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地球の周りにデブリによる環ができる?
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ユタ大学(University of Utah・米)の機械工学教授であるジェイク・アボット(Jake Abbott)氏はこのほど、ソルトレイク・トリビューン(The Salt Lake Tribune)紙のインタビューで、「地球の周りに、土星の環のようなリングが形成される可能性がある」と述べました。

原因は、宇宙空間に漂う何億ものスペースデブリ(宇宙ごみ)であり、近年の宇宙開発にともない、ますます増加傾向にあります。

デブリはもの凄い速度で周回しており、有人ロケットに衝突する危険性があるため、非常に問題視されています。

目次

  • デブリは「弾丸の7倍」のスピードで移動している
  • 「トラクター・ビーム」でデブリを回収

デブリは「弾丸の7倍」のスピードで移動している

NASA(アメリカ航空宇宙局)の概算では、地球低軌道(LEO)に入るデブリのうち、ソフトボールより大きいものは少なくとも2万3000個あり、0.4インチから4インチ(約1〜10センチ)までのものは50万個あると推定されています。

ESA(欧州宇宙機関)はこれに対し、1センチ以下の小さなデブリは1億7000万個に達すると付け加えています。

現在は、LEOにある2万7000個以上のデブリが、アメリカ国防総省の宇宙監視ネットワークによって追跡されている状態です。

高度2000km以下の軌道を周回するデブリの分布
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太陽系内で環を持つ惑星は、木星、土星、天王星、海王星の4つです。

このうち、木星、天王星、海王星の環は比較的薄く、主に塵でできています。

グリニッジ王立博物館(Royal Museums Greenwich・英)によると、木星の環は、周囲にある79個の衛星に衝突した多くの流星に由来するという。

一方、土星の環は、さまざまな大きさの氷と岩でできており、はっきりと目視できます。

専門家は、土星の環について、古い彗星や小惑星、衛星の残骸であると指摘します。

土星の環
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NASAによると、LEOは今や「世界最大のゴミ捨て場」となっており、これは非常に規模が大きいためデブリの除去には費用がかかるという。

LEOには、合計で6000トンものデブリが存在すると伝えられています。

デブリの多くは非常に高速(ものによっては弾丸の7倍の速度)で移動し、軌道上の小さな破片でも宇宙船に衝突したり、地上に落下したりすれば、甚大な被害を出す恐れがあります。

そこでアボット氏と研究チームは、LEOにあるデブリを安全かつ効率的に回収する方法を研究しています。

「トラクター・ビーム」でデブリを回収

デブリのほとんどは高速で移動しており、ロボットアームで止めようとすれば、アームが壊れて、さらなるデブリが発生してしまいます

そこで、アボット氏が考えたのが、磁石の渦電流(うずでんりゅう)を利用する方法です。

渦電流とは、磁場内で電気伝導体を動かすことで生じる渦状の誘導電流です。

同チームは先月、学術誌『Nature』に発表した論文内で、その方法を詳述しています。

簡潔に説明すると、ロボットアームの先端に磁石を設置し、それを回転させることで渦電流が発生。その磁場を利用して、宇宙空間に漂うデブリを吸い付けて回収するというものです。

アボット氏は、これについて「私たちは基本原理として、世界初の『トラクター・ビーム』を開発しました」と話します。

トラクター・ビームとは、SF作品に出てくる用語で、磁場を発生させて重力を操作し、対象物を引き寄せたり押し放したりするテクノロジーのことです。

あとはエンジニアリングの問題で、実際に作って宇宙に打ち上げることができれば実用化は可能だ、とアボット氏は言います。

渦電流でデブリを吸い寄せる方法
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また、人工衛星や宇宙船を中心とした大量のデブリがもたらす負担を軽減するための取り組みも行われています。

アップル社の共同設立者であるスティーブ・ウォズニアック(Steve Wozniak)氏が支援するスタートアップ企業・Privateer社は、「軌道上の宇宙ゴミを追跡し、その行動や移動先を予測することで、すべての国にとって宇宙をより安全なものにしようと試みている」と語っています。

同社のチーフ・サイエンス・アドバイザーであるモリバ・ジャー(Moriba Jah)氏は「デブリが今後数分から数時間の間にどこに行くのかを知ることで、宇宙をより透明に、より予測しやすくすることです」と話します。

デブリは何年も、場合によっては何十年にも渡って宇宙船に大打撃を与える危険性があり、懸念すべき問題です。

これからの宇宙開発時代において、デブリは避けて通れない障害となるでしょう。

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参考文献

Put a ring on it! Earth could have its own Saturn-like band due to the growing threat of ‘space junk,’ professor warns: But the expert hopes to use magnets at the end of a robotic arm to clean up low-Earth orbit
https://www.dailymail.co.uk/sciencetech/article-10234317/Earth-Saturn-like-band-growing-threat-space-junk-professor-warns.html?ns_mchannel=rss&ns_campaign=1490&ito=1490
Earth On Course To Have Its Own Rings Made Of Space Junk, Warns US Professor
https://www.republicworld.com/technology-news/science/earth-on-course-to-have-its-own-rings-made-of-space-junk-warns-us-professor.html