記事をランキング形式で紹介します。

SFまがいの夢にあふれる宇宙の話題で今年を壮大に締めくくりましょう。

目次 2021年話題を読んだ宇宙関連記事 BEST5 2021年話題を読んだ宇宙関連記事 BEST5 第5位 土星が傾いている原因は「衛星タイタン」…

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一時的な温暖化が13世紀末の「小氷期」に関わっていた

14世紀半ばから19世紀半ばにかけて地球は小氷期だった
Credit:canva

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実は13世紀末から19世紀にかけて、地球は小氷期と呼ばれる過去1万年間でもっとも寒い期間の1つでした。

この小氷期がなぜ発生したかについては、未解決の問題であり決定的な原因は明らかとなっていません。

しかし、マサチューセッツ大学の新しい研究は、意外なことに小氷期が始まる直前に非常に温暖な時期があり、それが小氷期を起こすきっかけになっていたと報告しているのです。

矛盾した話のようにも感じますが、温暖化が地球全体の寒冷化の引き金になる可能性があるようです。

研究の詳細は、12月15日付でオープンアクセスジャーナル『Science Advances』に掲載されています。

目次 14世紀に始まった地球の小氷期温暖化が急激な寒冷化を招いた太陽活動と地球の空気が綺麗すぎた問題 14世紀に始まった地球の小氷期 一般的なイメー…

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参考文献

Winter is coming: Researchers uncover the surprising cause of the Little Ice Age
https://phys.org/news/2021-12-winter-uncover-ice-age.html

元論文

Little Ice Age abruptly triggered by intrusion of Atlantic waters into the Nordic Seas
https://www.science.org/doi/10.1126/sciadv.abi8230

太陽型星から宇宙災害「スーパーフレア」の詳しい様子を初検出 太陽系でも発生する恐れ

若い太陽型星「りゅう座EK星」で、スーパーフレアの発生に伴い巨大なフィラメント噴出が起こる様子の想像図
Credit:国立天文台

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スーパーフレアや、それに伴うコロナ質量放出(CME)と呼ばれる現象は、太陽表面で発生する爆発・噴火現象であり、太陽嵐という地球にも大きな被害を及ぼす大災害を引き起こします。

現在のところ、私たちの太陽でスーパーフレアが観測されたことはありませんが、この潜在的に危険な自然現象は、太陽とよく似た星を監視することで研究が進めています。

そして今回、日本の国立天文台や米国コロラド大学などの研究チームが、若い頃の太陽によく似た星「りゅう座EK星(EK Draconis)」から、スーパーフレアに伴って巨大なフィラメントが噴出する様子捉えることに成功しました。

太陽型星でスーパーフレアの可視光線による分光観測がされるのは初めてのことであり、その規模は太陽で起こった史上最大級の質量放出の10倍以上だったとのこと。

これは私たちの太陽でも発生する可能性があるといいます。

研究の詳細は、2021年12月9日付で科学雑誌『Nature Astronomy』に掲載されています。

 

目次 宇宙の危険な自然災害「スーパーフレア」若い太陽から観測された「スーパーフレア」 宇宙の危険な自然災害「スーパーフレア」 太陽の周囲には、コロナ…

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参考文献

太陽型星のスーパーフレアから噴出する巨大フィラメントを初検出 —昔の、そして今の惑星環境や文明に与える脅威—
https://www.nao.ac.jp/news/science/2021/20211210-okayama.html
A young, sun-like star may hold warnings for life on Earth
https://www.colorado.edu/today/2021/12/09/ek-draconis

元論文

Probable detection of an eruptive filament from a superflare on a solar-type star
https://www.nature.com/articles/s41550-021-01532-8

無理やり地球の自転を急停止させたら、地球はどうなってしまうのか?

自転が止まると地球に何が起こる?
Credit: jp.depositphotos

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日々実感することはありませんが、地球は常にかなりの速度で回転しつづけています。

子供じみた想像かもしれませんが、もしこの地球の自転を、コマを指でつまむようにして急停止させてしまったら、地球には何が起きるのでしょうか?

国立航空宇宙博物館(NASM・米)の名誉地質学者であるジェームズ・ジンベルマン(James Zimbelman)氏は「あくまで思考実験の話ですが、本当に恐ろしいことが起こる」と話します。

その「恐ろしいこと」というのは、以下で見ていきましょう。

目次 地球上のすべてが吹き飛ぶ! 地球上のすべてが吹き飛ぶ! 大前提として、「地球の自転スピードはとても速い」ことを念頭におかなければなりません。 …

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参考文献

What would happen if Earth suddenly stopped spinning
https://www.livescience.com/what-if-earth-stopped-spinning.html

海に浮く不思議な都市、2025年に完成

海上都市「Oceanix」
Credit:Oceanix

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現在、世界人口の5人に2人は海岸から100km以内に住んでいます。

また世界の巨大都市の90%が海面上昇の影響を受けやすい状態にあるとも言われています。

こうした地球規模の問題に対処するため、国連ハビタットの支援を受けて、韓国の釜山(プサン)沖に浮く海上都市「Oceanix」が建設されることになりました。

公式サイトでは壮大なイメージ画像が公開されており、2025年までに建設される予定です。

目次 韓国の海上都市「Oceanix」200億円の海上都市!2025年までに建設される 韓国の海上都市「Oceanix」 新しく建設予定の海上都市「…

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参考文献

Sustainable Floating Cities Can Offer Solutions to Climate Change Threats Facing Urban Areas, Deputy Secretary-General Tells First High-Level Meeting
https://www.un.org/press/en/2019/dsgsm1269.doc.htm
Check out the world’s first FLOATING CITY! Flood-proof Oceanix – backed by the UN – will be built in South Korea by 2025
https://www.dailymail.co.uk/sciencetech/article-10230791/The-worlds-FLOATING-CITY-coming-South-Korea-2025.html

スペースデブリで地球に土星のようなリングができてしまうかもしれない

地球の周りにデブリによる環ができる?
Credit: jp.depositphotos

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ユタ大学(University of Utah・米)の機械工学教授であるジェイク・アボット(Jake Abbott)氏はこのほど、ソルトレイク・トリビューン(The Salt Lake Tribune)紙のインタビューで、「地球の周りに、土星の環のようなリングが形成される可能性がある」と述べました。

原因は、宇宙空間に漂う何億ものスペースデブリ(宇宙ごみ)であり、近年の宇宙開発にともない、ますます増加傾向にあります。

デブリはもの凄い速度で周回しており、有人ロケットに衝突する危険性があるため、非常に問題視されています。

目次 デブリは「弾丸の7倍」のスピードで移動している「トラクター・ビーム」でデブリを回収 デブリは「弾丸の7倍」のスピードで移動している NASA(…

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参考文献

Put a ring on it! Earth could have its own Saturn-like band due to the growing threat of ‘space junk,’ professor warns: But the expert hopes to use magnets at the end of a robotic arm to clean up low-Earth orbit
https://www.dailymail.co.uk/sciencetech/article-10234317/Earth-Saturn-like-band-growing-threat-space-junk-professor-warns.html?ns_mchannel=rss&ns_campaign=1490&ito=1490
Earth On Course To Have Its Own Rings Made Of Space Junk, Warns US Professor
https://www.republicworld.com/technology-news/science/earth-on-course-to-have-its-own-rings-made-of-space-junk-warns-us-professor.html

ソニーがSF作家と協力し「2050年の未来予想図」を発表

2050年に人類が暮らすのは「海上ポッド」?
Credit: Sony(interestingengineering) – Sony’s ‘Tokyo 2050’ Envisions Humans Living on Floating Pods in the Sea(2021)

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西暦2050年というと、ひと昔前はSF世界の話でしたが、今やすでに2021年。そう遠い先の話ではありません。

2050年を迎えた時、人類はどのような暮らしをしているのでしょうか。

その未来は覗けませんが、予想することはできます。

ソニーグループは、8月31日〜9月13日に開催された「ONE DAY, 2050 / Sci-Fi Prototyping」にて、“「2050年の東京」のものがたり”をテーマとした未来構想を発表しました。

この未来構想は、同社クリエイティブセンターのデザイナーと日本のSF作家が協力して、考察しています。

目次 2050年の人類の家は「海上ポッド」? 2050年の人類の家は「海上ポッド」? チームが用いた「Sci-Fiプロトタイピング」は、SFの知識や…

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参考文献

Sony’s ‘Tokyo 2050’ Envisions Humans Living on Floating Pods in the Sea
https://interestingengineering.com/sonys-tokyo-2050-envisions-humans-living-on-floating-pods-in-the-sea?utm_source=rss&utm_medium=article&utm_content=19102021