一時的な温暖化が13世紀末の「小氷期」に関わっていた

14世紀半ばから19世紀半ばにかけて地球は小氷期だった
Credit:canva

全ての画像を見る

実は13世紀末から19世紀にかけて、地球は小氷期と呼ばれる過去1万年間でもっとも寒い期間の1つでした。

この小氷期がなぜ発生したかについては、未解決の問題であり決定的な原因は明らかとなっていません。

しかし、マサチューセッツ大学の新しい研究は、意外なことに小氷期が始まる直前に非常に温暖な時期があり、それが小氷期を起こすきっかけになっていたと報告しているのです。

矛盾した話のようにも感じますが、温暖化が地球全体の寒冷化の引き金になる可能性があるようです。

研究の詳細は、12月15日付でオープンアクセスジャーナル『Science Advances』に掲載されています。

目次 14世紀に始まった地球の小氷期温暖化が急激な寒冷化を招いた太陽活動と地球の空気が綺麗すぎた問題 14世紀に始まった地球の小氷期 一般的なイメー…

全ての画像を見る

参考文献

Winter is coming: Researchers uncover the surprising cause of the Little Ice Age
https://phys.org/news/2021-12-winter-uncover-ice-age.html

元論文

Little Ice Age abruptly triggered by intrusion of Atlantic waters into the Nordic Seas
https://www.science.org/doi/10.1126/sciadv.abi8230

津波の発生を磁場の変動から正確に検出する新技術が登場

津波の高さを磁場で素早く予測できる
Credit:Depositphotos

全ての画像を見る

津波の多くは地震による海底の地殻変動で発生します。

そのため地震大国である日本に住む私たちは、津波警報に従うことの重要性をよく認識しているでしょう。

津波予測がより正確で素早ければ、それだけで多くの人の命が助かるとも言えます。

そして最近、京都大学理学研究科に所属する藤 浩明(トウ ヒロアキ)氏ら研究チームは、津波が作った磁場を観測して、波の高さ(波高)を高精度で予測できると発表しました。

研究の詳細は11月9日付の国際学術誌『Journal of Geophysical Research: Solid Earth』に掲載されました。

目次 より正確な津波予測は可能か?津波によって発生した磁場から波の高さを素早く予測する より正確な津波予測は可能か? 地震発生時は、素早く津波予報が…

全ての画像を見る

参考文献

津波が作った磁場から波高がわかる -海底で観測された磁場と津波波高の直接比較-
https://www.kyoto-u.ac.jp/ja/research-news/2021-12-23-0
Tsunamis’ Magnetic Fields Can Be Detected Before Sea Levels Change
https://www.sciencealert.com/tsunamis-magnetic-fields-could-give-us-crucial-early-warnings-before-sea-level-rises

元論文

Direct Comparison of the Tsunami-Generated Magnetic Field With Sea Level Change for the 2009 Samoa and 2010 Chile Tsunamis
https://agupubs.onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1029/2021JB022760

2万4000年間の気候変動が一目で分かる世界気温地図が作られる

国際宇宙ステーションからみた地平線の眺め
Credit:NASA

全ての画像を見る

温暖化は現代のキーワードとも言える、人類の抱える大きな課題となっていますが、地球の気候変動は何も今になって始まったことではありません。

地球の気候は長い年月の中でダイナミックに変化しており、温暖化問題を考える際も、これは自然のサイクルであって人類の活動はあんまり関係ないんじゃないか? と考える人たちも多く存在します。

そこで、米国アリゾナ大学が主導した新しい研究は、、氷河期以降の地球の気候を再構築し、過去2万4000年間の地球上の気温変化を200年間隔でマッピングしました

その研究結果は、いかに人間の活動が自然なサイクルの限界を超えて気温を押し上げているかを浮き彫りにしている、と研究者は話します。

研究の詳細は、2021年11月10日付けで科学雑誌『nature』に掲載されています。

目次 地球の気温変化の歴史を再構築する2万4000年間の地球の気温変化を一目で見る 地球の気温変化の歴史を再構築する 今回の研究は、過去2万4000…

全ての画像を見る

参考文献

Global Temperatures Over Last 24,000 Years Show Today’s Warming ‘Unprecedented’
https://news.arizona.edu/story/global-temperatures-over-last-24000-years-show-todays-warming-unprecedented
See 24,000 years of climate history at a glance
https://www.popsci.com/science/24000-years-of-climate-history-gif/

元論文

Globally resolved surface temperatures since the Last Glacial Maximum
https://www.nature.com/articles/s41586-021-03984-4
Globally resolved surface temperatures since the Last Glacial Maximum(Earth ArXiv版)
https://eartharxiv.org/repository/view/2219/

地球の深部でしか作られない新種の鉱物が「ダイヤに封じられた状態」で発見される

新種鉱物「davemaoite」を黒い斑点のように保持したダイヤモンド
Credit: Aaron Celestian, Natural History Museum of Los Angeles County

全ての画像を見る

新種の生物発見というニュースはときたま耳にしますが、鉱物においても新種の発見がありました。

米国のネバダ大学ラスベガス校(UNLV)の研究チームは、深部地球において形成されるが地上では通常存在しない鉱物が、ダイヤモンド内に閉じ込められた状態で保持されているのを発見しました。

チームはこの新種鉱物を「Davemaoite(デイヴマオアイト)」と名付けて報告し、国際鉱物学連合(IMA)がこれを昨年承認しました。

研究の詳細は、2021年11月11日付けで科学雑誌『nature』に掲載されています。

目次 新種鉱物の発見ダイヤモンドに封印された新種鉱物 新種鉱物の発見 生物と同じ様に「鉱物」でも新種発見は報告されます。 鉱物は、自然界に存在するさ…

全ての画像を見る

参考文献

Diamond delivers long-sought mineral from the deep Earth
https://www.nature.com/articles/d41586-021-03409-2
鉱物のお話(物性研だより第54巻第2号)
https://www.issp.u-tokyo.ac.jp/maincontents/docs/tayori54-2_Part11.pdf

元論文

Discovery of davemaoite, CaSiO3-perovskite, as a mineral from the lower mantle
https://www.science.org/doi/10.1126/science.abl8568